ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~

千両文士

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第九章:『闇神乃間/総員激突!! 解放と救済の最終決戦!!』

【第72話】

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『……きたな』
 最後の舞台となる第七踊り場。
 階段を駆け上るタメシヤノミコト様と雲隠のもののふ殿との再戦を前に魔力を整えていた黒甲胃の武者ヤミネコ。
 一度は敗北し、雲隠家の愛玩動物にされかけた武人は太刀に手をかけようとする。
『キリビフラッシュ!!』
『目が、目がああああ!!』
 ツミレから借りていたシノビマントを被り踊り場に忍び込んでいた式神小鬼タタラによる不意打ち。
 エレメントプラス・ファイア済みで打ち付けられた火打石の強烈な閃光を至近距離で食らわせられたヤミネコは慌てて魔力で視力回復を始める。
『神技・転瞬斬(てんしゅんざん)』
 その時間も与えず詠唱発動待機させておいた神技でワープし、間合いに入るタメシヤノミコト様。
『ぐあっ!!』
 タメシヤノミコト様の強大な魔力で生成された魔力刃による抜刀一閃で袈裟斬りにされ、肩から腰まで鎧を大きく引き裂かれたヤミネコは怯む。
『風神紋超解放!! 神紋野太刀・迅空斬!!』
『水神紋超発動!! ウォータースナイプ!!』
 タメシヤノミコト様に続いて神紋弓を核に風マヨイガエレメント太刀を生成した茜。
 それを水平に構えたまま迷処七天武奥義『空』で滑空し、加速状態を維持したぶった斬り逃げと裂け目ダメージポイントに水エレメント狙撃を何発も撃ち込み魔力干渉ダメージを与えて行く美香。

 仮に倒せずともそこから一歩も動くことはさせない。
 式神&マヨイガもののふ女傑三人衆による猛連撃を前にヤミネコは防の一方に追い込まれる。
『パパ、お兄ちゃん、飛ばすわよ!!』
 4人に敵の足止めを任せ、サポートスキル『ラージドウエポン』で巨大化させた大戦扇をホバーダッシュさせる風マヨイガエレメント使いのエミ。
 索敵と安全確保をヒートセンス感知中のお兄ちゃんに任せ第七踊り場奥に設けられた闇鳥居に一直線に駆けるそれに乗るタケルと探は最終決戦を前に緊張しつつも退かない覚悟を決めている。
『突入!!』
 死巫女ルイを浄化し、その魂を未来永劫苦しみ続ける宿命から救えるのは迷処七天賦奥義・ホワイトフレアを使える探パパだけであり、パパを確実に無傷で送り届ける事が今やるべき事。
 エミはそんな使命感のままに大戦扇で全速力ホバーダッシュする。
『闇影』
「!?」
 3人の耳元で反響するようにかすかに聞こえた詠唱。
「つかまって!!」
 ママや茜おばちゃん達に足止めされているはずのヤミネコが近くにいると察したエミは大戦扇にエレメントプラス・ウインド上乗せでホバーブースト加速。
 父もろとも目前の障子戸に滑り込むべくウィリーダッシュで突撃する。

「エミ、タケル!!」
 障子戸に滑り込む目前の一瞬、回避不能な何かに乗り上げて盛大にクラッシュした大戦扇。
 わけもわからぬままそのまま勢いよく吹っ飛ばされて閉まりかけた障子戸に投げ込まれるように消えて行く双子のスローモーションを前に探は2人の父として助けに行くべくファイヤージェット飛翔しようとする。
『チェストォ!!』
『!? ホワイトフレア!!』
 そこに上から飛び掛かるように大声を上げながら黒太刀を叩き落ろしてくるヤミネコ。
 探はその奇襲をすぐにホワイトフレアでガードし、腰の二刀を抜きながら着地。
 強化状態のまま一瞬で地面を蹴り、ヒートクロススラッシュで切り結ぶ。

「貴様!! なぜここにいる!!」
 エミと御鐵院さん、タメシヤノミコト様に式神小鬼タタラの4人がかりで足止めされているヤミネコと自分の目の前で鍔迫り合いをしているヤミネコ。
 幻覚ではなく事実として敵が2体存在すると言う事実に探は叫ぶように問いただす。
『ふふふ、驚くほどの事ではないですよ。
 本来なら数千年の時間をかけて生成された鎧武者の姿を破壊された私が、あなたのお嬢さんの愛玩動物にされてしまったのでは主様も私も困りますのでね……主様は闇瘴気の結晶たる『七魂(セブンスソウル)』残り3つの内、1つを私に用いて復活させてくださったのですよ』
「なるほどな……こりゃ参ったな」
 死巫女ルイの待ち構える世界に繋がる障子戸は完全に閉ざされ、死巫女ルイと一騎打ちするはずだった自分はヤミネコによる足止め中。
 つまり最後の最後で作戦は失敗したと言う事実を前に探はにやりと笑う。
『……私は数多くの雲隠のもののふ様方を見て来ましたが、なぜ敗将である貴方がここで笑うのですか?』
「そんなもん決まってるだろ、総大将だからだよ!! エレメントプラス!!」
『!!』
 ホワイトフレア強化状態の神紋刀と麟麟をオーバーロード強化する探を前にこれ以上切り結んでいるのは危険だと判断してバックジャンプで距離を取るヤミネコ。
(こいつ、何を考えている? まさか……あの幼子2人が何か隠し手でも?
 いずれにせよ、こやつをここで足止め出来るのは私しかいない!!)
 探の底の見えなさに背筋が寒くなりつつも、黒太刀を上段正眼に構えたヤミネコは白聖炎に全身を包んだ探を迎え撃つ態勢に入る。

【第73話につづく】
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