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23話

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「しかし、イグアスさんは本気を出していませんよね。」

愛理はイグアスの持っている槍を指さす。

「よくわかるな。だけど、これは見てくれだけのものだぜ。」

そういい槍を見せた。愛理は興味深そうに槍を見つめていた。

「なるほど、確かに人相手には見てくれにしかなりませんね。イグアスさんでなければ。」

最後はこの場にいる者たちにしか聞こえないように小さな声で話しかけた。

「おっと愛理それ以上の話は談話室でやろうか。すでに使用許可は出してあるからな。」

一応のトーナメント戦での他の人にできないような情報交換にあたり談話室というものが設けられていた。最も使い方は特に指定されておらず使用後片づけをしなくても巻き戻しの魔道具によって書き物の痕跡などは無くなるため別の使い方もされているとの噂があるが。

その談話室に入っていた。

「それでだ。俺の槍に関してだが一応リュヒルの槍と同じ魔道具だがそんなたいそうなものではない。」

アタッチメントを外し魔道具名を唱える

「木槍 折紙。それが俺の魔道具でミーナも初めて見たろ。」

「うん、そんなのいつ買ったの。バイト代なんて些細なモノでしょう。魔道具は高いって聞くし。」

リュヒルは四則演算使いを発動しながら俺の小遣いがいくらか算出し多分買えないと計算しだした。

「それは性能によって違うわよミーナ。私の雷槍 イナヅマは数億くらいって話だし。お父様の財産なら眉唾物だけどその性能によっては数万円でも買えるって話よ。魔法属性があるだけ物理が聞かない敵への切り札として持たせる隊も多くあるわ。」

どうやらミーナは世間知らずにもほどがあったらしい。

「つってもミーナみたいな本来このが学園に通わない一般スキル持ちが知るところではないだろうによ。ちなみに俺のは300万バイト代が全部吹っ飛んだぜ。ホレッこれがこの槍の能力だ。」

折紙によって創られた紙の穂先を見せる。

「紙を操る槍?」

「確かにその程度の能力なら安く買えるかしら。相場どうりよりかは少し高いように感じるけれど一般人が買うなら打倒な形かしらねえ。でももっと一瞬だけど着火する槍とかもあると思うけどなぜそれにしたのかしら。」

ミーナとリュヒルが興味津々といった感じで話す。

「それは早計ですよ。使い系だからこそイグアスさんはそれを選んだんですよね。」

「まあそんなとこだ。ミーナもなんとなくは解ったろ。」

「ああ、なるほどね。」

「ちょっと今まで気なっていたのだけれど術師系と使い系ではランクは術師系の方が上なのに使い系の方が強いとイグアスたちは話している。それは何故?」

リュヒルが思わずつぶやいた疑問に対して俺はひとつの答えを言うしかなかった。

「術師系スキルの方が強い。それは事実だ。使い系スキルは担い手を選ぶだけだ。」

その答えは学園長が聞いているかもしれないからこれしか言えないという強い眼差しからきた。答えだったことにリュヒルは気づかなかった。こうして談話は終わった。

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