きんきらりん

ユヅキ

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五章

きらきら星のように

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やがつ家に帰ったら一家。
すると星奈は、
あるものを探し始めた。
『どうしたの?』
何を要求しているようだ。
『何が欲しいの?』
写真を見せても振り払ってしまった。
大きなパニックになってしまい、
家の中で暴れ始めた。
『せっちゃんやめて!』
星奈のパニック声は近隣住民にも
聞こえてしまった。
『虐待でもしてるんじゃない?』
『早く役所に知らせたほうが••』
と話す人がいた。
『せっちゃん••』
気になった美智子は家のチャイムを
鳴らした。
『大丈夫?舞子さん。』
『お母さん、何でいきなり来たのさ!』
『近所で噂になっちゃって••
せっちゃんは大丈夫?』
『僕たちで何とかしたいんだ。
だから早く帰って!』
美智子はとぼとぼと帰っていった。
星奈がパニックになった原因は
お気に入りの玩具を見失ったからだった。
『落ち着いた?』
『うん。寝ちゃった。』
枕元にお気に入りの玩具を置いた。
やはり、障がいを持つ子供のパニックは健常の人々に理解してもらうことは難しいとつくづく思う
舞子と雅春だった。
そこで舞子は星奈の事を近所の住民に
理解してもらうべく、
星奈の特徴を書いた手紙を近所に配布
する事に。
『これならきっと近所の皆さんも••』
という思いで一生懸命書き上げていった。
近所や商店街にも手紙を配布。
やがて雅春も配布を手伝い、帰る時間は気がつけば夜中だった。
しかし••
受け入れてくれる人はあまり多くはなかった。
家を閉め出されたり
破られたりという事が相次いだ。
『でも••理解してもらうために
絶対に諦めたくはない••!』
『そうだな。
障がい者だって人間だ。
ちゃんと存在について知らせないとな。

雅春も強力の元、
全ての近所に配り終わった。
するとその様子を見ていた舞子の母•
百合子が心配そうな顔で舞子の顔を
伺った。
『ねぇ、さっきから具合悪いけど
大丈夫?
前から思っていたけど、
頑張りすぎじゃない?』
『分かってる。
でもせっちゃんの障がいと上手く向き合いたいの。
私がせっちゃんを見捨てたら、
せっちゃんはどうなるの?』
『そんなわけじゃないんだけど••お母さんは心配性すぎて私の事を気にかけて過ぎ!頑張りたいの、私は。』
『構えてもらえない遥も可哀想だと
思うけど••』
『遥くんには遥くん。
せっちゃんにはせっちゃんのそれぞれの愛情があるの。それが分からないお母さんには、言われたくない!』
『舞子!』
親子仲が険悪になった。
『少し言い過ぎじゃないのか?
お母さんも舞子の事を思って言ってるんだぞ。』
『でも••お母さんは心配し過ぎ。』
昔から努力家な舞子を心から心配していた。
色々な自閉症の本を読んでも
やはりどのようき理解してもらうのが
非常に難しい。
そんなある日、
舞子が何気なく書店に寄った時の事。
ある一冊の本が目に留まった。
その本は
同じ障がいを抱える少年の物語。
その本にはさまざまな辛い経験を
詩に表していた。
『僕は冷たい硝子のカケラを
浴びせられた。
僕のせいで家族も崩壊してしまった••』
すると舞子は
自分の経験した星奈の全ての育児を
思い出した。
冷たい視線• 親子喧嘩• すべて重なって見えた
『この人••同じ経験をしていたんだ。
何だか私と似てる••』
同じ障がいで苦しむ人が初めて
知った舞子。
心打たれた舞子はこの本を購入。
『この本なら
向き合い方が分かるかもしれない••』
一度この本を読んだ舞子は、
何時間もこの本を読み続けた。
『5歳で自閉症と診断され、
小学校で皆と同じように進んだ••』
本を読み進めると
徐々に星奈の未来が見えてきた。
『いずれせっちゃんも、
こんな未来が待っているのかな••?』
ある日
星奈と公園に遊びにきた時の事。
舞子はその様子を見守っていた。
周囲の子がする遊びと少し違っていたが、
楽しそうに遊んでいる姿を
見るだけでホッとした。
『お花並べてるの?
じゃあママに一つくださいっ!』
花を一本抜き取ると
星奈は少し怒り始めた。
『ごめんごめん。』
舞子が星奈に花を渡そうとした、
その時!
太陽の光を見た星奈が
激しく目を瞑り
しゃがみ込んだ。
『んーっ。んーっ。』
苦しいと気づき始めた舞子は、
直ぐに家に帰宅する事に。
『せっちゃん••』
心配した舞子は、
星奈に水分を取らせた。
光や色に反応するのも
この障がいの特徴である。
『視覚が過敏••
光や色がストレスになる子供もいます。』
病院でもらった自閉症についての
本を見て星奈の事が
大きく掴めるようになった。
『お日様の光を見ただけで、
こんなに苦痛になるんだ••』
まだまだ気づかないところばかりだった。
舞子は星奈に出かける時に帽子を被るように教える事にした。
『簡単に覚える方法って無いのかな••』
『どうした?』
『あっ、雅春さん。
実はせっちゃんがどうやったら
帽子をかぶってくれるのか
分からなくて••』
悩むばかりの舞子。
そこで彼女が思いついたのは、
星奈がいつも見ているアニメを使う
作戦にする事に。
『せっちゃん、エンジェリーナも
帽子被っているから、
せっちゃんもかぶってみない?』
すると星奈は
反応したのかエンジェリーナの人形を見て、
帽子を被せる舞子をじっと見ていた。
『おっ、食いついたか?』
そして舞子は帽子を見せる事に。
すると自然に帽子をかぶり始めた。
『せっちゃん!凄い••!』
驚いた舞子は、星奈を思い切り誉めた。
それ以来星奈は
登園やお出かけなどには
自分から帽子をかぶるようになった。
帽子をかぶっている星奈を見て、
酒井先生は驚いていた。
『せっちゃん!
帽子かぶるようになったんですか?』
『そうなんです。
私が帽子を持ってくると自分から、
帽子をかぶったんです。
私も驚きと喜び上がりました。』
『えぇ!
お母さんもせっちゃんも頑張りましたね。』
この日の朝は
悦びに溢れた時間だった。
すると、それを見ていた兄の遥が
星奈に話しかける舞子と雅春の姿を
見て、少し不機嫌気味だった。
『どうしてせっちゃんだけ••』
そして星奈が雅春と出かけている時、
ついに
遥は今まで胸に秘めていた事を打ち明けた。
『ねえ、
どうしてせっちゃんだけ
いつも遊んでもらえるの?
僕だってパパとママに遊んでもらいたいよ!いつも一人やお爺ちゃんとお婆ちゃんばっかりでつまらない!』
『遥くん•••』
すると遥が衝撃的な一言を口にする。
『せっちゃんなんか••せっちゃんなんか••』
『せっちゃんなんか居なくなればいいいんた!』
『!!』
遥の衝撃発言に驚く舞子。
『遥くん••どうしてそんな事言うのかな?
パパとママも、遥と沢山遊んであげたい。だから••』
『もう知らない!!
パパとママなんか、大嫌い!!』
『遥くん!』
遥は走ってその場を去った。
もうすぐ日が暮れようとしていた。
『もう、パパとママは僕の事が
大嫌いなんだ••』
遥はとにかく遊びに集中した。
するとそこへ••
『み~つけた。』
舞子の姿があった。
公園のベンチで二人は話す事に。
『ごめんね、
いつも構ってあげられなくて。』
『どうせパパとママは、
僕の事が嫌いなんだ••』
ふてくされる遥に、
舞子は優しく頭を撫でた。
『そんな事ないよ。
パパとママは遥くんの事が大好き。』
『本当?』
『うん。ほんと。』
『でも遥に寂しい思いをさせて本当にごめんね。
せっちゃんは他の子とは
違うところが沢山あるでしょ。
みんなが簡単な事でも、せっちゃんにとっては難しい事なの。』
『どんな事?』
『おしゃべりしたり、上手くお友達に
伝える事がとても苦手だし、
光や音も苦手。
だからパパとママも、難しい事と向き合うせっちゃんの力になってあげたい。
だから••わかってくれる?』
舞子は遥が普通に出来る事も、
星奈にとって困難な事、
そして困難な事ができた時の喜びを分かってほしいと遥に伝えた。
『うん、分かった。
だって星奈は僕のたったひとりの
妹だもん。』
『ありがとう。
でもこれからはパパとママも、
遥にもちゃんと向き合って行くからね。』
『ママ、星がいっぱい出てるね。』
『本当ね。凄く素敵。』
この時、舞子は星奈の名前の由来を
思い出していた。
『きらきら輝く星のように••』

あの星のように子供たちがキラキラ
輝いて生きていけますように••••


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