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集いし猟犬達
崩壊した文明の傷跡
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「いやー、すいません。もう数回くらい発動できるかと思ったんですが、想像以上に魔力を喰われてしまいますね」
「ったく、マナ回復の薬はいい値段するんだぜ?」
ワイバーンを倒したが、魔武器の過剰使用で軽めの魔力切れを起こしていたクラインに、ダンの持っていたマナ回復薬を飲ませたのだ。
「大喰らいなところもグリフォンに似たんでしょうか。それより二人とも、これで遺跡の中に入れますよ」
そう言ってアリスは扉まで歩いていく。
「なんだかんだ言って、あいつも楽しんでるよな…」
石の扉の目の前にきた三人。試しにグッと押し込んで見たがビクともしない。
「ダメだな。そもそも押すで正しいのか?ひょっとしてスライドするタイプか」
「この見た目でスライドする扉だとは思いませんが」
頭を抱えるダンとアリス。一方クラインは再びゲートからウォーハンマーを取り出した。
「二人とも、危険なので少し離れていてください。」
「クラインさん、まさかそれで扉を破壊するつもりですか!?」
「えぇ、開かないのなら壊すまでですよ」
「壊せるのか…これ」
アリスとダンの心配をよそに、クラインはハンマーを振りかぶる。
「行きますよ、よっと!」
スンッとハンマーが風を切る音がする。両扉のうち右側の扉に激突し…
ドゴォ!と音を立てて崩れ落ちる扉。人が通れるだけの穴が空いたようだ。
やはり遺跡は地下にあるようで、暗がりの中を階段が続いている。瓦礫は階段を転がり落ちていった。
「すごいですね、一発で壊せるとは思っていませんでした」
呆気にとられるアリス。
「これも継承する魂から引き出した力です。力のかけ具合や当てる角度、脆そうな場所に当てる技術によるものです」
「なんていうか、グリフォンとやり合ってから頼りになるよな…クライン」
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
クラインがゲートに入れてきたランプを明かりにし、階段を降り続けること15分。永遠に降り続けるのではないかと思い出した矢先、ようやく広い空間が見えてきた。
「ここが遺跡の内部ですね…なんでしょう、金属の塊だらけですね」
その空間は異様な光景だった。何やら金属を加工したと思われる装置がたくさん並んでおり、壊れたその装置からは線が何本か飛び出ている。
「これは噂に聞く崩壊した文明の遺産じゃねぇか?」
「崩壊した文明ですか」
ダンの言葉にクラインが聞き返す。
「あぁ。なんでも優れた加工技術に加え、電気を原動力に動く鉄の塊をたくさん作っていたかなり高度な技術を持つ文明だったらしぜ」
確かにあたりにみえる装置はどれも精密な加工がなされていることが見てうかがえる。ドワーフだってこんなものはきっと作れないだろう。
「ただ、どれもガラクタみてぇだな。どこも錆びてるし動く気配がねぇ」
ここまできて何もなしは虚しすぎる…
クラインは辺りを見回す。よく見ると床には薄い金属で作られた円筒の容器が転がっている。何やら蓋がギザギザになって空いていて、側面には何かが描かれている。一体何に使うものなのだろうか。
「二人とも、みてください!」
アリスの声にふと目を向ける二人。
近くに寄ってみると、そこには大きな人型の鉄の塊がいた。
「なんだこれ、ゴーレムか?」
「ゴーレムにしては生物らしさがないですね。からくりのようです」
アリスがコンコンと鉄の塊を叩く。
3mはあろうかという巨大な人型のそれは、まるで動く気配がない。
昔はこれも動いていたのだろうか。こんな巨大なものが…。
そう思いながらクラインが触れたその時だった。
ビィィイーッ!ビィィイーッ!
いきなり大きな音がなり、ビクッと体が跳ねる三人。
なんだ!もしかして僕が触ったせいか!?
あたふたするクラインの目の前でそれは起った。
先ほどまで動く気配すらなかった鉄の塊の、おおよそ目にあたる部分が赤く光りを灯したのだ。
ズズズッギギギッズズズズッズズ!
金属が床に擦れる音がする。
「クラインさん、離れてください!立ち上がります!」
クラインは急いで距離を取る。床に置いたランプの明かりでは全体を照らせないほどにその体は大きかった。
まるで人のように二足で立ち上がる。軽く4mはありそうだ。
「ぼさっとすんな!ここから出るぞ!」
ダンが出口に向かって走り出した途端に
ゴン!
と音を立てて扉が出現し出口を塞いでしまった。入った時には扉のようなものは見当たらなかったが、どうやら側壁に収納されていたようだ。
「ここの扉はスライドなのかよ!!」
冗談を言っている場合ではない。逃げることができなくなった今、残された道はただ一つだ。
「ダン、クラインさん、構えてください。迎撃しましょう!」
アリスは双剣を手に持って動く鉄の塊に向かい走り出す。
あまり動きは早くないようだ。
アリスは背後に回ると剣で斬りつける。
キィイイイイン!
あたりに甲高い音が響き渡る。
どうやらアリスの方が弾かれてしまったようだ。
鉄の塊はアリスに向かって腕を振り回す。
「アリス、離れろ!」
ダンが鉄の塊に発砲するも…
キュン!キン!カン!
「チィ!ダメだ、弾かれちまう。こうなると逆に跳弾して危ねぇ!」
ピッピッピッピッピ
「?なんですかこの音は」
クラインは異音に気づく。どうやら音の元はあの鉄の塊のようだ。
ピーーーーーッ
音が変わった!
やつは何かをするつもりだ。
「ダン、アリス、こちらへ!何かきます!」
二人は鉄の塊から距離を取り、クラインの方へ駆け寄る。
鉄の塊はというと、胸のあたりがぱかっとひらけている。中に何か内蔵されているようだ。
ボシュゥ!とそこから放たれたソレは、煙を巻きながらこちらにすごい速度で向かってくる!
くそっ間に合うか…!
数発放たれたソレは、どうやらこちらの動きを感知しているようだ。
このままでは確実に追いつかれる!
ドゴオオォォォオォオォォォオォ!
巨大な音と爆風。あたりに硝煙の匂いが漂う。
どうやら周りに散らばったガラクタに引火したようだ。
ランプは吹き飛ばされたが、炎のおかげで明るくなった。
三人はというと…
「あ、危なかった…」
さっきとは反対の方向にクラインが二人を抱えていた。
着弾するギリギリのところでクラインのところにたどり着いた二人。
クラインはグリフォンダガーをすでに投げていた。二人を抱えると能力を発動させなんとか逃げ切ったのである。
「すごいですね…クラインさん…これ…結構酔います…」
なんだか違うところでグロッキーになっているアリス。動体視力が良すぎるが故だろうか。
「なんなんでしょう今のは…。まるで飛んでくる爆弾です」
「銃も剣もきかねぇ。クラインが持ってるハンマーが唯一の有効打だろうな」
「それは僕も思っていました。おそらくですが、頭にあたる部分を破壊できれば奴を止められます。僕らに合わせてあの目のような光が動いていましたからね。あれで僕らの位置を把握しているんだと思います」
ですが…とクラインは続ける。
「あれだけ背が高いと、僕の攻撃を届けることはできません。グリフォンダガーも次使えば魔力切れを起こすでしょう。回復薬では半分も回復できていませんでしたから」
「そうなると…またあの攻撃が来たら…今みたいに避けることもできませんね…」
アリスはまだ復活していないらしい。
マナがどうこうでなくあの回避はアリスの方が耐えられそうにない。
まてよ。
クラインは何か引っかかりを感じていた。
奴が動けるのは人のように関節があるからだ。
ただの鉄の塊では曲げることができない。おそらくどこかにつなぎ目があるはずだ…。
炎で明るくなったおかげで観察がしやすくなった。
締め切った空間でこのまま燃え続けては奴にやられる前に一酸化炭素中毒になってしまう。早く倒して脱出しなければ。
「ダン、奴の近くにある地面を狙撃してくれませんか?」
「?構わねぇけどよ…」
言われるがまま地面に向けて弾を放つ。
ガンと石造りの床に弾丸が当たる音がする。その時、ガションと体を鳴らしながら、鉄の塊は音のする方に体を向けた。
あった!あそこだ!
「ダン!このまま地面を打って奴の気を引かせてください。アリス、弱ってるところ悪いんですが、もう少し頑張ってください。奴の膝裏に当たるところ、あそこは斬れるはずです!」
「任せてください、だいぶ治ってきました」
アリスとクラインは物陰から飛び出す。
ふっとこちらを向く鉄の塊だが、すぐさまダンの放つ弾の音に視線を移す。
その隙にアリスが再び背後を取った。
「膝裏…ここですね!」
アリスの剣が閃光を放つ。
ガクンッ!と膝をつく鉄の塊。
「もう一発です!」
両の関節を斬りさばくと、鉄の塊は立ち上がれなくなりそのまま床に倒れてくる。
ズドン!
と地響きとともに大きな音を立て倒れこむ。
ちょうどその頭のところにクラインはハンマーを振りかざし待っていた。
「これで…終わりです!」
バァアン!
すごい音を立ててバラバラに吹き飛ぶ頭。そのまま動かなくなった。
同時に出口の扉が開いた。
侵入者を閉じ込めるにはまず扉をあけて置かなければならない。この鉄の塊が動いたり止まったりするのに連動しているのだろう。
「ふー、僕の見立てが当たってたようでよかったです」
どうやってこんなものを動かしていたんだろう。
今一度先ほどまで動いていた鉄の塊を見るクライン。
ふっと背中のところに何か突き刺さっているのを見つける。
「これは…」
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「散々な目にあいましたね。宝もありませんでしたし」
アリスはげっそりしている。
「骨折り損のくたびれもうけだな。あの商人め、変なもんよこしやがって」
「商人ではなく悪いのは鵜呑みにしたダンの方ですよ」
ギロリとダンを睨みつけるアリス。
「何もなかったわけではありませんよ」
ん?と二人はほぼ同時にクラインを見る。
「なんかあったか?ガラクタばっかで大したもんはなかったろ」
そう言うダンを横目に、クラインはゲートからあるものを取り出した。
それは素晴らしい装飾の施された鞘におさまった剣だった。
「すごい…そんなのどこにあったんですか?」
「さっき倒したあの鉄の塊の背中に突き刺さっていたんです。鞘におさまった状態で」
ほー、とクラインの話を聞きながら、ダンはその剣を受け取り鞘から抜こうとするが…
ぐっ…
「お?」
ぐっ…ぐっ!
「おい、これ」
ダンは力を込めて抜こうとするが…
「引き抜けねぇじゃねぇか」
「そうなんですよね…」
クラインは苦笑いしている。
「継承する魂でわかるのは、これが太刀という武器なだけで、それ以外の情報はありません。未体験の武器なのは間違いないんですが、鞘から抜けないんですよね」
がっくしと肩を落とすアリス。
「結局得たものは無しですか…」
まぁまぁとアリスをなだめるクライン。
太刀をゲートにしまうその瞬間、紅く煌めいたのにクラインは気がつかなかった。
「ったく、マナ回復の薬はいい値段するんだぜ?」
ワイバーンを倒したが、魔武器の過剰使用で軽めの魔力切れを起こしていたクラインに、ダンの持っていたマナ回復薬を飲ませたのだ。
「大喰らいなところもグリフォンに似たんでしょうか。それより二人とも、これで遺跡の中に入れますよ」
そう言ってアリスは扉まで歩いていく。
「なんだかんだ言って、あいつも楽しんでるよな…」
石の扉の目の前にきた三人。試しにグッと押し込んで見たがビクともしない。
「ダメだな。そもそも押すで正しいのか?ひょっとしてスライドするタイプか」
「この見た目でスライドする扉だとは思いませんが」
頭を抱えるダンとアリス。一方クラインは再びゲートからウォーハンマーを取り出した。
「二人とも、危険なので少し離れていてください。」
「クラインさん、まさかそれで扉を破壊するつもりですか!?」
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「壊せるのか…これ」
アリスとダンの心配をよそに、クラインはハンマーを振りかぶる。
「行きますよ、よっと!」
スンッとハンマーが風を切る音がする。両扉のうち右側の扉に激突し…
ドゴォ!と音を立てて崩れ落ちる扉。人が通れるだけの穴が空いたようだ。
やはり遺跡は地下にあるようで、暗がりの中を階段が続いている。瓦礫は階段を転がり落ちていった。
「すごいですね、一発で壊せるとは思っていませんでした」
呆気にとられるアリス。
「これも継承する魂から引き出した力です。力のかけ具合や当てる角度、脆そうな場所に当てる技術によるものです」
「なんていうか、グリフォンとやり合ってから頼りになるよな…クライン」
・・・・・・・・
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・・・
・
クラインがゲートに入れてきたランプを明かりにし、階段を降り続けること15分。永遠に降り続けるのではないかと思い出した矢先、ようやく広い空間が見えてきた。
「ここが遺跡の内部ですね…なんでしょう、金属の塊だらけですね」
その空間は異様な光景だった。何やら金属を加工したと思われる装置がたくさん並んでおり、壊れたその装置からは線が何本か飛び出ている。
「これは噂に聞く崩壊した文明の遺産じゃねぇか?」
「崩壊した文明ですか」
ダンの言葉にクラインが聞き返す。
「あぁ。なんでも優れた加工技術に加え、電気を原動力に動く鉄の塊をたくさん作っていたかなり高度な技術を持つ文明だったらしぜ」
確かにあたりにみえる装置はどれも精密な加工がなされていることが見てうかがえる。ドワーフだってこんなものはきっと作れないだろう。
「ただ、どれもガラクタみてぇだな。どこも錆びてるし動く気配がねぇ」
ここまできて何もなしは虚しすぎる…
クラインは辺りを見回す。よく見ると床には薄い金属で作られた円筒の容器が転がっている。何やら蓋がギザギザになって空いていて、側面には何かが描かれている。一体何に使うものなのだろうか。
「二人とも、みてください!」
アリスの声にふと目を向ける二人。
近くに寄ってみると、そこには大きな人型の鉄の塊がいた。
「なんだこれ、ゴーレムか?」
「ゴーレムにしては生物らしさがないですね。からくりのようです」
アリスがコンコンと鉄の塊を叩く。
3mはあろうかという巨大な人型のそれは、まるで動く気配がない。
昔はこれも動いていたのだろうか。こんな巨大なものが…。
そう思いながらクラインが触れたその時だった。
ビィィイーッ!ビィィイーッ!
いきなり大きな音がなり、ビクッと体が跳ねる三人。
なんだ!もしかして僕が触ったせいか!?
あたふたするクラインの目の前でそれは起った。
先ほどまで動く気配すらなかった鉄の塊の、おおよそ目にあたる部分が赤く光りを灯したのだ。
ズズズッギギギッズズズズッズズ!
金属が床に擦れる音がする。
「クラインさん、離れてください!立ち上がります!」
クラインは急いで距離を取る。床に置いたランプの明かりでは全体を照らせないほどにその体は大きかった。
まるで人のように二足で立ち上がる。軽く4mはありそうだ。
「ぼさっとすんな!ここから出るぞ!」
ダンが出口に向かって走り出した途端に
ゴン!
と音を立てて扉が出現し出口を塞いでしまった。入った時には扉のようなものは見当たらなかったが、どうやら側壁に収納されていたようだ。
「ここの扉はスライドなのかよ!!」
冗談を言っている場合ではない。逃げることができなくなった今、残された道はただ一つだ。
「ダン、クラインさん、構えてください。迎撃しましょう!」
アリスは双剣を手に持って動く鉄の塊に向かい走り出す。
あまり動きは早くないようだ。
アリスは背後に回ると剣で斬りつける。
キィイイイイン!
あたりに甲高い音が響き渡る。
どうやらアリスの方が弾かれてしまったようだ。
鉄の塊はアリスに向かって腕を振り回す。
「アリス、離れろ!」
ダンが鉄の塊に発砲するも…
キュン!キン!カン!
「チィ!ダメだ、弾かれちまう。こうなると逆に跳弾して危ねぇ!」
ピッピッピッピッピ
「?なんですかこの音は」
クラインは異音に気づく。どうやら音の元はあの鉄の塊のようだ。
ピーーーーーッ
音が変わった!
やつは何かをするつもりだ。
「ダン、アリス、こちらへ!何かきます!」
二人は鉄の塊から距離を取り、クラインの方へ駆け寄る。
鉄の塊はというと、胸のあたりがぱかっとひらけている。中に何か内蔵されているようだ。
ボシュゥ!とそこから放たれたソレは、煙を巻きながらこちらにすごい速度で向かってくる!
くそっ間に合うか…!
数発放たれたソレは、どうやらこちらの動きを感知しているようだ。
このままでは確実に追いつかれる!
ドゴオオォォォオォオォォォオォ!
巨大な音と爆風。あたりに硝煙の匂いが漂う。
どうやら周りに散らばったガラクタに引火したようだ。
ランプは吹き飛ばされたが、炎のおかげで明るくなった。
三人はというと…
「あ、危なかった…」
さっきとは反対の方向にクラインが二人を抱えていた。
着弾するギリギリのところでクラインのところにたどり着いた二人。
クラインはグリフォンダガーをすでに投げていた。二人を抱えると能力を発動させなんとか逃げ切ったのである。
「すごいですね…クラインさん…これ…結構酔います…」
なんだか違うところでグロッキーになっているアリス。動体視力が良すぎるが故だろうか。
「なんなんでしょう今のは…。まるで飛んでくる爆弾です」
「銃も剣もきかねぇ。クラインが持ってるハンマーが唯一の有効打だろうな」
「それは僕も思っていました。おそらくですが、頭にあたる部分を破壊できれば奴を止められます。僕らに合わせてあの目のような光が動いていましたからね。あれで僕らの位置を把握しているんだと思います」
ですが…とクラインは続ける。
「あれだけ背が高いと、僕の攻撃を届けることはできません。グリフォンダガーも次使えば魔力切れを起こすでしょう。回復薬では半分も回復できていませんでしたから」
「そうなると…またあの攻撃が来たら…今みたいに避けることもできませんね…」
アリスはまだ復活していないらしい。
マナがどうこうでなくあの回避はアリスの方が耐えられそうにない。
まてよ。
クラインは何か引っかかりを感じていた。
奴が動けるのは人のように関節があるからだ。
ただの鉄の塊では曲げることができない。おそらくどこかにつなぎ目があるはずだ…。
炎で明るくなったおかげで観察がしやすくなった。
締め切った空間でこのまま燃え続けては奴にやられる前に一酸化炭素中毒になってしまう。早く倒して脱出しなければ。
「ダン、奴の近くにある地面を狙撃してくれませんか?」
「?構わねぇけどよ…」
言われるがまま地面に向けて弾を放つ。
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あった!あそこだ!
「ダン!このまま地面を打って奴の気を引かせてください。アリス、弱ってるところ悪いんですが、もう少し頑張ってください。奴の膝裏に当たるところ、あそこは斬れるはずです!」
「任せてください、だいぶ治ってきました」
アリスとクラインは物陰から飛び出す。
ふっとこちらを向く鉄の塊だが、すぐさまダンの放つ弾の音に視線を移す。
その隙にアリスが再び背後を取った。
「膝裏…ここですね!」
アリスの剣が閃光を放つ。
ガクンッ!と膝をつく鉄の塊。
「もう一発です!」
両の関節を斬りさばくと、鉄の塊は立ち上がれなくなりそのまま床に倒れてくる。
ズドン!
と地響きとともに大きな音を立て倒れこむ。
ちょうどその頭のところにクラインはハンマーを振りかざし待っていた。
「これで…終わりです!」
バァアン!
すごい音を立ててバラバラに吹き飛ぶ頭。そのまま動かなくなった。
同時に出口の扉が開いた。
侵入者を閉じ込めるにはまず扉をあけて置かなければならない。この鉄の塊が動いたり止まったりするのに連動しているのだろう。
「ふー、僕の見立てが当たってたようでよかったです」
どうやってこんなものを動かしていたんだろう。
今一度先ほどまで動いていた鉄の塊を見るクライン。
ふっと背中のところに何か突き刺さっているのを見つける。
「これは…」
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「散々な目にあいましたね。宝もありませんでしたし」
アリスはげっそりしている。
「骨折り損のくたびれもうけだな。あの商人め、変なもんよこしやがって」
「商人ではなく悪いのは鵜呑みにしたダンの方ですよ」
ギロリとダンを睨みつけるアリス。
「何もなかったわけではありませんよ」
ん?と二人はほぼ同時にクラインを見る。
「なんかあったか?ガラクタばっかで大したもんはなかったろ」
そう言うダンを横目に、クラインはゲートからあるものを取り出した。
それは素晴らしい装飾の施された鞘におさまった剣だった。
「すごい…そんなのどこにあったんですか?」
「さっき倒したあの鉄の塊の背中に突き刺さっていたんです。鞘におさまった状態で」
ほー、とクラインの話を聞きながら、ダンはその剣を受け取り鞘から抜こうとするが…
ぐっ…
「お?」
ぐっ…ぐっ!
「おい、これ」
ダンは力を込めて抜こうとするが…
「引き抜けねぇじゃねぇか」
「そうなんですよね…」
クラインは苦笑いしている。
「継承する魂でわかるのは、これが太刀という武器なだけで、それ以外の情報はありません。未体験の武器なのは間違いないんですが、鞘から抜けないんですよね」
がっくしと肩を落とすアリス。
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ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
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