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アサガオの花言葉は「固い絆」1
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季節は梅雨、6月に成った。
先日のように幾度となく風呂に押し掛けるようなことも無く朝と夕方に来る甘夏さんと来夢さんが来る程度で日常を過ごせている。
今朝も一緒に学校に向かっている・
「ねえねえアサガオ咲いてるかな」
「XXXちゃんのもきっと咲いているよ」
近所の小学生たちが会話をしている。
もうアサガオの開花時期だ。
日本に住んでいた人ならだれもが知っている風物詩だ。
学年が上がるにつれホウセンカ、ヒマワリ、ヘチマとランクアップしていくのも小学生時代の楽しみの一つだった。
まあ3年生当たりにめんどくさくなっていくのも実情なのだが……
「あ、そういえば私の育てているアサガオもそろそろつぼみが開きそうな感じですね」
「えっと秋芽さんって人にあげるんだっけ?」
「はい!」
「会ったことないけどどんな人なんだろう?来夢さんは知ってる?」
「私も蒼汰君と同じで秋芽さんには会ったことないな。夏目さんの言う感じだと秀専学園の生徒会長をしている真面目さんなんだって」
「生徒会長……あの人が秋芽さんなんだ……」
蒼汰は一度生徒会長とは会ったことがある。
園芸部は基本的には事務員と蒼汰のみで成り立っているので土の発注などは部長ではなく蒼汰が行っていた。
そのため部長会議とは別に予算の兼ね合いもあって生徒会に赴くこともあった。
「秋芽さんに会ったことがあるのですか?」
「ちょっと部活絡みでね」
「そういえば園芸部は土の入れ替えとかは用務員に任せているって聞いてたけど私たちが行けない合間に蒼汰君がやってくれているの?」
来夢さんは不定期で音楽部に顔を出していた。
甘夏さんも仕事の都合上行けない日が多く来夢来人ほどではないが放課後の部活に顔を出せていない。
「うん、今はそうなってるね。本来は部員がやるべきなんだけど……みんな手を汚すのを嫌っててさ」
「そうですね初めてアサガオを育ててみましたけど最初はとても大変でした。土の入れ替えもネットを見ながらやっていましたが思うようにうまくいきませんでした」
「土に空気を含ませる必要性があるからスコップでやるにしても大変だからね」
ガーデニングはとても大変だ。
植木鉢一つと言っても重労働、花ごとに土のアルカリ性か酸性かを見極めなければ行けないし選り良い花を咲かせたいのなら肥料や水を入れるタイミングにも気を配らなければいけない。
その分一度趣味にすれば一生続けられる趣味と呼ばれるほど奥が深い趣味である。
道楽とは違い、何から何まで自分で完成させるある種の城を建てるような趣味だったりする。
「それを一人でやっている蒼汰さんは凄いですね」
「ありがとう甘夏さん」
「蒼汰君は将来何に成りたいの?今は動画配信をやってるけどまだまだやりたいことは決まってないよね」
「そうなんだよね。やりたいことがありすぎて定まらないというかそんな感じ、来夢さんは決まってるの?」
「うーん私も悩み中、将来的には蒼汰君のお嫁さんになりたいけど社会人としての経験も積んだ方がいいと思うし音大でも良いんだけど他にもパソコン関係のことも学んでみたいとは思ってる」
中学のときは東京に行ってみたい精神で親を説得して特待生なら良いとの約束を取り付けて貰ってそこからは猛勉強の毎日だった。
その間、動画投稿も欠かすことは無かったから睡眠時間をどんどん削っていく不健康な生活だった。
高校に入ってからも勉強自体は欠かすことなく家事と仕事との両立ができるようになるまでは大変だったが今では成績も安定しているので忍先生からはどこの大学でも受かりそうと言われている。
「甘夏さんは会社の経営かな?」
「一応はその予定ですが日本の大学に行ってみるのも良いですね」
「それは何故?」
「蒼汰さんと一緒の大学は楽しそうなのともう少し日本に対する見聞を深めたいとは思っています。お母さん、母の故郷ですから都会だけで無く母の地元で過ごしてみるのも悪く無いかと思っていますが蒼汰さんは地元での進学は考えていますか?」
「私も聴きたい」
2人ともコレからのことを左右するからかとても真剣な表情で聞いてくる。
「地元には行かないかな……」
「そっか、やっぱり都会の方が便利だから?」
「うーん、都会に住みたいわけでもないんだけどほら地元ってさ学生の自殺率が高い県だったから個人的にはもし結婚をして子どもを作った時に安心してできる場所じゃないから」
「確かに全国調査でも上位常連の県だしお母さんが引っ越した理由もそれだったからね……」
蒼汰の地元はとてもではないが良き教育者、保護者と呼べる人間が居ないような場所でいじめも平気で容認されるような場所だった。
それゆえに自殺率が高いのもうなずけたしいじめの問題もあったため転校した来夢さんの言う重みは違った。
「一先ずは東京か南の方に住んでみたいとは思っているよ」
「南だったらどこが良いですか?ハワイですか?」
「ハワイって…甘夏さんらしいけど……ハワイはちょっと…………」
「良いところですよハワイ」
「玲菜さん、蒼汰君は海外には言ったことが無いからいくら英語がペラペラだからって住み慣れた日本を離れるのは勇気がいると思うんだけどそのあたりはどう思ってるの?」
「ああ、すみませんバルタザールと普通に会話で来ていたのでその点を抜かしてしまいました。うーんそれではどこがいいでしょうか?」
「それは昼休みにね」
蒼汰が指差せばもう学校に着いていた。
先日のように幾度となく風呂に押し掛けるようなことも無く朝と夕方に来る甘夏さんと来夢さんが来る程度で日常を過ごせている。
今朝も一緒に学校に向かっている・
「ねえねえアサガオ咲いてるかな」
「XXXちゃんのもきっと咲いているよ」
近所の小学生たちが会話をしている。
もうアサガオの開花時期だ。
日本に住んでいた人ならだれもが知っている風物詩だ。
学年が上がるにつれホウセンカ、ヒマワリ、ヘチマとランクアップしていくのも小学生時代の楽しみの一つだった。
まあ3年生当たりにめんどくさくなっていくのも実情なのだが……
「あ、そういえば私の育てているアサガオもそろそろつぼみが開きそうな感じですね」
「えっと秋芽さんって人にあげるんだっけ?」
「はい!」
「会ったことないけどどんな人なんだろう?来夢さんは知ってる?」
「私も蒼汰君と同じで秋芽さんには会ったことないな。夏目さんの言う感じだと秀専学園の生徒会長をしている真面目さんなんだって」
「生徒会長……あの人が秋芽さんなんだ……」
蒼汰は一度生徒会長とは会ったことがある。
園芸部は基本的には事務員と蒼汰のみで成り立っているので土の発注などは部長ではなく蒼汰が行っていた。
そのため部長会議とは別に予算の兼ね合いもあって生徒会に赴くこともあった。
「秋芽さんに会ったことがあるのですか?」
「ちょっと部活絡みでね」
「そういえば園芸部は土の入れ替えとかは用務員に任せているって聞いてたけど私たちが行けない合間に蒼汰君がやってくれているの?」
来夢さんは不定期で音楽部に顔を出していた。
甘夏さんも仕事の都合上行けない日が多く来夢来人ほどではないが放課後の部活に顔を出せていない。
「うん、今はそうなってるね。本来は部員がやるべきなんだけど……みんな手を汚すのを嫌っててさ」
「そうですね初めてアサガオを育ててみましたけど最初はとても大変でした。土の入れ替えもネットを見ながらやっていましたが思うようにうまくいきませんでした」
「土に空気を含ませる必要性があるからスコップでやるにしても大変だからね」
ガーデニングはとても大変だ。
植木鉢一つと言っても重労働、花ごとに土のアルカリ性か酸性かを見極めなければ行けないし選り良い花を咲かせたいのなら肥料や水を入れるタイミングにも気を配らなければいけない。
その分一度趣味にすれば一生続けられる趣味と呼ばれるほど奥が深い趣味である。
道楽とは違い、何から何まで自分で完成させるある種の城を建てるような趣味だったりする。
「それを一人でやっている蒼汰さんは凄いですね」
「ありがとう甘夏さん」
「蒼汰君は将来何に成りたいの?今は動画配信をやってるけどまだまだやりたいことは決まってないよね」
「そうなんだよね。やりたいことがありすぎて定まらないというかそんな感じ、来夢さんは決まってるの?」
「うーん私も悩み中、将来的には蒼汰君のお嫁さんになりたいけど社会人としての経験も積んだ方がいいと思うし音大でも良いんだけど他にもパソコン関係のことも学んでみたいとは思ってる」
中学のときは東京に行ってみたい精神で親を説得して特待生なら良いとの約束を取り付けて貰ってそこからは猛勉強の毎日だった。
その間、動画投稿も欠かすことは無かったから睡眠時間をどんどん削っていく不健康な生活だった。
高校に入ってからも勉強自体は欠かすことなく家事と仕事との両立ができるようになるまでは大変だったが今では成績も安定しているので忍先生からはどこの大学でも受かりそうと言われている。
「甘夏さんは会社の経営かな?」
「一応はその予定ですが日本の大学に行ってみるのも良いですね」
「それは何故?」
「蒼汰さんと一緒の大学は楽しそうなのともう少し日本に対する見聞を深めたいとは思っています。お母さん、母の故郷ですから都会だけで無く母の地元で過ごしてみるのも悪く無いかと思っていますが蒼汰さんは地元での進学は考えていますか?」
「私も聴きたい」
2人ともコレからのことを左右するからかとても真剣な表情で聞いてくる。
「地元には行かないかな……」
「そっか、やっぱり都会の方が便利だから?」
「うーん、都会に住みたいわけでもないんだけどほら地元ってさ学生の自殺率が高い県だったから個人的にはもし結婚をして子どもを作った時に安心してできる場所じゃないから」
「確かに全国調査でも上位常連の県だしお母さんが引っ越した理由もそれだったからね……」
蒼汰の地元はとてもではないが良き教育者、保護者と呼べる人間が居ないような場所でいじめも平気で容認されるような場所だった。
それゆえに自殺率が高いのもうなずけたしいじめの問題もあったため転校した来夢さんの言う重みは違った。
「一先ずは東京か南の方に住んでみたいとは思っているよ」
「南だったらどこが良いですか?ハワイですか?」
「ハワイって…甘夏さんらしいけど……ハワイはちょっと…………」
「良いところですよハワイ」
「玲菜さん、蒼汰君は海外には言ったことが無いからいくら英語がペラペラだからって住み慣れた日本を離れるのは勇気がいると思うんだけどそのあたりはどう思ってるの?」
「ああ、すみませんバルタザールと普通に会話で来ていたのでその点を抜かしてしまいました。うーんそれではどこがいいでしょうか?」
「それは昼休みにね」
蒼汰が指差せばもう学校に着いていた。
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