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私は思いのままに心を切り込む切り札を出した。
今ここで流されやすい体質のエリザベス様に起爆剤キッカケを少しずつ入れていくことで軌道修正して浮気王子すらも手玉にとれるような女傑に成れるように私が育て上げればいい。
悪役令嬢自身の恋を成熟させつつも自分の家のこととも両立できるようにするためには王子を手玉に取り傀儡にするほかないと植え付ければいい。
この人は早々に見限るだけの判断力はある。

私みたいなモンスターを追いかけてながらスマホをするような優柔不断のどっちつかずな行動をする人よりもこの人の方が迷っている時間が少なくとっと改善策が思いついたら試すことをしてくれるに違いない。
王子を傀儡にする。
そんなふうに誘導すれば無事この人が王妃になってくれる。

「あなたとてもわかったようなこと言うようね。
 勿忘草の花言葉を知っているの。」
「私はあなたを待っている。
 庶民の間では有名な花言葉ですよ。
 幼少の頃に聞かせる戦争についての悲しさを教える物語の中に戦士が持っていくものと伝えられています。」

異世界、乙女ゲームの世界ってさ、植生とかは変わってないし似たような感じのモノが多いけど変なところでファンタジー要素があるから将来設計を調べるためにここ1月は一般常識を徹底的に叩き込んでいる。
ゲームの中では描かれなかった世界観、描写を調べておかないと後で苦労するのよ。
ただでさえ転生乙女ゲーム主人公なんて地雷な転生を起こしてるんだからきちんと調べれることは調べておかないと。

「なら、私はどうすればいいのかしら。
 あなたが気が付いている通り、私には思い人が居るわ。
 浮気性の殿下とは違ってもっと純粋な人がね。
 聞いてくださいよメイドに手を出すのはまだいいんですけども数十人に手を出すのはやり過ぎでしょうが。」

この乙女ゲームぶっ壊れですよ。
というか男性向けに近くありません?

そりゃあすぐに見限るわよね。
それを黙認し続けるこの人もこの人だけどさ。

悪役令嬢の化けの皮が剥がれるの早ってなりますよ。
もうこれだけでタイトル回収出来ちゃいますもん。

悪役令嬢というよりも話を聞く限りでは悪役王子、もとい貞操観念の緩い王子ですね。
日本の草食系を見せてやりたいです。
なよなよしてて女性と話すときょどる人とか居る人よりはマシかもって思えるけど。
それでもさ、浮気は甲斐性って昭和じゃないんだから。

「イケメンだからって何しても許されるのか!」
「そうですそうです。令嬢は花は蝶にと育てられますのに男どもときたら女を商品としか見ていなんですもの。」

気が付いたらあってもない王子の愚痴を言いながら共感していた。
王子と会う仲介役と王子に会いたいと言われていることを互いに忘れたまま学校を案内されていた。
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