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十一話
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「それじゃあ今日やってもらうことだけど。リュヒルさんとミーナちゃんは給仕をお願い、イグアス君は厨房を。」
「「「はい。」」」
「団体様は後20分もすれば来ますが絶対からかわれるので適度なあしらいをするように。」
そう若者のエキスを奪い取ろうとするマダムたちが迫りくるのだ。いちいち相手していたらきりがない。有無を言わさないマシンガントークで紙装甲の若者の夢を経験で否定する歴戦の子育てを納めた者たち。
ヒトは彼らをBBAと呼ぶ。
そうブラックバイトアニマルと
(訳 黒い牙の猛獣)
さてさてそうこうしているうちに来たようだ。
「お父さん、今日は借りるね。」
まぁ猛獣たちの相手をしなくていいらしい。マスターの娘さん達が8人くらいで来店した気配を感じた。
「お父さん、イグアスさん来てる?」
マスターの娘で名前は綾香、会ったことはあるのだがどうも俺に好意を持っているらしくミーナとは俺のこととなるとすぐ殺気を出すのだが、普段は仲がいい。
「来てるけどからかわないように。今日は美女が二人連れてこられているから修羅場になるとお客様が怯えてしまうからね。」
マスターがこのような言い方をするのは既にバレバレだからである。
「はーい、後今日は新しい転校生の友達連れてきたよ。愛理ちゃん、ランクBスキルは剣使いでスキル昇華もしてるんだって。」
「初めまして愛理と申します。ところで件のイグアスさんはどなたでしょうか。」
愛理と呼ばれた少女は俺を指名してきたらしい。
「今厨房にいるから呼んでくる?」
「お願いします。綾香の思い人がどんな人か気になるので。」
その他の女子たちも盛り上がる。
「そうそう綾香の思い人ってカッコいいのよね。病気が治ってたら私も立候補してもいいくらい。でも最強の敵をいるけどね。」
「そうよね。ミーナさんだったわよね。あの人綺麗だし幼馴染だししかも病気のことも理解してくれるいい人よね。」
女子たちはどんどん盛り上がる。
「まあまあ、とりあえず実物ね。」
「初め、久しぶり愛理。母さんと妹の恋華が失踪して以来か。叔母さんは元気にしてるかな。」
そう愛理は従姉妹であった。見間違う筈のない母によく似た顔立ちと黒髪、そして名前を聞けばすぐに気づいた。
「久しぶりです、イグアスさん。和名は完全に捨てたんですね。」
「まだ戸籍上は残っているよ。まあ綺麗になったな。」
「お褒めに預かり光栄です。出来れば和名の方で読んでもよろしいでしょうか。私はそちらの方が馴染み深いので。」
まだ幼い時は母から貰った名前で呼び合った仲だ。やりにくさもあるのだろう。
「悪いがそれはプライベートのときだけにしてくれ。」
俺は眼で真剣に語りかけた。
「「「はい。」」」
「団体様は後20分もすれば来ますが絶対からかわれるので適度なあしらいをするように。」
そう若者のエキスを奪い取ろうとするマダムたちが迫りくるのだ。いちいち相手していたらきりがない。有無を言わさないマシンガントークで紙装甲の若者の夢を経験で否定する歴戦の子育てを納めた者たち。
ヒトは彼らをBBAと呼ぶ。
そうブラックバイトアニマルと
(訳 黒い牙の猛獣)
さてさてそうこうしているうちに来たようだ。
「お父さん、今日は借りるね。」
まぁ猛獣たちの相手をしなくていいらしい。マスターの娘さん達が8人くらいで来店した気配を感じた。
「お父さん、イグアスさん来てる?」
マスターの娘で名前は綾香、会ったことはあるのだがどうも俺に好意を持っているらしくミーナとは俺のこととなるとすぐ殺気を出すのだが、普段は仲がいい。
「来てるけどからかわないように。今日は美女が二人連れてこられているから修羅場になるとお客様が怯えてしまうからね。」
マスターがこのような言い方をするのは既にバレバレだからである。
「はーい、後今日は新しい転校生の友達連れてきたよ。愛理ちゃん、ランクBスキルは剣使いでスキル昇華もしてるんだって。」
「初めまして愛理と申します。ところで件のイグアスさんはどなたでしょうか。」
愛理と呼ばれた少女は俺を指名してきたらしい。
「今厨房にいるから呼んでくる?」
「お願いします。綾香の思い人がどんな人か気になるので。」
その他の女子たちも盛り上がる。
「そうそう綾香の思い人ってカッコいいのよね。病気が治ってたら私も立候補してもいいくらい。でも最強の敵をいるけどね。」
「そうよね。ミーナさんだったわよね。あの人綺麗だし幼馴染だししかも病気のことも理解してくれるいい人よね。」
女子たちはどんどん盛り上がる。
「まあまあ、とりあえず実物ね。」
「初め、久しぶり愛理。母さんと妹の恋華が失踪して以来か。叔母さんは元気にしてるかな。」
そう愛理は従姉妹であった。見間違う筈のない母によく似た顔立ちと黒髪、そして名前を聞けばすぐに気づいた。
「久しぶりです、イグアスさん。和名は完全に捨てたんですね。」
「まだ戸籍上は残っているよ。まあ綺麗になったな。」
「お褒めに預かり光栄です。出来れば和名の方で読んでもよろしいでしょうか。私はそちらの方が馴染み深いので。」
まだ幼い時は母から貰った名前で呼び合った仲だ。やりにくさもあるのだろう。
「悪いがそれはプライベートのときだけにしてくれ。」
俺は眼で真剣に語りかけた。
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