幼馴染が勇者だったけど僕はスライムと一緒に不毛の土地を開拓する~勇者の誘いを断った農民の建国記~

スライム道

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序章

プロローグ

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「ねえねえユートくん、わたしゆうしゃなんだって。」

教会で一番適性のある職業を知る儀式で彼女は勇者だったらしい。

「そっか僕はスライムトレーナーと農民だったよ。」

複数の適性を持つ人間も少なからずいるがその場合は大抵中途半端に終わるため紛い物として見られる場合が多かった。
まあ彼らの居た村は開拓村のため人手がいくらあっても足りないしそもそもがどこでも雇ってもらえなかった人間たちが開拓事業で一旗上げようと来ているためそういった偏見は薄い。

「それでねしさいさまがね。わたしにおうとってところにきてほしいんだって。」
「そうなんだ。」
「ねえユートくんもいっしょにいこうよ。」
「僕は良いかな。」

少年には夢があった。
少年という年齢表現が当てはまらないような夢が…………

「どうして?」
「僕の夢。」
「えっとじぶんのおしろをたてること?」
「うん。」
「ならおうとにいけばおしろがみれるしユートくんの将来の参考になるかもしれないしいっしょにいこうよ」

自分の城を建てる。
欲しいでは無くて建てる。
ここまで聞けば子どもらしいかもしれない。
だがこの少年の考えた答えは現実味があった。

「僕はここを開拓してまず自分の土地を作ってそれからお城を建てたいんだ。」

少女は意味が解らなかった。
この村の開拓はいつもやっている。
麦がとれないこの荒地で食べられる作物を何とか作り稀に来る行商人からの話を聞いては王都はどんなにすばらしい所かを聞かせれて育ってきた。
だからこの不毛な土地をいくら開拓したところで代り映えのない生活しかできないようにしか思えなかった。
確かにこの不毛の地は広大だ。
しかしモンスターも出るし危険がいっぱいだ。

「いくら時間がかかるかわからないし王都に行っている時間も惜しいかもしれないからごめんね。」

少年は知っていた。
この不毛の土地を開拓すれば自分の領地とすることができることを。
しかもそれに年齢が関係ないことを。

彼の父は良く言っていた。
一旗揚げたければ戦場で英雄になるか土地を開拓するかの二択だと。

「でもおうとならおいしいものいっぱいあるんだよ。」
「いらないよ。だって食べれるだけで幸せじゃん。」
「でもでもこのムラのベットとはくらべものにならないくらいフカフカなベットがあるってはなしだよ。」
「美味しいご飯もフカフカのベットもいらないよ」

美味しいご飯もフカフカのベットもあれば確かにいいだろうとは思う。
だがそれ以上に、どんな冒険譚よりもロマンのある建国記の始まりのような開拓記、広大な土地をもし開拓しきったら?

それは国の始まりになるかもしれない。

これは勇者の誘いを断った少年の物語
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