時代を越えてお宝探し!?黒猫と僕らの時空大冒険

空道さくら

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第1章

第4話:なんで私たちなの?

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「頼む。助けてほしい。」 

 黒猫の言葉が理科準備室に響いた瞬間、思わず息を呑んだ。
 急に空気が張り詰め、ミオたちは互いに顔を見合わせ、言葉を失った。



「……助けるって、何をすればいいの?」
 最初に口を開いたのは澪だった。
 混乱した表情を浮かべながらも、その瞳には微かな好奇心が宿っていた。

 黒猫は短く息をつき、3人を順に見渡す。

 その鋭い金色の瞳には、何かを託す覚悟と切実さが宿っていた。
「簡単に言えば、俺をこの姿から元に戻すために、力を貸してほしいんだ。」

「この姿って……?」
 奏多カナタが低い声で問いかける。

 黒猫は少し視線を伏せ、尻尾をピンと立てたまま、静かに答えた。
「俺、もともとは人間だったんだ。」

「は?」
 夏輝ナツキが間の抜けた声を漏らし、思わず椅子を後ろに引いた。
「人間だったって、冗談だよな?」

 夏輝は軽く笑おうとするが、その声には動揺が隠しきれない。

「本気で言ってるの?」
 澪は驚きのあまり前のめりになり、黒猫の目を覗き込むように見つめた。
 その瞳には、恐れよりも興味が強く宿っている。

「待って……。」
 奏多が眉を少しひそめ、考え込むように目を伏せた。
「そんなことが本当にあるのかな……。」

 一方、西本先生は黒猫をじっと見つめ、深く息をついた。
「なるほど……だから君は話せるのか。」
 そう呟きながら、どこか半信半疑の表情を浮かべる。

 先生は額に手を当て、少し考え込むように視線を落とした後、再び黒猫を見た。
「もし本当に人間だったのなら、話せるのも納得だ……けど、普通なら信じられない話だな。」

 驚きと困惑を浮かべながらも、黒猫をじっと見つめるその瞳には、さらに真実を探ろうとする意志が宿っていた。

 黒猫は低く息をつき、一瞬言葉を飲み込むように間を置いた。
 「でも、ある奴に猫にされてしまったんだ。」

 その言葉に澪たちは息を呑み、室内の空気が一瞬静まり返る。

 黒猫は視線を巡らせながら、再び口を開いた。
 「人間に戻るには薬が必要なんだ。でも、その材料がどうしても手に入らない。この時代には存在しないものなんだ。」

 怒りと悔しさをにじませたその声が、理科準備室の空気を一層張り詰めさせた。



「この時代に無いって…どういうこと?」
 澪が戸惑いを隠せず、眉を寄せて聞き返す。

 黒猫は短く息をついて、真剣な口調で答えた。
「その材料は、この時代には存在しない。それと、この姿じゃ限界があって、どうにもならないんだ。」

 室内には張り詰めた空気が漂う。
 黒猫の声にはどこか苦しげな響きがあり、その言葉の重さが澪たちの心を揺さぶっていた。

「だから…お前らに、その材料を取りに行くのを手伝ってほしい。」
 黒猫の金色の瞳が真っ直ぐに3人を見つめる。
「お前らの力が必要なんだ。」

 澪たちは言葉を失い、しばらく沈黙が続いた。



 先生は目を閉じ、深呼吸をするようにして気持ちを切り替えた。

 そして、黒猫をじっと見つめ、重みのある声で尋ねた。
「まあいい。だが、場所も分からないままでは危険だ。無闇に動けば、予期せぬ事態に巻き込まれるかもしれない。一体どこにあるんだ?」

 黒猫は先生の真剣な視線を受け、軽く尻尾を揺らしながら答えた。
「過去の時代だよ。」

「過去の時代……?」
 澪が首を傾げながら黒猫を見つめた。

「そうさ。教科書に載ってるような歴史の中だ。」
 黒猫は得意げに胸を張るような仕草をした。

 澪は一瞬考え込むように眉を寄せると、黒猫をじっと見つめて問いかけた。
「でも…本当に行けるの?」
 その声には半信半疑ながらも、わずかな期待が滲んでいた。

「過去とか……ロマンはあるけど、どうやって行くんだよ?」
 夏輝が腕を組み、椅子を後ろに揺らしながら軽く笑った。
「タイムマシンでも持ってるのか?」

 黒猫は鼻を鳴らし、尻尾をピンと立てた。
「タイムマシンなんて大げさなもんじゃないさ。俺が魔法で連れて行ってやるよ。それで終わりだ。」

「魔法……?」
 奏多が低い声で問い返し、黒猫の金色の瞳をじっと観察する。
「本気で言ってるの?それともただの冗談?」

「できるの?」
 澪が思わず前のめりになり、黒猫をまじまじと見つめた。
 その瞳には好奇心がきらめいているが、まだ疑念を拭い切れないようだった。

 先生は腕を組み、軽く首を傾けながら黒猫を見つめた。
「魔法で過去に……?普通に考えれば、あり得ない話だな。」
 その声には驚きよりも冷静な興味が滲んでいる。

 黒猫は4人の反応に得意げな笑みを浮かべ、胸を張るように前足を揃えた。
「俺に任せておけば何も問題ないさ。」
 自信たっぷりのその仕草には、どこか挑発的な余裕が感じられる。

 理科準備室には、一瞬の沈黙が訪れた。
 黒猫の言葉は、これから始まる未知の冒険を予感させるように響いていた。



 澪は視線を黒猫に向け、真剣な表情で尋ねた。
「なんで私たちなの?」

 夏輝は少し身を乗り出しながら言った。
「そうだよ!俺たち普通の中学生だぜ?どう考えても無理だろ。」

 奏多は腕を組み、冷静に口を開いた。
「僕たちにしかできない何かがあるってことなの?」

 澪たちは黒猫をじっと見つめ、答えを待っていた。
 戸惑いと期待が入り混じった空気が漂い、部屋の緊張感がわずかに高まる。



 黒猫は3人の質問を受け、一瞬視線を泳がせた。
 そして、ふっと肩をすくめ、尻尾を揺らしながら、あっさりと言い放つ。
「特にないよ。」

 その言葉は、肩透かしを食らわせるような軽さで部屋に響いた。

「えっ?」
 3人の声が重なり、理科準備室に静かな驚きが広がる。

「ただ…お前らのことが気に入っただけだよ。」
 黒猫はさらりと言い放った。

「気に入っただけって…そんな理由で?」
 夏輝が驚いたように身を乗り出す。

「それ以外に理由なんて必要か?」
 黒猫は淡々とした調子で返した。
「お前ら、なんか楽しそうだったから声をかけただけさ。」

「楽しそうって……。」
 澪は思わず黒猫を見つめる。
「もう少しちゃんとした理由があるのかと思ってたよ。」

 奏多は腕を組んだまま、小さくため息をつく。
「つまり、気まぐれってことだね。」

「そういうこと。」
 黒猫はあっけらかんと頷いた。
「悪いか?」

 澪たちは黒猫の予想外の答えに一瞬呆気に取られたが、やがて顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。



 黒猫は振り返りながら、軽く前足を揃える仕草を見せた。
「よし、早速行くぞ。」

「えっ、ちょっと待って!」
 澪が慌てて声を上げる。

「もう行くの?」
 奏多が驚き混じりに黒猫を見つめる。

「急すぎないか?心の準備が…!」
 夏輝は焦ったように椅子から立ち上がる。

「黒猫くん、少し時間をくれ!」
 先生は戸惑いを隠せない様子で黒猫を制止しようとした。

 黒猫は気にする様子もなく、尻尾を振りながら静かに呟き始めた。
 その呟きに呼応するように、部屋の隅からかすかな光が漏れ始め、空気が震えるような音が耳をかすめた。

 その瞬間、空気がぴりっと張り詰めたような感覚が部屋に広がった。

「さあ、出発だ。」
 黒猫が低く静かな声で言い放った。
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