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第八章:『闇乃宮裏闘戯場/総大将激突!! 白聖炎VS黒死炎』
【第65話】
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『ダークスラッシュ!!』
『ヒートクロススラッシュ!!』
一瞬で場の中央に踏み込み、各々の刀で切り結ぶヤミネコと探。
ヤミネコの闇の魔瘴気を最大限界まで吸収強化し、探の頭上に叩きこまれる太刀とそれを正面から受け止める白聖炎エレメントプラス・マキシマム強化状態の二刀流クロススラッシュ。
根本から相容れぬ魔力を帯びた三刀の激突で生じた魔力反発衝撃波は2人を覆う決闘の場を覆う魔力障壁を―瞬で粉砕し、場外で総大将の勝利を祈るばかりの闇乃宮討伐隊メンバーに襲い掛かる。
『クリエイト・ストーン!!』
『神技・氷壁生成!!』
タケルとミズノミャ様はすぐさま皆を守るべく分厚い岩壁と氷壁を生成。
「ナイスよ、お兄ちゃん!!」
ママと英里子おばさんの十八番技・アィスストーンウォールをミズノミヤ様と再現した兄にグッジョブサインを送るエミ。
「いや、まだだ。嫌な予感がしてはいたが……雲隠はこのままでは頭から真っ二つにされてしまうぞ!!」
一定間隔で発せられる魔力反発衝撃波の隙を見て壁の向こうの様子を確認していた副将・茜に言われ、場内で切り結んだまま押し合いに持ち込んだ2人を覗き見するメンバー達。
ヤミネコの太刀の黒刃が安定した魔力保持状態を維持しているのに対し、探の二刀流にかけられたエレメントプラス・ホワイトフレアの魔力は刀身内から溶け出すように白い霧となってじわじわと蒸散しはじめている。
「あれは……どういう現象なの?」
「今現在、御二方の武器は強烈な引力で互いに引き寄せあっていて離れるに離れられず、しかも双方がダメージを与え続けている状態です。
言うなればどちらかが魔力の加護を失い、折れて壊れるまであの状態を維持せざるを得ない宿命」
探の火神紋を司る五武神・ヒノミヤノミコトの眷属式神として再度解説を始める式神小鬼タタラ。
「あの白霧は間違いなく雲隠様の二刀に留まれず、大気中に漏れ出した聖炎そのもの。
ただ、あの魔力密度では雲隠様本体の護りに戻る前に消滅してしまい……」
「タタラ、つまりお前は我らが総大将殿が力不足だとでも言いたいのか?」
面倒くさいうんちくトークに割り込み、早く結論を言うように促す顔面ビキビキの須田丸。
「それはありませぬが……敵は己の太刀に闇の力を付与する技においては幾星霜の時をかけていてその限界を熟知しているのに対し、雲隠様は迷処七天賦奥義を数刻前に顕現させたばかりで、愛用なさっている二刀も神紋刀と神刀とは言えその属性付与の力を引き出せる程度においては把握なさっておられないでしょう。
つまりは同系統の技でも敵が武器・経験値共に圧倒的に上と言う事でございます」
一通りの分析結果を語り終えたタタラは須田丸に頭を下げる。
「ナルカミ、ミズノミヤ。こいつ手加減無しで一発殴っていいか?」
殴り殺す気しかないエレメントプラス完了済みの剛雷拳を構えたまま五武神に問う須田丸。
「須田丸、物言いはとにかくとしてその式神の言う事は的外れではない。
友としで気持ちは分かるが落ち着け、いまはその拳を納めろ」
総大将一騎打ちの最中のまさかの仲間割れとなりかけた場外。
副大将・茜の有無を言わせぬ圧を前に須田丸はすぐにエレメントプラスを解除し、重籠手デストロイアーム改を下ろす。
「それでいい、須田丸。 皆の物、これより闇乃宮討伐・副大将として命じる!!
我らが総大将殿をこれより総力で援護する!! 各々、聞いてくれ!!」
そう言いつつ背の神紋弓を抜き構え、風神紋を発動させる茜。
風のマヨイガエレメントで風弓を生成していく戦巫女・茜を前に全員が耳を傾ける。
「うっ……ぐううぅう!!」
敵の太刀と切り結んだままがっちりと張り付いたまま剥がれようとしないホワイトフレア強化済み神紋刀&麟麟。
最近タケルと一緒に見たお昼のB級SF剣豪アクション映画でチェーンソーとビームカタナが鍔迫り合いするシーンの如くお互いの武器がダメージを受け合いつつも双方が逃げられないチキンゲームに陥っている事は分かりつつも、上段を取られると言う接近戦においては圧倒的に不利な形勢。
そして見よう見まねとカンでどうにか真似できたとは言え、武器や防具の表層にマヨイガエレメント魔力を被せるのではなく武器そのものにマョイガエレメントを魔力を注入し、許容量ギリギリまで流し込んだ強化状態を維持する桁違いに難しい上位互換版エレメントプラスでも技術的に敵いそうにない。
迷処七天賦奥義を開眼させたところでここが限界……探の脳裏に 『敗北』 の二文字がちらつき始める。
「雲隠、遅くなった!!」
そんな中、岩と氷の防壁上に立ち神紋弓に風矢をつがえたまま叫ぶ茜。
「茜さん!?」
『副大将殿、そなた我らに横槍をいれるつもりか!?』
一流の弓使いとは言え探が総大将としてのプライドをかけた一騎打ちに堂々と乱入しようと言う茜。
気高きもののふの血筋であるはずの御鐵院家の者とは思えぬ恥じを知らぬ愚行を前に身動きを取れないヤミネコは真っ赤な眼で睨む。
【第66話につづく】
『ヒートクロススラッシュ!!』
一瞬で場の中央に踏み込み、各々の刀で切り結ぶヤミネコと探。
ヤミネコの闇の魔瘴気を最大限界まで吸収強化し、探の頭上に叩きこまれる太刀とそれを正面から受け止める白聖炎エレメントプラス・マキシマム強化状態の二刀流クロススラッシュ。
根本から相容れぬ魔力を帯びた三刀の激突で生じた魔力反発衝撃波は2人を覆う決闘の場を覆う魔力障壁を―瞬で粉砕し、場外で総大将の勝利を祈るばかりの闇乃宮討伐隊メンバーに襲い掛かる。
『クリエイト・ストーン!!』
『神技・氷壁生成!!』
タケルとミズノミャ様はすぐさま皆を守るべく分厚い岩壁と氷壁を生成。
「ナイスよ、お兄ちゃん!!」
ママと英里子おばさんの十八番技・アィスストーンウォールをミズノミヤ様と再現した兄にグッジョブサインを送るエミ。
「いや、まだだ。嫌な予感がしてはいたが……雲隠はこのままでは頭から真っ二つにされてしまうぞ!!」
一定間隔で発せられる魔力反発衝撃波の隙を見て壁の向こうの様子を確認していた副将・茜に言われ、場内で切り結んだまま押し合いに持ち込んだ2人を覗き見するメンバー達。
ヤミネコの太刀の黒刃が安定した魔力保持状態を維持しているのに対し、探の二刀流にかけられたエレメントプラス・ホワイトフレアの魔力は刀身内から溶け出すように白い霧となってじわじわと蒸散しはじめている。
「あれは……どういう現象なの?」
「今現在、御二方の武器は強烈な引力で互いに引き寄せあっていて離れるに離れられず、しかも双方がダメージを与え続けている状態です。
言うなればどちらかが魔力の加護を失い、折れて壊れるまであの状態を維持せざるを得ない宿命」
探の火神紋を司る五武神・ヒノミヤノミコトの眷属式神として再度解説を始める式神小鬼タタラ。
「あの白霧は間違いなく雲隠様の二刀に留まれず、大気中に漏れ出した聖炎そのもの。
ただ、あの魔力密度では雲隠様本体の護りに戻る前に消滅してしまい……」
「タタラ、つまりお前は我らが総大将殿が力不足だとでも言いたいのか?」
面倒くさいうんちくトークに割り込み、早く結論を言うように促す顔面ビキビキの須田丸。
「それはありませぬが……敵は己の太刀に闇の力を付与する技においては幾星霜の時をかけていてその限界を熟知しているのに対し、雲隠様は迷処七天賦奥義を数刻前に顕現させたばかりで、愛用なさっている二刀も神紋刀と神刀とは言えその属性付与の力を引き出せる程度においては把握なさっておられないでしょう。
つまりは同系統の技でも敵が武器・経験値共に圧倒的に上と言う事でございます」
一通りの分析結果を語り終えたタタラは須田丸に頭を下げる。
「ナルカミ、ミズノミヤ。こいつ手加減無しで一発殴っていいか?」
殴り殺す気しかないエレメントプラス完了済みの剛雷拳を構えたまま五武神に問う須田丸。
「須田丸、物言いはとにかくとしてその式神の言う事は的外れではない。
友としで気持ちは分かるが落ち着け、いまはその拳を納めろ」
総大将一騎打ちの最中のまさかの仲間割れとなりかけた場外。
副大将・茜の有無を言わせぬ圧を前に須田丸はすぐにエレメントプラスを解除し、重籠手デストロイアーム改を下ろす。
「それでいい、須田丸。 皆の物、これより闇乃宮討伐・副大将として命じる!!
我らが総大将殿をこれより総力で援護する!! 各々、聞いてくれ!!」
そう言いつつ背の神紋弓を抜き構え、風神紋を発動させる茜。
風のマヨイガエレメントで風弓を生成していく戦巫女・茜を前に全員が耳を傾ける。
「うっ……ぐううぅう!!」
敵の太刀と切り結んだままがっちりと張り付いたまま剥がれようとしないホワイトフレア強化済み神紋刀&麟麟。
最近タケルと一緒に見たお昼のB級SF剣豪アクション映画でチェーンソーとビームカタナが鍔迫り合いするシーンの如くお互いの武器がダメージを受け合いつつも双方が逃げられないチキンゲームに陥っている事は分かりつつも、上段を取られると言う接近戦においては圧倒的に不利な形勢。
そして見よう見まねとカンでどうにか真似できたとは言え、武器や防具の表層にマヨイガエレメント魔力を被せるのではなく武器そのものにマョイガエレメントを魔力を注入し、許容量ギリギリまで流し込んだ強化状態を維持する桁違いに難しい上位互換版エレメントプラスでも技術的に敵いそうにない。
迷処七天賦奥義を開眼させたところでここが限界……探の脳裏に 『敗北』 の二文字がちらつき始める。
「雲隠、遅くなった!!」
そんな中、岩と氷の防壁上に立ち神紋弓に風矢をつがえたまま叫ぶ茜。
「茜さん!?」
『副大将殿、そなた我らに横槍をいれるつもりか!?』
一流の弓使いとは言え探が総大将としてのプライドをかけた一騎打ちに堂々と乱入しようと言う茜。
気高きもののふの血筋であるはずの御鐵院家の者とは思えぬ恥じを知らぬ愚行を前に身動きを取れないヤミネコは真っ赤な眼で睨む。
【第66話につづく】
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