今日も、元勇者が来るんだが!?

SIYO

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1話「ビンタから始まる覚醒」

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50年前…
世界を混沌へと陥れた最強の魔王の前に、希望を背負った三人の勇者が現れた。
「やっと辿り着いた…魔王!お前を倒す!」
カルレインは全身から溢れる魔力を剣に込める。
「やっと来たか、希望を背負わされし者よ…」
魔王はゆっくりと玉座から立ち上がり闇が宿る瞳でカルレインを見つめ、剣を引き抜いた。

死闘を繰り広げた両者は致命傷を受けながらも退くことをしなかったが、勇者に分があった。
「これで終わりだ…魔王グラール!」
光り輝く剣は魔王の心臓を貫いた。
魔王は後退りをしながら不気味に微笑み
「これでいい…これでしばらくは世界は平和になるだろう。貴様のような者が現れるのを待っていた…」
魔王はそれだけを言うと地面に背中から倒れた。

見事、魔王を打ち倒した勇者達は世界中で讃えられることになる。

魔王軍が滅びた世界は平和だった。
しかし、10年足らずで世界では人間同士の争いが絶えず勃発していた。
環境破壊、希少な魔物の絶滅、宗教戦争、差別
これは全て人間が引き起こしたことだった。

ことあるごとに魔王が原因だと言う始末。

地上に悪の瘴気が満ちるとき、再び彼は目覚める。

そして再び彼は長い眠りから目を覚ますのだった

「……さま?…様!起きてください!起きろ!」
「まだ昼の13時じゃないか…もう少しッ!」
「寝坊助が!」
なにやら鈍い衝撃音が暗闇の中で響くと、眠っていた本人が目を覚ました。
「おはようございます、グラール様」
眠っていたのは勇者に討たれた魔王グラールだった、左頬が真っ赤に腫れていることを除けば。
「シャルディーか?っていうか、私を殴ったよね?」
シャルディーは顔を左右に振りながら
「いえいえ、蚊が止まっていたので」
魔王グラールは叩かれ赤くなった頬を摩りながら
「まだその季節じゃねぇだろうが!」とツッコんだ。
魔王グラールは長い眠りから覚めた影響で体をほぐしながらシャルディーに尋ねる。
「あれからどれくらい経った?」
シャルディーは資料を眺めながら
「50年です。貴方様が眠っている間、魔王城の修繕は滞りなく。」
「そうか、苦労させたな」

シャルディー伯爵 女性
黒い長髪が特徴的で腰まである。
乱暴者ではあるが、礼儀を弁える。
どんな相手だろうと接し方を変えない。

魔王グラールは修繕された広間を見下ろすと、生前というか昔、座っていた玉座に目が向いた。
魔王グラールは玉座に走って近付き手を広げ
「シャルディーさん?昔より玉座が小さくなってないかな?」
「天井を修復するのに少しだけ削らせて頂きました」
天井を見上げると魔王グラールの戦いの歴史が、見事な彫刻として存在感を放っている。
頑張った私!というシャルディーの横をトボトボと歩き、玉座に腰を下ろした。
広間を見渡し玉座の肘掛けに手を置き、ため息をついてシャルディーを見て言い放った。
「え、やっぱりこれ威厳ないように見えるだろ」
「そのうち慣れます」
「私がな」
「わがまま言わないで下さい。一人で頑張ったんですから!」
シャルディーのムスッとした顔をしたまま何処かへ行くと、魔王グラールは元気そうな部下に安堵し微笑んだ。
「あれから50年か…勇者が生きているとすれば、80歳か?70歳だったか?どうだったかな?」
静けさが充満する魔王城で居ても立っても居られなくなった魔王グラールは、50年振りに外に出てみることにした。
縦15メートル、横18メートルのミスリル鉱石で造られた門は魔王グラールが近付くと、ゆっくりと音を立てて開いた。
「私もお供します」
魔王グラールは声が聞こえて振り返ると意気込む
シャルディーの姿が目に入った。
「だと思った…よ!?なんだ、そのフル装備は!?」
意気込むシャルディーは戦闘専用の装備に着替え、自分の2倍もある大剣を抱えていた。
「外では何か起きるかもしれませんし」
「私をなんだと思ってるんだ?」
「勇者に負けた魔王です」
「あ、うん。分かってるから、それを言わないで欲しかった」


 第二章 さあ、外へ!

番外編   魔王城から少し離れた道で…
「そういえば水筒とか用意してくれた?」
「はい?私は持ってきてますが」
「まあ無くてもいいか!」
「ダメです。取ってきて下さい」
「え?もう城からだいぶ離れてるし…」
「だいぶじゃないです、少しです」
「ほら!近くの村で買えるだろうし!」
「無駄遣いしない!」
「あなたは私のお母さん!?」

お散歩するときは飲み物は大事!
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