聖女は難しい

ナナ・キクチ

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第二章

それからのボロボロ

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    私の頭中はぐるぐる回転してます。前世を思い出していました。
   目が開きません。手も動かせません。声も出せません。
   でも耳は聞こえています。
   私はシーツ毎運ばれました。

    床にそっと降ろしてくれました。
   「ありがとうございました」シスター姉さまのこえが聞こえました。
   一人の騎士が「騎士全体が隊長の考え方では無いです。しかしながら
   私達も騎士団の一員です。命令は絶対です」
   去っていく足音が聞こえます。

    シスター姉さま達が硬いベットに移してくださいました。
   一人の姉さまが「これからどうなるのでしょうか?」
   別の姉さまが「どうもなりません。私達は粛々と日々ご奉仕をし、
   神々にお祈りを捧げるだけです」
   「ミミナ様が心配です」
   「神々様にお祈りいたしましょう」

    姉さま達がベット周りに集まりお祈りします。
   「ミミナ聖女様、早くお目覚め下さいませ。元気な声を聞かせてください」
   私の様子を確認され部屋から出て行かれた様子です。
   部屋の小さな灯りを燈してくれました。

    薄目が開いています。心より感謝いたします。(ありがとう姉さま達)
   涙が零れ、嗚咽が漏れます。
   体を転がし片腕で支えて起きました。

    チー太郎がベットに来てくれました。
   「チーちゃん、私、前世を思い出して頭の中、混乱が続いているの」
   「ナナミお前を襲ったのは、ゆるゆる国王だ。手配したのは神殿長に騎士が
   ふたり。ゆっくりしている暇は無いぞ。国王の鼻を顎をヒットしたんだ。
   鼻は骨が折れた。まあ治ったがな。王国治療師達が大変だった」

   「今すぐ神殿をフケロ」
   「私フケが凄いの」
   「そのフケじゃあ無い。逃げろと言っている、まがりなりにも
   あいつは国王だ。
   国王を傷つけて、無事ではいられないだろうが。皆にも迷惑が掛かる」
   「ではババ様のお屋敷に転移魔法で移るわ」
   「転移魔法はやめとけ。一番に屋敷に追ってがかかる。
   その時お前がいたり少しでも痕跡があったりしたら、転移魔法
   とか秘密の部屋がバレル危険がある。
    夜明け前に神殿の下働きに混じって抜けろ。靴は上物で被り物で体を隠せ」
   「靴は何故」
   「優秀な門番は何気に記憶しているもんだ。お前が神殿の外に
   出たかもしれないとか」
   「チーちゃんが優秀すぎる。スパイ、忍者の出身ですか?」

   「遊んでいないで支度しろよ。おらは、いや俺は預かっていた
   マジックバックを持ってくるわ」
   「神殿を出たら路地で左右上下確認後ババ様のお屋敷隠し部屋に転移しろよ。
    そこで3日間隠れていてくれ。俺の一族もそちらに移動する」

    マジックバックを受け取り、中から修業時代のお掃除シスター服を取り
   出しました。
   小さいです。無理です。
   洗濯室に転移します。籠から適当に下働き用の服をお借りしました。
   部屋に戻り、急いで服を着て準備します。チョット服が匂います。臭いです。
   腰に紐を二重に巻き、マジックバックを括り付けました。
   (落とさない様にね)
   私の好きな靴をはき、頭からショウルを被ります。
   準備完了。「チーちゃん、ナナミ行きます」
   

    下働きの人達が使うドアが開きます。外の柱の陰から合流します。
   何気なく隣りの叔母さんの話を聞く振りをして通用門にむかいます。
   心臓バクバク、手はギュウと固くショウルを握りしめていて。
   
    門を抜けました。止められる事もなくて、良いのでしょうか?
   (まあ神殿ですからねぇ。いいのではないでしょうか)

   チー太郎様の指示に従い路地に潜り込み、右手良し、左手良し、
   上良し、下良し、指差し確認良し。
   小さな声で確認後、転移魔法発動です。
   前世のルーティン染み付いています。会社の新人教育凄いです。
    
    ババ様のお屋敷隠し部屋に到着です。
   私は最奥のお風呂に急ぎます。
   船風呂にお湯を張ります。温かいお湯が出て来ています。嬉しい。
   真っ裸になります。

    そうでした。忘れていました。
   バリアシールド確認していません。
   走ります。そのままの姿で。
   隠し部屋の扉を確認します。
   大丈夫でした。(良かった)

    ババ様の部屋からは本棚が置かれている位置に隠し部屋の扉があります。
   扉はシールドで保護されていて、ババ様と私の魔力でないと開けられない
   様式です。
   本当にババ様ありがとう。
   
    安心してお風呂に入れる。オフロ、オフロ。
   戻りました。
   淵からそーと足を入れて行きます。
   温かい。
   お湯が零れる。体を沈める。腕を脇に、手を握りポージング、頭まで
   ゾクゾクが走ります。
   「フウー」息が漏れます。
   そのまま、湯船に頭迄沈めます。
    お風呂改造していて良かった??。
   私が前世思い出したのは先日のはずなのに?
   日本式お風呂場がある。
   何故。解らない。
    それよりも、今は髪を洗いたい。泡泡。
   体はゴシゴシ3回も洗ってしまった。
   桶に汚れと垢が酷い。我ながらドン引きです。
    静かに再び湯船につかっています。
   指先がフニャフニャです。
   もう上がりましょうかね。
   
   フワフワタオルで全身拭き上げます。風魔法で髪を乾かして
   寝間着を出し寝支度完了です。
   ベット寝られる状態でした。
   もう寝よう疲れた。色々な問題あるけど明日にしよう。
   「おやすみなさい。神々様、チーちゃん、姉さま達
   今日お世話になった皆様」


  
   
   

   
   
   






   
   




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