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意気投合し終えた松岡さんはスキルについての話を大雑把にだがしてくれた。

「あ、あと私たちのスキルの中に鑑定スキルみたいなものもありましたので使えると思いますよ。」
「そのようなスキルがあったんですね。」
「ええ、私たちはスキルが発見されたばかりの頃のに死んだ人間なのでそちらからすると優良スキルかもしれないモノがあふれているかもしれませんね。
 おっとそろそろ時間が押しているようです。
 最後に少しばかりお願いをしてもよろしいでしょうか。
 死者の未練とかそういうのではありません。
 2世紀の時にかの少年誌の最古参は終わりましたでしょうか。
 きちんと完結しているかだけが効きたかったんです。
 それだけ聞きたかったんです。
 私が自殺するときの心残りは好きだった作家より遅く生まれて早く死んだことでしたから。」

松岡さんの気になるモノはすぐに分かったがここでは告げないことにする。

「松岡さん、ネタバレは厳禁ですよ。」
「これはこれは私としたことが申し訳ございません。」

ある意味満足した顔をして松岡さんは成仏していった。

「死霊系のモンスターってめんどくさいのにこんな形で退治できるから恐ろしいわ。」
「でも、ダンジョンに一般人が死霊系モンスターとして出現していたことは珍しいね。」
「ほら、劇場と神話の女王(ブリュンヒルデ)が言ってたわよ。
 フィールド型のダンジョンには元一般人の死霊も多く居るって。」

終ったことを察知した二人はすぐにこちらに駆け寄ってきた。

「椿さんは大丈夫でしたか。
 私が無理に行ってしまったのもありますが身体に異常は見受けられますでしょうか。」
「今のところはないしすこぶるるいい気分よ。
 それよりもあなたは大丈夫なの。
 歴戦の仲間を失ったアドベンチャラーのような顔つきをしているけど。」

松岡さんは話してみるととてもいい人で当時のブラック企業の特性を教えてくれた。
当時のブラック企業は人間関係が最悪なところが多く今では国から設置が義務付けられているコンプライアンス委員会の設置もしていない企業だったらしい。
パワハラや高圧的な上司が数多く、俺みたいな偽造するのではなく圧力をかけて残業代を払わない風潮が造られていたそうだ。

どっちにしろ極限状態で身体を行使すれば判断も鈍くなってしまい弁護士に相談することもしなかったらしい。
こちらと同じ状況になった人物に対してはどうしても情が湧くというもの。
それで自殺したのならなおさらだ。

社会人が自殺するタイミングは新卒社会人か昇級した場合が多く、仕事量の変化や職場のハラスメントが主な原因と言われている。

「いえ、少しだけ自分と照らし合わせただけですよ。」

猫叉は何も言わずすり寄ってくる。
毛並みは悲しい感情の時でも暖かく気持ちよかった。
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