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再構築版!
第三話 夜中の死神 前半
しおりを挟む第三話「夜中の死神」
魎斗と死神の奇妙な生活が始まってから、早くも10日が経った。
なんだかんだでそれなりに上手くやっているものの、この死神、どうも怪しい。
夜中になると、魎斗が寝静まった隙に部屋を抜け出し、リビングに向かうのだ。
魎斗は寝たふりをしつつ、頭の中を読まれないよう音楽を聴きながらその動向を伺っていた。そして、その夜も――午前3時を過ぎた頃、死神がそっと部屋を出ていった。
リビングから微かに聞こえるカチャカチャという音。
「よし、よし!行けー!よっしゃー…って、え!」
死神の小さな叫び声に、魎斗は立ち上がり、静かにリビングに向かう。そして、死神の背後に立ち、見下ろしながら声をかけた。
「おい…カマ野郎。なんで勝手にゲームを進めてんだ!」
死神は驚いて慌てふためき、手早くテレビの電源を切ろうとする。
「えっ?いや、ゲームなんてしてませんけど?」
魎斗は無言でゲーム機を指差す。
「じゃあ、テレビじゃなくてゲーム機の電源を切れよ」
死神はハッとしたように電源を切り、満面の笑顔を作って答えた。
「してません(((o(゚▽゚)o)))」
その瞬間、魎斗は手に持っていたメダカ専門雑誌で死神を軽く殴りつけた。
「お前、物を触れるのかよ?カマ野郎」
死神は土下座のように地面に頭を擦りつけながら、へこへこと謝る。
「はい…」
魎斗はニヤリと笑い、再びベッドに戻った。
翌日。
朝、洗面台で歯を磨いていると、リビングの方から水音が聞こえてきた。
覗いてみると、エプロン姿の死神が手慣れた様子で皿を洗っている。
魎斗は思わず笑いながら指差す。
「おいおい、案外似合ってるじゃねぇか!」
死神は黙ったまま皿を洗い続けていた。その姿が少しシュールで、余計に可笑しい。
突然、玄関が開き、弟が元気よく入ってきた。
「兄貴~遊びに来たぜ!旅行のお土産を買って…来たけど…。」
弟の視線は、黙々と皿を洗う死神に釘付けになる。
魎斗はテレビを見ながら軽く手を振る。
「お~久しぶり!元気にしてたか?」
弟は死神を指差し、怪訝そうな顔で尋ねた。
「あれ、誰?」
その言葉に魎斗は驚く。
「えっ?あれが見えんの?」
弟は不思議そうに死神を見つめ、次に魎斗を見た。
「あっ?え?男の人だよね?」
魎斗は頭の中で死神に問いかける。
「おい、カマ野郎。魁斗がお前のこと視えるんだとよ」
死神は皿を洗う手を止め、振り返ると丁寧に挨拶をした。
「はじめまして、魁斗さん。私は死神です」
その言葉に頭の中で魎斗は慌ててツッコむ。
「バカ!『死神です』って言って、『ああそうですか』なんてなるわけねぇだろ!」
死神は軽く溜息をつきながら説明を続ける。
「あのですね、物を触るには実体化するしか方法がないんです。だから当然、魁斗さんにも私が見えるわけで…」
魎斗はその説明に苦い顔をしながら納得しながらも、魁斗の方を振り返る。
「だったら――」
魁斗が会話に割り込むように話し始めた。
「死神さんですか…。通りで頭の中で声がするわけだ」
その一言に、魎斗と死神は同時に魁斗の顔を見つめた。
「え?」「え!?」
魁斗は笑いながら続ける。
「実は俺、家族には内緒にしてたけど、昔から霊感があるんだよね~」
そして、お土産をテーブルに並べながら言った。
「嘘だと思うなら、ほらコレ」
魁斗が指差した先には、半透明の犬が座っていた。
死神はその犬の前に正座し、挨拶する。
「ああ!はじめまして!狛犬さん!」
すると、その犬がドスの効いた声で答えた。
「さん呼ばわりするな!馴れ馴れしいぞ!」
なんともまあ、ドスの効いた声をした犬だこと――。
めでたしめでたし…後半に続く。
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