ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』

【第61話】

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『だが……相手が悪かったとはこの事』
 背後に現れた氷鎧の騎士の槍を指2本で挟み止めた死亜女ルイは体を回しつつにやりと笑う。
 水神紋で生成した魔力氷のプレートメイルで全身を守りつつそれが内包する魔力で総合能力を大幅向上させるエレメント技『アイスヴァルキリー』と水マョイガエレメント使いとして光の屈折を調整して幻影を作り出す『アイスミラージュ』を同時使用した接近戦の一突きでトドメを刺そうとした美香。
『エレメントプラス・アイス!!』
 相手はタメシヤノミコト様と同等の武神ではなくそれを遥かに上回る存在である。
 その事実を理解できていた美香は死巫女ルイにつままれてピクリとも動かない愛用の魔導杖をベースにした氷槍をどうにかすべく、穂先の氷を盛り上げて細長い氷柱型に形成。
 そのまま振り上げるように穂先を折り、ハイドロフォイルバックダッシュで距離を取る。
『神紋発動!! アイスツインガトリン…… !!』
『ふむ……いい魔力を帯びておる。ならば『闇与:水』』
『!?』
 すぐさま十八番の氷柱乱射で反撃しようとする美香の前でルイは手元に残された氷片に魔力注入。
『闇霧(ダークスラッシュ)』
 氷片を一瞬でめきめきと巨大化させ、どす黒い庫気を纏う氷剣に一瞬で生成したルイはその一振りで美香の氷柱乱射をすべてはたき落とす。
「くっ…… !!」
 奇策も十八番も破られた美香が次の手を決めあぐねている隙に闇氷剣を上段に持ち上げ、突きの構えを取るルイ。
『闇衝砲(ダークインパクトキャノン)』
「アイスウォー……きゃああああ!!」
 その切っ先から放たれる少年バトル漫画あるあるな暗黒エネルギー砲を前に氷壁を生成して止めようとする美香だが、その努力もむなしくダークインパクトキャノンは貫通直撃。
 粉々になった氷鎧、アイスヴァルキリーから弾きだされた美香は青ビキニにパレオ姿で場内をバウンドし、全身を叩きつけられて動かなくなる。

『これで終わりとは言うまい、水神紋のもののふよ……』
「ウガァァァァァァ!! アァァァァアアア!?」
 激昂のままに咆哮を上げ、その背後から超巨大ゴーレムアムドで殴り掛かる英里子。
 死亜女ルイはその一撃を氷剣で受け止める。
『ほお、生きておったか……流石は頑強さが売りの地神紋使いだな』
「当たり前じゃ、ヴォケ!! 美香ちゃんに手え出したお前、生かしておけへんで!!」
『地神紋発動!! アースオーバードライブ!!』
「ジョン、マルゲリータ、リッタ、スーザン全員集合や!!」
 激昂のままに魔力を地神紋に注ぎ込む英里子の手足を岩が覆い、4体のゴーレムアムドが上乗せ生成されていく。

『私クロが肉体の死をもってルイ様やドウシ様と最期を共にし、次に目を覚ました所は真っ暗な空間でした』
 総大将一騎打ちが休戦中のヤミネコの間、デストロイ・ミニスピーカーを介して語られるヤミネコと死巫女ルイの過去に耳を傾ける待機メンバー。
『そこにいらっしゃったのはルイ様お一人であり、なぜか弟君たるドウシ様はそこにおりませんでした……こうして私とルイ様の長き生き地獄が始まったのです』
 生き地獄……かなり強いフレーズだが想像に難くない展開に全員黙って傾聴する。
『ルイ様は死と破壊、破滅を司る奇跡の巫女様。そのような御方が肉体と言うリミッターから解放され、純粋で強大な魂となった事でその力は桁違いに強化……人間界に無限発生し続ける怒り、怨念、恐怖、哀しみと言った全ての負の感情思念を際限なく取り込んでしまうようになってしまったのです』
「なんだって!? じゃあクロ、お前のその姿も……?」
 ヤミネコの言葉で何かに気づいてしまい、思わす割り入ってしまうナルカミノミヤ、
『その通りでございます。ルイ様は平将門の乱、源平合戦、蒙古襲来、応仁の乱、関ケ原、幕末、第二次世界大戦のような大戦のみならず大火や地震に津波といった天変地異のような災禍でヒトの世に多くの負の感情が生じる度にそれらすべてを己の魂に吸収。
 その怨怨に魂を蝕まれながらも死と言う消滅を許されない主様の苦しみを少しでも和らげるべく私は後から合流して眷族となった5匹の猫達とも協力しその力を闇の魔力として我らの魂に引き受け取り込み続けたのです』
「ヤミネコ殿……つまりその甲胃武者な姿は元々のものではないのですか?」
 デストロイミニスピーカー越しに質問する式神小鬼タタラ。
「いかにも、その通りでございます。
 私は他の者達よりも長く主様の御傍におり、その痛みと苦しみを少しでも和らげるために多くの闇の魔力を吸い上げてまいりましたが故に魂そのものが変容し、元のカワイイ黒猫の姿ではいられなくなってしまいました。
 ただ……このようなヒトの鎧武者の姿を選んだのは私であり、それには別の理由と必要性があったのです』
 別の理由と必要性……式神ライの手の中で語るミニスピーカーを囲む討伐隊メンバーはさらに身を寄せる。

【第62話につづく】
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