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第36話 水だけの世界
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視界の揺らぎが鎮まり、焦点が合うと、レックス・オリカ・ノヴァは空中に現れ、すぐ足元の水の中へとダイブした。
「わっぷ!?」
「ごほごほ、これ海水? それにしては塩味が薄いような」
「わ、足が届かない? みんな、大丈夫? お兄ちゃんは?」
「私ならここにいる」
海水に浸る三人は声の元へ顔を向ける。
そこには、水面の上に立っているアルムスの姿をしたデブリが。
レックスが歯ぎしりを見せながら、彼へ愚痴をぶつけた。
「なんで、てめぇだけ水の中じゃねぇんだよ?」
「濡れたくなかったからだ」
「このっ! ってか、危険な時には薄い膜が俺たちを守ってくれるんじゃねぇのか?」
「この海水に有毒なものは含まれていない。濡れるだけなら命に差し障るものではないからな」
「なぁ、オリカにノヴァ嬢ちゃんよ。俺、こいつ嫌い」
そう言って拳を握りしめるレックスをオリカが宥める。
「殴っちゃダメよ、レックス。体はアルムスだし、それに唯一の帰り道を知る者なんだから」
「わかってるよ」
「ねぇねぇ、そんなことよりも周りを見て。ここ、何にもないよ」
ノヴァに促されて、レックスとオリカは立ち泳ぎをしながら辺りを見回した。
四方、果てしなく広がる海。
近くに浜辺などなく、視線が霞む先に大陸などもない。もちろん島などもない。
遥か彼方に湾曲した水平線が見えるのみ。
「こいつぁ、困った。そういやノヴァ嬢ちゃん、今更だが、泳げるみたいだな」
「うん」
「それは良かったが、いつまでもここでぷかぷかしてるわけにもいかねえ。おい、デブリ、俺たちもお前みたいに水の上に立てるようにできないのか?」
「可能だ」
デブリが軽く手を振るうと、レックスたちは浮遊感を覚えて、水より抜け出し、海水を踏みしめるように立つことが可能になった。
オリカとノヴァが何度か足踏みを見せる。
「不思議な感覚ね、ノヴァちゃん」
「うん、ふよんふよんしてる。ゼリーの上に立ってるみたい」
「はぁ、ともかくこれで移動がしやすくなった。泳いで動くよりマシだからな。それに何より……」
レックスは足元の水中をじっと覗き込む。
「この深さに青の濃度。まったく底が見えねぇ。一体、何が棲んでるのかもわからねぇ場所でぷかぷか浮かんでるってのはぞっとすらぁ。もし、巨大生物とかに丸呑みにされたら……なんて想像してたからな」
「やめてよ、レックスお兄さん。考えないようにしてたのに」
「レックス、余計なことを言ってノヴァちゃんを怖がらせないの。それよりも、デブリ。ここも神殺しを行った世界なのよね。見たかぎり海だけしかないけど、どこかに陸地は? 住人は?」
「存在しないようだ。陸も住人も」
「え?」
「おそらくだが、神を殺した後に、世界は大量の水に覆われたのだろう」
「それってつまり、この世界の神は水の量を調節していたってことかしら?」
「正解だ。ここは大量の水が存在する惑星だったが、神の力でバランスを保っていた。しかし、神を失い、大量の水が降り注ぎ、全ては沈んだ。残されたのは、水に適応した生き物だけのようだ。その中に高度な知的生命体の反応はない」
「どうしてそんなことが分かるの?」
「私は多少ながらも探知機としての機能を有しているからだ」
「そ、そうなの?」
「もういいだろう、移動の準備ができだぞ」
急なことでレックスがツッコミを入れる。
「早くねぇか!? 氷のところじゃ結構時間かかってたぞ!」
「この海水には理力の素となる物質が、即座に利用可能な形で多く溶け込んでいる。推測になるが、滅びの際に多くの生命体の思念が水に溶け込み、残滓として漂っているのだろう」
「よくわかんねぇが、怨念みたいなもんが残ってて、それを移動のための力へと変換しているって感じか?」
「その通りだ。しかし、今のは面白い捉え方だ」
「そいつはどうも。ってなると、俺たちはさっきまで……」
三人は足元に広がる、底無き水の無辺を目にする。
「俺たちは怨念にどっぷり浸かってた、ってことになるのか……」
「最悪。早く、服が乾いてくれるといいけど。乾いたらどこに行くんだろう。怨念って?」
「さぁ、私にはわからないわね。だた一つ分かったことは……」
オリカはデブリへ顔を向ける。
「先史文明の力の源は理力なのね」
「ああ、そうだ。お前たちの力の源は、宇宙から降り注ぐ宇宙線のようだな。それを利用し、風や火に具現して使用しているというわけか」
「あなたの説明にはちょっと理解しがたい部分があるけど、私たちはその力を魔法と呼んでいるわ」
「魔法か。ふむ、物事のありように変化があったようだ。さて、移動だ」
「わっぷ!?」
「ごほごほ、これ海水? それにしては塩味が薄いような」
「わ、足が届かない? みんな、大丈夫? お兄ちゃんは?」
「私ならここにいる」
海水に浸る三人は声の元へ顔を向ける。
そこには、水面の上に立っているアルムスの姿をしたデブリが。
レックスが歯ぎしりを見せながら、彼へ愚痴をぶつけた。
「なんで、てめぇだけ水の中じゃねぇんだよ?」
「濡れたくなかったからだ」
「このっ! ってか、危険な時には薄い膜が俺たちを守ってくれるんじゃねぇのか?」
「この海水に有毒なものは含まれていない。濡れるだけなら命に差し障るものではないからな」
「なぁ、オリカにノヴァ嬢ちゃんよ。俺、こいつ嫌い」
そう言って拳を握りしめるレックスをオリカが宥める。
「殴っちゃダメよ、レックス。体はアルムスだし、それに唯一の帰り道を知る者なんだから」
「わかってるよ」
「ねぇねぇ、そんなことよりも周りを見て。ここ、何にもないよ」
ノヴァに促されて、レックスとオリカは立ち泳ぎをしながら辺りを見回した。
四方、果てしなく広がる海。
近くに浜辺などなく、視線が霞む先に大陸などもない。もちろん島などもない。
遥か彼方に湾曲した水平線が見えるのみ。
「こいつぁ、困った。そういやノヴァ嬢ちゃん、今更だが、泳げるみたいだな」
「うん」
「それは良かったが、いつまでもここでぷかぷかしてるわけにもいかねえ。おい、デブリ、俺たちもお前みたいに水の上に立てるようにできないのか?」
「可能だ」
デブリが軽く手を振るうと、レックスたちは浮遊感を覚えて、水より抜け出し、海水を踏みしめるように立つことが可能になった。
オリカとノヴァが何度か足踏みを見せる。
「不思議な感覚ね、ノヴァちゃん」
「うん、ふよんふよんしてる。ゼリーの上に立ってるみたい」
「はぁ、ともかくこれで移動がしやすくなった。泳いで動くよりマシだからな。それに何より……」
レックスは足元の水中をじっと覗き込む。
「この深さに青の濃度。まったく底が見えねぇ。一体、何が棲んでるのかもわからねぇ場所でぷかぷか浮かんでるってのはぞっとすらぁ。もし、巨大生物とかに丸呑みにされたら……なんて想像してたからな」
「やめてよ、レックスお兄さん。考えないようにしてたのに」
「レックス、余計なことを言ってノヴァちゃんを怖がらせないの。それよりも、デブリ。ここも神殺しを行った世界なのよね。見たかぎり海だけしかないけど、どこかに陸地は? 住人は?」
「存在しないようだ。陸も住人も」
「え?」
「おそらくだが、神を殺した後に、世界は大量の水に覆われたのだろう」
「それってつまり、この世界の神は水の量を調節していたってことかしら?」
「正解だ。ここは大量の水が存在する惑星だったが、神の力でバランスを保っていた。しかし、神を失い、大量の水が降り注ぎ、全ては沈んだ。残されたのは、水に適応した生き物だけのようだ。その中に高度な知的生命体の反応はない」
「どうしてそんなことが分かるの?」
「私は多少ながらも探知機としての機能を有しているからだ」
「そ、そうなの?」
「もういいだろう、移動の準備ができだぞ」
急なことでレックスがツッコミを入れる。
「早くねぇか!? 氷のところじゃ結構時間かかってたぞ!」
「この海水には理力の素となる物質が、即座に利用可能な形で多く溶け込んでいる。推測になるが、滅びの際に多くの生命体の思念が水に溶け込み、残滓として漂っているのだろう」
「よくわかんねぇが、怨念みたいなもんが残ってて、それを移動のための力へと変換しているって感じか?」
「その通りだ。しかし、今のは面白い捉え方だ」
「そいつはどうも。ってなると、俺たちはさっきまで……」
三人は足元に広がる、底無き水の無辺を目にする。
「俺たちは怨念にどっぷり浸かってた、ってことになるのか……」
「最悪。早く、服が乾いてくれるといいけど。乾いたらどこに行くんだろう。怨念って?」
「さぁ、私にはわからないわね。だた一つ分かったことは……」
オリカはデブリへ顔を向ける。
「先史文明の力の源は理力なのね」
「ああ、そうだ。お前たちの力の源は、宇宙から降り注ぐ宇宙線のようだな。それを利用し、風や火に具現して使用しているというわけか」
「あなたの説明にはちょっと理解しがたい部分があるけど、私たちはその力を魔法と呼んでいるわ」
「魔法か。ふむ、物事のありように変化があったようだ。さて、移動だ」
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