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ところ変われば女子高生!
121.美羽をめぐる想い-亮子
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私…亮子は、美羽の事が大好きである。
けれど仁兄ぃの事は、もっと好きだ。
それは従兄妹としてではない。
異性としてである。
美羽が神崎家の養女だという事は知っていた。
まだ亮子も四歳の時だが、いきなり従弟の家に自分より小さな女の子が来た事をうっすらと覚えている。
大好きな従兄のお兄ちゃんに妹ができたと聞かされた。
その子が私より一つだけ年下で、その時には意味が良く分からなかったが小学校にあがる頃には何となく美羽は、”養女”なんだな?という事が理解できた。
そして、美羽はそれをわかってかわからずでか、「美羽、おっきくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!」が、口癖だった。
私にはそれが、小さい子によくある可愛いらしい言葉ではすませられなかった。
そう、だって、美羽と仁は本当にそうしようと思えば結婚だってできるのだ。
本当の兄弟ではないのだから…。
それどころか、神崎の家の人たちは、むしろそうなれば良いと本気で思っているようだった。
そして小学校の高学年になった頃だろうか?自分の仁兄ぃに対する想いを恋心だと意識しだした頃、我慢できなくなり美羽に告げた。
「なに言ってるの?兄妹は結婚なんかできないわよ!」と…。
「そんなの、常識じゃない?」とまで付け加えて…。
本当は知っていた。
美羽と仁兄ぃが結婚しようと思えば、何の障害もなく結婚できる関係だという事を。
血が云々などと言えば従弟である自分の方が、よほど血が近いという事を…。
でも、知らない振りをした。
親たちも私が知らなかったと言えば信じるだろうし、自分が意図的に言ったなどとは思わないだろうと踏んだのだ。
そう…私はずるい。
でも、美羽のは単純に大好きなお兄ちゃんとずっと一緒にいたい…程度のお子様の想いだった。
そう恋になる前に私が、その芽を摘んだのだ。
最初は少しばかり罪悪感も覚えたが、美羽が中学の頃、美羽の友達の告白を仁兄ぃが、冷たく突き放したことを怒り美羽の”兄離れ”は加速し、私は内心ほっとしたものだった。
それなのに…
美羽は事故のせいで記憶の所々がかなり抜け落ちている。
そのせいで、仁兄ぃのことを兄として認識できていないようだ。
けれど実の兄妹ではない事も忘れている。
その事で悩んでいるのだろう…。
そう、あの時…。
うちにきて、美羽が気分が悪そうにしていたあの時。
仁兄ぃが抱きあげたら、美羽は、耳まで真っ赤になっていた。
その時の姿を思いだすだけで胸の中がもやもやして苦しくなる。
そして仁兄ぃも、以前と違う美羽の反応に戸惑って意識しているように見える。
美羽が望めば仁兄ぃは、美羽を受け入れるだろう。
そして、あの家族はそれを祝福するだろう。
あの一家は皆して本当に美羽が大好きなのだ。
嫌だ!嫌だ!嫌だ!
どうして?どうして今さら…。
美羽の事も仁兄ぃのことも大好きだ。
でもその二人がくっつくのなんて許せない。
でも、そんな事を思う自分も許せない。
出来る事なら自分も記憶を失いたい位なのだ!
仁兄ぃを好きだったこれまでと今の気持ちを…。
自分から本当の事は言わない…。
でも、邪魔もしない…。
それが…私のぎりぎりのプライド…。
欠片ほどに残った良心…。
ごめんね…美羽…。
ごめんね…仁兄ぃ…。
私が美羽に言わないせいで二人は遠回りしているのかもしれない。
なんて罪深いのか…。
なんてずるいのか…。
それでも二人が運命の二人だったのなら結ばれるべくして結ばれるだろう。
二人が結ばれる運命の二人だったのなら、美羽が記憶を失ったこともまた運命だったのかもしれない。
二人が…ううん…美羽が仁兄ぃと向き合えるようになるために…
二人は遠からず結ばれるのだと思う…。
それは、私がどんなに嫌でも、それは変わらないだろう。
その時こそ、どんなに辛くても、どんなに苦しくても耐えるからごめんなさい。
そして、私はその時が来るのを恐れながらも待ち続けているのだった。
けれど仁兄ぃの事は、もっと好きだ。
それは従兄妹としてではない。
異性としてである。
美羽が神崎家の養女だという事は知っていた。
まだ亮子も四歳の時だが、いきなり従弟の家に自分より小さな女の子が来た事をうっすらと覚えている。
大好きな従兄のお兄ちゃんに妹ができたと聞かされた。
その子が私より一つだけ年下で、その時には意味が良く分からなかったが小学校にあがる頃には何となく美羽は、”養女”なんだな?という事が理解できた。
そして、美羽はそれをわかってかわからずでか、「美羽、おっきくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!」が、口癖だった。
私にはそれが、小さい子によくある可愛いらしい言葉ではすませられなかった。
そう、だって、美羽と仁は本当にそうしようと思えば結婚だってできるのだ。
本当の兄弟ではないのだから…。
それどころか、神崎の家の人たちは、むしろそうなれば良いと本気で思っているようだった。
そして小学校の高学年になった頃だろうか?自分の仁兄ぃに対する想いを恋心だと意識しだした頃、我慢できなくなり美羽に告げた。
「なに言ってるの?兄妹は結婚なんかできないわよ!」と…。
「そんなの、常識じゃない?」とまで付け加えて…。
本当は知っていた。
美羽と仁兄ぃが結婚しようと思えば、何の障害もなく結婚できる関係だという事を。
血が云々などと言えば従弟である自分の方が、よほど血が近いという事を…。
でも、知らない振りをした。
親たちも私が知らなかったと言えば信じるだろうし、自分が意図的に言ったなどとは思わないだろうと踏んだのだ。
そう…私はずるい。
でも、美羽のは単純に大好きなお兄ちゃんとずっと一緒にいたい…程度のお子様の想いだった。
そう恋になる前に私が、その芽を摘んだのだ。
最初は少しばかり罪悪感も覚えたが、美羽が中学の頃、美羽の友達の告白を仁兄ぃが、冷たく突き放したことを怒り美羽の”兄離れ”は加速し、私は内心ほっとしたものだった。
それなのに…
美羽は事故のせいで記憶の所々がかなり抜け落ちている。
そのせいで、仁兄ぃのことを兄として認識できていないようだ。
けれど実の兄妹ではない事も忘れている。
その事で悩んでいるのだろう…。
そう、あの時…。
うちにきて、美羽が気分が悪そうにしていたあの時。
仁兄ぃが抱きあげたら、美羽は、耳まで真っ赤になっていた。
その時の姿を思いだすだけで胸の中がもやもやして苦しくなる。
そして仁兄ぃも、以前と違う美羽の反応に戸惑って意識しているように見える。
美羽が望めば仁兄ぃは、美羽を受け入れるだろう。
そして、あの家族はそれを祝福するだろう。
あの一家は皆して本当に美羽が大好きなのだ。
嫌だ!嫌だ!嫌だ!
どうして?どうして今さら…。
美羽の事も仁兄ぃのことも大好きだ。
でもその二人がくっつくのなんて許せない。
でも、そんな事を思う自分も許せない。
出来る事なら自分も記憶を失いたい位なのだ!
仁兄ぃを好きだったこれまでと今の気持ちを…。
自分から本当の事は言わない…。
でも、邪魔もしない…。
それが…私のぎりぎりのプライド…。
欠片ほどに残った良心…。
ごめんね…美羽…。
ごめんね…仁兄ぃ…。
私が美羽に言わないせいで二人は遠回りしているのかもしれない。
なんて罪深いのか…。
なんてずるいのか…。
それでも二人が運命の二人だったのなら結ばれるべくして結ばれるだろう。
二人が結ばれる運命の二人だったのなら、美羽が記憶を失ったこともまた運命だったのかもしれない。
二人が…ううん…美羽が仁兄ぃと向き合えるようになるために…
二人は遠からず結ばれるのだと思う…。
それは、私がどんなに嫌でも、それは変わらないだろう。
その時こそ、どんなに辛くても、どんなに苦しくても耐えるからごめんなさい。
そして、私はその時が来るのを恐れながらも待ち続けているのだった。
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