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初めて核が試験的に落とされたとき、その飛散は我々の想定をはるかに超えていた。

何も今を生きる人類に反応があったわけでもなかったため、実験は続けられた。
徐々に徐々に反応は大きくなり戦争で使われたころには既に遅かった。

男性が殆ど生まれなくなったのだ。

その分女性が三つ子か双子で生まれ、男性が生まれることは国が神輿を上げるほどの祭り事にまでなった。

男女比は10:1にまでなり、人口の増加を促すために人工授精の技術をいち早く確立。

人口は保たれ、建物も世紀末マンガのように荒廃することは無く、技術は発展、21世紀は訪れた。

しかし、人類は著しい人口難に追い込まれた。
発展途上国では人工授精の技術が発展しておらず、先進国では人口は数多くあるが、労働力が圧倒的に少ない。
そして女性の性欲は増す一方だった。

ついには男性の割合が100:1にまで到達したとき。

このままで数少ない男性から長期的に白濁の液体を取れなくなると判断した政府は男性を保護とは名ばかりの管理をすることに踏み出たのだ。

当時は様々な団体から批判を受けたが、発展途上国で実験的に行ってもらった結果人口が安定したため文句は言えなくなった。

今はいい具合に男性が管理され、ストレスなく過ごしていた。

ただ一人を除いて。
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