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夢を追いかけてなんどでも立ち向かおうとした漢にも、惚れた女には叶わなかったようだ。

「俺を惚れさせたお前が悪い。」
「何臭いセリフ言ってるんだい。
 惚れた奴が悪い。」

惚気を思いっきり聞かさせれている気分だ。
実際、そうなのだろうけど夫婦喧嘩をしているという構図が現状見えるからだ。

だって

「私に惚れた罪、その身で償いな。」
「俺を惚れさせた罪をその身で償いやがれ。」

肉体言語混じってるんですもん。
軽いジャブから某格闘漫画がZになってからは必ずあると言っていい高速バトル。

空中に行ってないから著作権にギリギリ引っかからないような攻防の数々を目の前で行われている。

光弾がでないだけで他は全て某格闘漫画の攻防だった。

その中に割って入るのは、また決まってみずきちゃんだった。

「両片思いだったくせに喧嘩すんなー!」

某ファンタジー魔法ギルド物語に出てくるネコ型キャラクターのアニメ声で彼らにチョップを出した。

「「ち、勝負はお預けだよ。
 娘に感謝するんだな(ね)。」」

捨てセリフも一緒だから似た者夫婦には変わりないのだろう。

「……話を戻すが、俺は葵君にはぜひともみずきと結婚してほしいんだ。
 みずきは見ての通り人見知りだし、心を許せる奴があまりいない。
 異性は特にだ。
 葵君と離れ離れになったときは枕を泣き漏らし洗濯物が大変だった。」
「それを選択していたのは私だけどね。」
「それを干していたのは俺だから大丈夫だ。
 んでだ。
 みずきはそれ以来男子との関りを断ち、いつの間にか葵君のお母さんと連絡を取り、部屋にはアニメの写真に紛れて葵君の成長写真が入っていたり。」
「送られてくる荷物の中に謎の物体が送られてきたりするのよね。
 みずき宛に送られてきたけど交換ノートか何かと思っていたけど結局あれは何だったの?」
「……秘密……。」

みずきちゃん、あんた何を頼んだ。
大真面目な顔をして問い詰めたい。
御両親のいる手前それは許されない。

「……嘘、葵お兄ちゃんの写真と恥ずかしい思い出日記……。
 お義母さんと交換してた。
 お義母さんとても喜んでた。」

俺の母親と交換日記をしていた。
つまり、俺のプライベートは包み隠さずさらけ出されているということ。

「うちの娘がストーカー行為をしてすまなかった。」
「別にそのくらいいいだろうに。」
「よくねえだろ。
 俺だってストーカー行為はしなかったんだぞ。」
「それ以外に高校生にで既成事実を作ってるんだからそっちよりもマシだろうに。」
「やめてくれ同意の上だったろ、みずきのは同意ではないだろ。」
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