幼馴染が勇者だったけど僕はスライムと一緒に不毛の土地を開拓する~勇者の誘いを断った農民の建国記~

スライム道

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間章 勇者

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「此度は長い道のりを越え王都まで来てくれて感謝する。勇者と勇者の家族よ。」

王都に着くとすぐさま王城に案内された。
王城にはよくわからない絵や置物、草木というものがあった。

「恐れ多くございます。」
「畏まらんでも良い。ソナタの母とは旧知仲ゆえ感謝こそすれど恐れられる必要は無い。それにそなたらと私の中であろう。」
「王よ。いくら学友とはいえこのような公式の場では…………。」
「草木を見るなんて何年ぶりかね。全くお母さまは何で不毛の土地に行ったのかわからないよ。」

最初に態度を崩したのはお母さんだった。
お父さんはガクガクと顎を上下させているがお母さんは特に気にする素振りも見せなかった。

「相変わらず変わりはないようだね。」
「当然だ。そちらは少しばかり大変な思いをさせてしまったな。」
「母さんの説得は父さんでもない限り無理ですよ。その父さんも死んでしまったしかつての思い人に行くのは当然でしょうに。」
「すまなかった。」
「一国の国王モノが高々女に言い負かされて謝ってどうしますか、情けない。」

罵詈雑言どころではない。
騎士が抜剣しようと手にかけるほどだった。

「ルチアの言う通りだから剣を納めなさい騎士たち。」
「王妃様、それでは面子というものが。」
「事実をどこの豚に食わせろというのですか。自分自身で弱さを飲み込めなければ強国などありえません!」

王妃もまた国の実権こそ握っていないが家庭の実権は王の妻に成ってから握りっぱなしの人物だった。

数々の吟遊詩人もこの人間味あふれた夫婦を謡い村々の酒の魚とした。

とおーいとおーい不毛の土地に隣接する王国ではオシドリ夫婦な王族夫妻が居ました。

謁見の間ではいつも眉間に皺を寄せ厳格な王も一度家に帰れば王妃の尻に敷かれる村の夫に早変わり。

無駄遣いもさせない子どもにもきちんと面倒を見てもらう。
なごやかな家庭に王国の住民は親しみを抱いては、年に一度の国民へのお披露目会には歓喜の中に親しみの声がどんどん飛んでいきます。

他国との会談では決して見せない柔らかな笑みは王国民だけに魅せる親の笑顔と国民はこぞって語る。

このような詩が出回るくらいには国民との交流の深い国王だった。

「おじさん、私は王都で屋敷は建てられる?」
「コラ、マリアンヌ。」
「別に崩して構わん。王都に来たからにはそれくらいの報酬をだせる功績を出してほしいからな。」

「父上、いくら勇者と言えども無礼すぎます。これでは他国に示しがつかないでしょうに。」
「別にいいだろう。国民の手本たる私が国民に恐れられるようなことがあっては国民を引っ張る王ではない。恐れられるのは仮想敵国に成る他国だけで十分なのだ。そのところを日ごろ理解しろと言っているだろうアーサー。」
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