銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯

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第十九章 暗闘

勝利のための第一条件

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――トーワへと続く旧街道


 事後承諾でマッキンドーの森を通り抜け旧街道へ。
 旧街道からトーワへ向かう途中でグーフィスとカインと合流する。
 
 まずはアグリスを立ってから三日後、カインと合流。
 彼にはトロッカー鉱山のマスティフに手紙を届けてもらい、そこで食料品や水などを追加調達。
 それをカリスのために運んできてもらった。
 マスティフに送った手紙の内容には、難民の支援を願うとだけ記す。
 
 まさか、カリスを強奪したとは手紙には書けない。
 書いてしまえば、ワントワーフはトーワに協力したことになる。
 だから、難民の支援という話をでっち上げた。
 文の端々に事情が見えるように記しているが、全体の流れとしてワントワーフはトーワに騙されたことになる。
 これが今後の鍵の一つとなるが、ネタ晴らしは後だ。


 さらに、今後行われるであろうアグリスからの上奏についても記した。
 アグリスはヴァンナスへ、『自国のたみであるカリス奪還のために、トーワ征伐の上奏』を行う。
 もちろん、マスティフにはこれらのことを詳しく伝えていない。
 上記にあるように内容をほのめかしてはいるが、表面上はトーワとアグリスの些末な行き違いによるトラブルとだけ伝えてある。


 そのトラブルを解決するための会議の席となるのは、アグリスともトーワとも関係の深いアルリナになるだろう。
 そこで、当事者と半島内の有力勢力たちを交え、話し合いが行われることになる。

 メンバーはトーワとアグリス。そして、アルリナ・ワントワーフ・キャビット。
 そこでの立ち回りを手紙に記しておいた。
 これに関しては、何が起きようとワントワーフの立場を守るよう記してある。

 
 カインと合流して二日後、グーフィスが合流してきた。
 急ぎのために物資は少なめだが、それよりも大切な状況報告を聞く。

 彼にはキャビットへの手紙と、アルリナへの手紙を持たせておいた。
 マフィンには事後承諾という形なるが難民の通行願い。
 もちろん、実際はカリスの強奪なので、嘘を記したことになる。
 トーワはワントワーフと同様に、キャビットを騙したことになる。
 同じくこれもまた、今回の鍵の一つ。

 そして、ワントワーフと同じく、話し合いの場での立ち回りをしっかりと。

 
 最後はアルリナになるが、グーフィスは到着後、まずゴリンに手紙を出した。
 ゴリンは手紙を受けて、すぐにトーワの全財産と人手を連れてアルリナへ向かう。
 その資金で、カリスたちがトーワで長期滞在ができる量の物資を購入した。
 購入した物資の中の簡易テントを使い、それをカリスたちの仮の家とする。
 
 それらが無事終えてから、ノイファンに手紙を渡す。
 彼はアグリスを恐れているため、私がアグリスとことを構えようと知れば黙認はできまい。
 だからこそ物資を購入し終えた後に手紙を届けた。

 手紙には僅かに残った借りを強調して、早々と中立を宣言してもらうように記した。
 これは双方を刺激しない無難な立ち位置だ。
 彼としても積極的にアグリスとトーワの問題に関わりたくないため、喜んでこの申し出を受けるだろう。


 さて、ここまでのトーワと各勢力の流れを披露しよう。


――トーワとワントワーフ(マスティフ)

・トーワは難民の保護と偽り、物資を購入。これはトーワに騙されたため、トロッカーのワントワーフはアグリスに対して敵対的行動を示したわけではない。
・私はマスティフへ、アルリナで行われる話し合いの場での立ち回りを記す。


――トーワとキャビット(マフィン)

・トーワは事後承諾でカリスたちを難民と偽り、マッキンドーの森を通過させた。トーワに騙されたうえに事後承諾を押しつけ勝手に領地を横切り、さらには騒動に巻き込もうとした。
・私はマフィンへ、アルリナで行われる話し合いの場での立ち回りを記す。


――トーワとアルリナ(ノイファン)

・アルリナと敵対したことを語らず、カリスたちのために物資を購入。これではアルリナの立場がない。
・だが、ノイファンはトーワとアグリスの騒動に関与しようとしない。それを見越して、中立を宣言するように勧める。
 

――トーワとアグリス(二十二議会)

・アグリスは自国民奪還のためにヴァンナスへ上奏。その後の話し合いで解決できなければ、武力解決となる。
・アグリスの戦力は最大で五千。率いるはアグリス最強・謹厳実直にして常勝不敗の獅子将軍エムト=リシタ。


 と、ここまでが第一条件……ん、何の条件かって?
 それはトーワが圧倒的な勝利を迎えるための条件だ。
 ワントワーフを騙し、キャビットを騙し、アルリナは中立。
 訪れるのは無敗の将軍が率いる精鋭五千。
 対するトーワには、兵も守りも兵器もない。

 これでどのようにして圧倒的な勝利を得ようとしているのか?
 実はまだ、勝利への条件が全て開示されたわけではない。
 その条件がどのようなものかは、これから先の物語を楽しんでくれ。
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