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「一先ずは帰らせていただきます。
 私の部下に対する教育不足は大変申し訳なく思っております。」

 此処に居る男たちが立ち上がった。

「おまえさん、この土地を勘違いしていないか。」

「この土地は三つの王が存在する土地だぞ。
 土地の王より強い店主に逆らうってことは店主の裁量次第でここから帰れないってこともあるんだぜ。」

「ここの三つの王?」

「よもや知らずにここに来ていたとはね。
 店主も言ってやったらどうだ。
 ここ身を固める前は性が無かったと思うが、もうお前さんは世帯を持ったんだ。
 悪い虫が付いたり付きまとわれると困るだろうに。
 結界の指定もできるだろう。」

 魔導士ギルド「左目の巨人」のマスターに読み解かれた術式。

「では結界をいじるためしばらくは休業と致しますがよろしいのですか。」

「はっはっは、私は構わんよ。
 他の皆もそうだろう。
 ここでは国同士の争いごとも、異性との面倒事も離れて別世界に来る。
 最初に言ってくれたコンセプトを護れないようなら休むのも仕方が無いよな。」

 うんうんと頷く客が多いようです。
 これは困りました。
 店のコンセプトを護れるように従業員を配置したつもりでしたが、まだ完壁ではなかったようです。
 となればお客様の許可を得たことです。

「では即座に結界を解除致しますので皆さん生きて帰ってくださいね。」

「待ってくれ。
 後3時間以内にしてくれ。」

「ではそのように。
 逃げることをお勧めしますよ。
 レイナ・クイーン・ローウェル様。」

「何のことを言っているのかしら。
 あなたは私の婚約者でしょう。
 なら私を守ってくれて当然よ。」

 プッツン。

「女性だから守ってもらえるなんて言葉、僕は嫌い。
 女性だから守ってもらうなんて、どこのだれが決めたの。
 どくだみ茶でも飲めば少しは頭が良くなるんじゃない。」

「ど、ドクダミ茶。
 こ、このアマ。」

「ハイそこまで。
【強制退店】

 本来酔っ払いなどに使う店の防犯用術式を使い彼女たちを家に帰した。

「あのまま行くと店を片付けるのに苦労したよ。」

「はーい。」
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