重なる世界の物語

えんとま

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集いし猟犬達

旅は道連れ世は情け

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ガション!ガション!

薄く霧のかかった街の中を歩く、二つの人影があった。

一人は女性だった。背中に大きな弓を背負っている。少し焼けた肌に長く黒い髪を揺らし歩く。

もう一人は全身甲冑で巨大な大剣をこれまた背負っていた。

「あんたと歩くと目立って仕方無いわ!なんとかならないのかしら」

「しょうがなかろう、これが我輩のスタイルなのだ」

男らしい声が甲冑の中から響く。中に入っているのは男性のようだ。

それに…と甲冑の男は続ける。

「この街は、故に目立つこともない!」

ガハハ!と甲冑の中で笑う男。甲冑のせいでやたら声がこもる。

「バカね、普通はみんな外に出てるし私たちは目立つのよ。今この状況はわけ!」

そう、霧立ち込めるこの街には外に誰もいない。犬一匹だって歩いてはいないのだ。

その異様な雰囲気の中、二人は今日の宿を求めて歩いていた。

それから10分ほど歩いただろうか。ようやく目的の建物を見つける。

「あら、ここ宿じゃないかしら。一応入ってみる?」

「中に誰もおらんかもしれんがな!」

ドアノブを回すが…

ガチャ!

「…鍵がかかってるみたいね」

ガチャガチャ

「何度回しても鍵はあかんぞ」

カチリ

「開いたわよ」

「なんと…!」

扉が開く。

鍵を開けたのは中にいた人だったようだ。宿の主人と思しき男が早く入れと手招きをする。

二人が中に入ると、男はすぐに扉を閉め鍵をかけた。

「あんた達、外は危険だぞ!よく出歩いていられたな」

何かに怯えているようだ。宿の主人は声を荒げる。

「あのねぇ、私たちは今日ここに来たんだから!この街の事情なんて知るはずないじゃない」

「どうも外には誰も出ておらんし、街の人は籠城を決め込んどるな。一体何があった」

少し落ち着いてきたのか、主人はすまなかったと一言謝罪して、話し始めた。

「あれは3日前のことさ。夜も更け、大体の家では夕食を食べていた頃だろう。いきなり聞いたこともないおぞましい咆哮が聞こえたのさ」

「咆哮?街の中でか!まさか街中に魔物が出たと言うのか!」

「そのまさかさ。咆哮のすぐ後に悲鳴が聞こえてきた。最初はみんな何事かと外に出て様子を見に行こうとしたんだ。俺もその一人さ」

「それで、あんたは何を見たの?」

宿の主人は肩を震わせる。よほどの恐怖を感じたのだろうか。その時の様子を鮮明に思い出してしまったようだ。

「…俺はあんな魔物は今までに見たことが無かった。…!」

「醜い化け物か。ご主人、悪いがその魔物の特徴を教えてはもらえぬか」

言葉は発せず、頷いて了承の意を示す主人。

「最初に見えたシルエットはまるでドラゴンのようだった。だがよく見るとまるで違う。まるで猫のように大きく光る目、細長い首に腕、禍々しく沿った爪に顔からは触手のような髭のような…何かが伸びていた…。“不気味”を具現化したようなやつさ」

ほぉう、と甲冑の男は腕を組んだ。

「ご主人、そいつの体は黒く、翼も生えていなかったか?あとはそうだな…歯がやけに鋭かったりは」

「!?あ、あぁ、その通りだ!甲冑のあんた、あいつを知っているのか!」

「うむ、おそらくな。お主はどう思う?」

「どうもこうもないでしょう。そんな醜い見た目のドラゴンに似た魔物なんて十中八九あいつに決まってるじゃない」

「やはりそうか、だな」

「ジャバ…ウォック?」

宿の主人は首をかしげる。

んー、と顎に手を当てて弓を担いだ女性は何かを考えている。

「強さで言えばBがいいところね。割と手強いけど私たちで相手できないほどではないわ。問題は正式な依頼じゃないから報酬がないってところよね」

その言葉を聞いて宿の主人はバッと立ち上がった。

「あんた達、奴を倒せるのか!!頼む、あいつを討伐してくれ。このままじゃ籠城したまんまで食料が尽きちまう。ギルドに依頼したくても誰も怖くて外を歩けないんだ!後からいくらでも払うから…頼む!!」

地に額をぶつけんばかりに頭を下げる主人。あまりの必死さに目を丸くする女性。

「いやね、冗談よ。報酬なんてなくても倒してあげるわ」

え…。

主人はゆっくり顔を上げる。

「我らギルドは困っている人を見捨てることなどせん。それが力を持つものの勤めという奴だ」

ハッハッハッと豪快に笑う甲冑の男。

「あ、あんた達は一体…」

弓を背をう女性はニッとしながら髪を払う。その手の甲には


「なんてことはないわ。通りすがりの猟犬よ」
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