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とうとう入学式の日がやってきました。

拝啓お母さま、お父さま、この学園は別世界のようです。
というかここってあのアメリカの駅の柱にツッコむと出てくる駅のホームから行く魔法学園みたいな感じなんですけど。

「あ、思い出した。
 この乙女ゲーム魔法があるんだった。」

魔法は貴族だけが使える設定でヒロインも使えるようになるルートが存在する。
でもそれは1万円課金しないとできないルートで私は行っていなかったのでそのルートは動画投稿サイトでみたくらいで詳しくは知らない。

「でも魔法ね。」

異世界に行ったら日曜午前8:30にやっていた女の子の戦うアニメみたいなことができるかもしれないと思うと魔法は使いたいって気持ちになるかも。
でも前世がいくつで死んだかは知らないけど結構恥ずかしいって感情が引っ張られているのが分かった。

つまり私の前世は中学以上は確実。
今の今まで思い出そうとしなかった私が悪いんだけどね。
でも死の瞬間って思い出そうとすると拒絶するんだよね。

「ここって魔法使い用の校舎にしか見えないけどゲームでは普通に移動してたし一般人もできるよね。」

わかる、わかるぞ動く階段の行き先が。
なんて馬鹿なことを考えていると一際目立つ美人が居た。

「ごきげんよう。」
「ご、ごきげんよう?」
「うふふふ、噂はかねがね聞いておりましてよ。
 魔法の部門を会得していないにも関わらず学園最高成績を取った特待生だとね。
 リヤさん、貴族科は優秀なモノには礼を尽くして歓迎いたしますのでどうぞこれからも良しなにお願いしますわ。」

見事な一礼を披露する彼女はこのゲーム世界の大公家の悪役・・令嬢エリザベス。
礼を尽くすという意味合いから取り巻きたちは彼女を心酔しており王子以外にありえないと考えていてエリザベスの思いなど二の次で王子の婚約者がもっとも見合っていると囃し立てられることで心を殺している。

本当は彼女には大公家の庭師の幼馴染が誰よりも好きで王子様よりも大好きなことを内に秘め続けるピュアピュアでプラトニックな恋をしたい純情令嬢。
これだけでご飯3倍は行けるくらいの甘々な空間を王子ルートでは出すので一番覚えている令嬢だ。

「も、申し遅れました。
 私王都メインストリートに店を構える花屋のリヤと申します。」
「いえいえこちらから出向いたのですからまず名乗らなかった私の方が不手際ですよ。
 こちらこそ申し遅れてご迷惑をおかけしました。
 ユナイテッド大公家、長女のエリザベス・フォン・ユナイテッドと申します。
 どうぞ良しなに。」
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