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冒険者になるということ
備えあれば憂いなし
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街に繰り出した3人は、大通りを歩いていく。眼に映るもの全てがはじめてのクラインは舞い上がっている。まるで子供のようだ。
「アレはどういう食べ物なんですか!」
「この辺りに生息するセジマジカの干し肉だな。酒のつまみには最高だぜありゃ」
「人の形をした金属の塊が店の前に並んでいます!」
「クラインさん、アレは全身にまとうタイプの鎧です」
矢継ぎに飛び交う質問に、ダンとアリスは二人掛かりでさばいていく。このままでは3日はかかってしまいそうだ。
「なぁクライン。いろんなものが気になるのはわかるが、こんままじゃ日が暮れちまう。これからはこの街に滞在するんだから、数日かけて見ていこうじゃねぇか」
「…そうですね。クラインさんは冒険者になったわけですから、まず知っておくべき場所がいくつかあります。そこから回っていきましょうか」
「冒険者になって知っておくべきところ…ですか」
「そうです。私たちにとって不可欠なもの、それは戦うための装備と戦闘に役立つ道具です。これからそれらを扱うお店に向かいます」
「そういうこった。俺たちにとって依頼のための準備ってのは何よりも大事なことだ。“備えあれば憂いなし”ってな。死んじまうリスクが少しでも減るんだったら、なんだってしておきたいだろ?」
「ダンさんがそんな知的な言葉を知っているなんて驚きです。誰に教えてもらったんですか?」
「アリス…お前ギルドの中でも俺だけには冷てぇよな…」
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
連れてこられたのはギルドから歩いて15分かからないところにある、少し怪しげな店だった。掲げた看板には“蛇の尻尾”の文字。店名だろうか。
蛇ってどこからが尻尾なんだ?体がもう尻尾のようなものだろう。
心の中で真面目にツッコミを入れるクライン。
「さぁ、中に入りましょう」
アリスに誘われクラインは中に入った。
暗い店内。
棚には見たこともない色や匂いの薬物が陳列している。店の前からすでに不安ではあったが、中に入ると尚更不安が募る。なぜ2人は平気な顔をしているのだろう…。もしかして都会ではこれが普通なのだろうか。
「ディジーのばあさん、いるんだろ?」
「ちょっとまってな、今行くでな」
奥からしわがれた声が聞こえてくる。
間も無くして白髪の老婆が顔を出した。
よく見ると両目のところに包帯が巻かれている。目が見えていないのか?
クラインの心配をよそに、ディジーと呼ばれた老婆は危なげもなく歩いてきてカウンターに出てくる。
「おや、見ない顔だね。」
「ディジーさん。こちらはクラインさん、本日猟犬の牙に入ったわたし達の仲間です」
「ほぉ、あんたらんところに新入りなんて本当に珍しいねぇ。私はディジー・バーバラ。よろしく頼むよ」
「クライン・アスコートです。よろしくお願いします」
「…あぁ、この目が気になるのかい?」
どうやら会話のトーンでバレてしまったようだ。クラインは急に恥ずかしくなる。
「す、すいません!ただ、まるで周りが見えているようだったので…」
「気にするでない。それにお前さんが言う通り、私は見えているよ」
「え?本当に見えているんですか?」
「わたしが見ているのは魂の形さ。この世にあるものはみぃんな魂を宿している。わたしはそれを見ているのさ」
「もちろん、お前さんの魂も見えているよ、クライン・アスコート。なるほど、継承する魂…猟犬の牙に仲間入りするのも頷けるね」
驚きを隠せないクライン。
魂を見るだって?第六感というやつだろうか。
「さすが、なんでもお見通しだなばぁさん」
「クラインさん。蛇の尻尾はうちのギルドと提携して、格安で傷薬やポーションを提供してくれるんです」
なるほど、猟犬の牙に入るのなら、この店はまず知っておかなくてはならないわけか。
「そういうわけじゃ。今後ともご贔屓にな、クライン・アスコート」
そういうとディジーは後ろの棚をごそごそとあさり始める。
「たしか…この…変に…あぁ、あった」
ディジーはカウンターに綺麗な石と瓶に入った液体を置いた。
「ババからの入団祝いじゃ。その瓶はハイポーション、石は首に下げておくとええ」
「え!?いいんですか!?」
ひらひらと手を振るディジー。
「ええんじゃよ。ババには過ぎたものじゃ。そのかわり、うちにお金を落としていっておくれ」
そう言ってひっひっひっと笑う。
「よかったですね!クラインさん」
「ハイポーション、わりと高ぇからなぁ」
こ…今後はここ以外のお店は使わないでおこう…。
芯まで真面目なクラインは、まんまと老婆の術中にはまるのであった。
「アレはどういう食べ物なんですか!」
「この辺りに生息するセジマジカの干し肉だな。酒のつまみには最高だぜありゃ」
「人の形をした金属の塊が店の前に並んでいます!」
「クラインさん、アレは全身にまとうタイプの鎧です」
矢継ぎに飛び交う質問に、ダンとアリスは二人掛かりでさばいていく。このままでは3日はかかってしまいそうだ。
「なぁクライン。いろんなものが気になるのはわかるが、こんままじゃ日が暮れちまう。これからはこの街に滞在するんだから、数日かけて見ていこうじゃねぇか」
「…そうですね。クラインさんは冒険者になったわけですから、まず知っておくべき場所がいくつかあります。そこから回っていきましょうか」
「冒険者になって知っておくべきところ…ですか」
「そうです。私たちにとって不可欠なもの、それは戦うための装備と戦闘に役立つ道具です。これからそれらを扱うお店に向かいます」
「そういうこった。俺たちにとって依頼のための準備ってのは何よりも大事なことだ。“備えあれば憂いなし”ってな。死んじまうリスクが少しでも減るんだったら、なんだってしておきたいだろ?」
「ダンさんがそんな知的な言葉を知っているなんて驚きです。誰に教えてもらったんですか?」
「アリス…お前ギルドの中でも俺だけには冷てぇよな…」
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連れてこられたのはギルドから歩いて15分かからないところにある、少し怪しげな店だった。掲げた看板には“蛇の尻尾”の文字。店名だろうか。
蛇ってどこからが尻尾なんだ?体がもう尻尾のようなものだろう。
心の中で真面目にツッコミを入れるクライン。
「さぁ、中に入りましょう」
アリスに誘われクラインは中に入った。
暗い店内。
棚には見たこともない色や匂いの薬物が陳列している。店の前からすでに不安ではあったが、中に入ると尚更不安が募る。なぜ2人は平気な顔をしているのだろう…。もしかして都会ではこれが普通なのだろうか。
「ディジーのばあさん、いるんだろ?」
「ちょっとまってな、今行くでな」
奥からしわがれた声が聞こえてくる。
間も無くして白髪の老婆が顔を出した。
よく見ると両目のところに包帯が巻かれている。目が見えていないのか?
クラインの心配をよそに、ディジーと呼ばれた老婆は危なげもなく歩いてきてカウンターに出てくる。
「おや、見ない顔だね。」
「ディジーさん。こちらはクラインさん、本日猟犬の牙に入ったわたし達の仲間です」
「ほぉ、あんたらんところに新入りなんて本当に珍しいねぇ。私はディジー・バーバラ。よろしく頼むよ」
「クライン・アスコートです。よろしくお願いします」
「…あぁ、この目が気になるのかい?」
どうやら会話のトーンでバレてしまったようだ。クラインは急に恥ずかしくなる。
「す、すいません!ただ、まるで周りが見えているようだったので…」
「気にするでない。それにお前さんが言う通り、私は見えているよ」
「え?本当に見えているんですか?」
「わたしが見ているのは魂の形さ。この世にあるものはみぃんな魂を宿している。わたしはそれを見ているのさ」
「もちろん、お前さんの魂も見えているよ、クライン・アスコート。なるほど、継承する魂…猟犬の牙に仲間入りするのも頷けるね」
驚きを隠せないクライン。
魂を見るだって?第六感というやつだろうか。
「さすが、なんでもお見通しだなばぁさん」
「クラインさん。蛇の尻尾はうちのギルドと提携して、格安で傷薬やポーションを提供してくれるんです」
なるほど、猟犬の牙に入るのなら、この店はまず知っておかなくてはならないわけか。
「そういうわけじゃ。今後ともご贔屓にな、クライン・アスコート」
そういうとディジーは後ろの棚をごそごそとあさり始める。
「たしか…この…変に…あぁ、あった」
ディジーはカウンターに綺麗な石と瓶に入った液体を置いた。
「ババからの入団祝いじゃ。その瓶はハイポーション、石は首に下げておくとええ」
「え!?いいんですか!?」
ひらひらと手を振るディジー。
「ええんじゃよ。ババには過ぎたものじゃ。そのかわり、うちにお金を落としていっておくれ」
そう言ってひっひっひっと笑う。
「よかったですね!クラインさん」
「ハイポーション、わりと高ぇからなぁ」
こ…今後はここ以外のお店は使わないでおこう…。
芯まで真面目なクラインは、まんまと老婆の術中にはまるのであった。
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