ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

文字の大きさ
70 / 79
第九章:『闇神乃間/総員激突!! 解放と救済の最終決戦!!』

【第70話】

しおりを挟む
 闇乃宮最終試練の場となる階段を駆け上る闇乃宮討伐隊メンバー。
「よしっ、次に来るのはどこのジャーマンや!?」
 開始地点となる第一踊り場から始まり、第二踊り場のヒネコ、第三踊り場のミズネコを切り抜けてきた英里子は威勢よく叫ぶ。
「止まれ!!」
 第四踊り場に滑り込むや否や停止命令をする副大将。
『またこうして再度、そなたらのような強者にまみえる事が出来るとは……嬉しいぞ!!』
「お前は確か……チネコだな!!」
 抜き身の巨大青龍刀を持ち、甲胃を装着した虎の魔獣は圧倒的な巨躯で立ち塞がる。
「それは嬉しいが……押し通らせてもらおう、エレメントプラス・ホワイトフレア!!」
 探の火神紋から噴き出す白い光。
 陽炎と化したそれは探のロングコートと全身を覆いつつ抜き身の二刀流をカバーしていく。
『ふふふ、幾星霜と苦しみ続けた我が主様をも浄化するその力……試させてもらいますぞ!! ふんっ!!』
 超巨大ボディとは思えぬ速度で瞬時に探の眼前に飛び込み、野太く巨大な腕で青龍刀を振り下ろすチネコ。
 位置的に巻き添えを避けられない皆を庇うべく探がそれを受け止めようとしたその時だった。
『サモン・ゴーレムレッグ!! リッタ&スーザン!!』
『ごふお!!』
 床から突き出してきてその一撃を蹴り止めつつ敵の腹に一撃喰らわせる足型岩柱。
「英里子おばさん!?」
「下がれ、タケル!! 『エレメントプラス・ヴォルト』」
「須田丸おじちゃん!?」
 立膝の構えでデストロイアーム右腕を左腕で支え、チネコにエイムを合わせている須田丸。
 その意図を察した美香はすぐに射線上のエミとタケルの手を掴み、慌てて下がらせる。
『ヴォルトロケットパンチ!!』
『ぶごお!!』
 マグネットプラス・ネガ&ポジの反発力で須田丸の腕から外れて飛び立つデストロイアームと言う漢の浪漫アタック。
 鉄塊そのものな重量級マヨイガ兵器のメリコミロケットパンチを顔面に食らったチネコは後頭部から地面に倒れていく。
「トドメ刺すで須田丸君!!」
「アニキにみんな!! 俺らに任せて先に行け!!」
 四肢をゴーレムアムド強化した英里子とロケットメリコミパンチを喰らわせたデストロイアームを引き戻し再装着し、チネコに突撃していく。
「わかった、行くぞ!!」
「おうつ!!」
 英里子と須田丸にこの場を託した残りメンバーは崩れ消え始めている第五踊り場への階段に滑り込むように駆け上りだす。
『逃すかあ!!』
「させへんで!! 須田丸君!!」
「おう、姉ちゃん!!」
 青龍刀を振り上げて走る敵の前に滑り込んだ須田丸と英里子は足に力を入れ、脇をしめて拳を握る。
「スダスダスダスダスダスダスダスダ!!」
「エリエリエリエリエリエリエリエリエリエリ!!」
 本来ならばベストカップルな探&須田丸の火炎拳と轟雷拳オーバードライブ正拳乱打で放たれる近接打撃合体技・ブレイズナックル。
 この戦いの勝敗を左右する総大将に代わってパートナーチェンジした英里子はゴーレムアムト正拳乱打を須田丸と共に打ち込む。
「ぱわあおぶラブじやああああああああああああああああ!!」
「らぶいずえぶりしんぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
 途中から掛け声が変わっている事にも気づかず、2人はガードブレイク状態の敵を壁ハメボコボコにしなから崩れ消える階段に追われながらも上に向かう仲間を見送る。

「よしっ、足止めナイスよ!!」
 眼下の第四踊り場でチネコの巨躯を一方的に壁ハメオラオラしていく英里子と須田丸を見下ろすハイドロフォイル滑走中の美香。
『 DEATH METAL!!』
「危ない!!」
 前方から衝撃波による奇襲を感知した式神ライは急加速して皆の前に滑り出し、雷ェレメント防壁を生成して受け止める。
「この攻撃は……」
『マチガイネェ、ヤツダ!! デストロイ・トランスフォーム!!』
 ライの首に紐で下げられたミニスピーカーから瞬時にエレキギターにトランスフォームしたシルバーデストロイメン。
『Le t's ROCK!!』
 式神ライと半機械眷属魔物シルバーデストロイメンは同じ雷マヨイガエレメント使いとして二重防壁を生成。
 幾重にも襲い来る衝撃波を弾き壊す壁として皆を守りながら一気に突き進む。
『来やがったなオメエら!! ここがオメエらの墓場だ!! 野郎ども、デスライブ行くぞ!!』
「ニヤアアアアン! !」
 第五踊り場で待ち構えていたロックンロールキャットことシネコ。
 もはやバリケードでしかない大量の爆音大型スピーカーに宙に浮くミラーボール。
 そんなステージ上でギターを構えたシネコに応えるのはドラムやベース、キーボードの前に座る黒猫軍団だ。
「可愛すぎ!!」
 夢にまでみたネコロックを前に眼がハートになるエミとその耳を慌てて塞ぐ茜。
 そもそも防御不可能な爆音攻撃を至近距離で食らわされたら耳の鼓膜はもちろん頭も無事では済まない。
 探は一瞬の隙をついてでもここを突破する方法を模索する。
「総大将!! ここはアタシとライちゃんに任せろ!!」
「フウさん!!」
 いつの間にかデストロイメンのトランスフォームスタンド付きマイクを握っていた式神フウ。
 専用武器として風マヨイガエレメントをたっぷりと蓄えた風袋の口を咥え、その中身を一息で吸い込んだ彼女はすぐさま中指を立てつつマイクを口に当てる。

『ガッデェェェェェェム!!』

『ぐおおおおお!?』
「にゃあああん!!」
「ぎにやああああ!!」
 バケモノ級の肺活量を誇る肉体派式神フウの最大出力咆哮爆風で倒壊し、底知れぬ闇に落ちて行く爆音スピーカーバリケードとミラーボール、その他もろもろの音楽機材。
 その一撃に耐えたシネコの周囲で黒猫達は必死で身を低くし、お互い手を取り合って飛ばされないようにしがみつく。

【第71話につづく】

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...