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5 号室 野球少年
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…カッキーン!ホームランン!
なぜか部屋の中から野球ドームのような音が聞こえてくる…。
「おっ、バスケがあって次は野球か…」
朝輝はなんてなしに言っているが、僕は驚きすぎて一瞬言葉に詰まった。
「…っおっかしいだろ。アパートが野球のドームにつながってるなんて」
だが、僕以外は違うようだ。二人は今更かと僕に言う。
「いーんだよ。ここのアパート自体おかしいんだから」
「だよな」
…ふえぇ。
僕が思わずぶりっ子している間に、霊時君は部屋のチャイムを押していた。
ピーンポーン
ガチャ
「おっ、だれかと思ったら君達か。ほら、中に入れ」
「あ、はい」
この人の名はドラゴン本野介丸さん。名の通りドラゴンのような猛々しい長髪を侍のように結っている。
こんな髪型で野球ができるのかと思ったが、ユニフォームを着ているのを見てなぜかこいつはできると思ってしまった。
「…で、ドラゴンさん。悩み事は何ですか?」
変な確信を持ちつつ、僕はドラゴンさんに聞いた。
だがなぜかドラゴンさんは非常に申し訳なさそうにしている。これはまた変なお悩みが来るのか…。でも僕はもう動じない。何があっても。これまでさんざん変な悩みを解決してきたんだ。僕だってさすがに慣れる。まあ?もしも?驚くようなことがあるとすれば?ドラゴンさんのあの猛々しい某炎柱のような髪がカツラだったー…とかかな。ないだろうけどね。
ドラゴンさんは改まって言った。
「…俺の野球…見れば分かります」
野球を見ると分かる?プレーがへたくそとかが悩みなのか?
「そうですか。では、僕達はいないと思っていつも通りプレーしてください」
さすが霊時君。スピーディーに悩みを解決するために的確な指示を出す。
これが小学生かよ…。
所変わりドーム内。
ここには五人の男がいた。
「えー、何故か珍さんが戻ってきたので僕と霊時君はアナウンス役やるね」
そう。なぜか珍さんが戻ってきたのである。だが僕ら三人の中で、絶賛傷心中の珍さんを慰めようとするやつは誰もいない。これが僕たちなのである。
もちろん珍さん自身も慰めてくれとは言わない。言ったところで逆に罵倒されるのが分かっているからだ。えらい。
「じゃあ俺はキャッチャーな。珍さんはピッチャーやってくれ」
「おう!任せとけ。俺のボールに、常識は通用しねぇ!」
常識が通用しねぇのはてめえの頭だ。黙っとけこの変態。
ウゥゥゥゥウウウウゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ………
プレイボールのサイレンが鳴る。この球場に集まった男たちの熱い戦いの幕が上がった。
実況マイクを握る僕の手にも力がこもる。
これは…世紀の大決戦になる予感がする。
「選手紹介です。幽アパ軍団6番ピッチャー、珍雄太郎君」
「久しぶりにフルネームで呼ばれたぜ…」
「続きまして、ファイヤードラゴンズ8番バッタードラゴン本野介丸君」
「相手が素人だろうが容赦はしない…」
お互い静かににらみ合っている。これは思った以上に熾烈な戦いになるかも…。
「プレイボーッ!!!!」
「ヨッシャ!イクぜ、イクぜぇぇぇー!!未現物質ボールゥゥ!」
「そんな球遅い!!うおおおお!」
カッキーーーーーーン
素人の僕でも分かる、くそへぼいボールを見事場外ホームランされてしまった珍さんは膝から崩れ落ち一言
「な、なんだと貴様っ俺のボールが打てるのか…」
珍さんはショックで倒れた。
「またかよっ」
ああそういえばドラゴンさんは?今のプレイに変なところなんて、ひとっつもなかったけれども…。朝輝も僕と同じように思ったらしくドラゴンさんの方へ向き…
「そういえばドラゴンさ……ブフッ」
朝輝が倒れた。嫌な予感がする。そして急に噴き出した朝輝を不審に思った霊時君もドラゴンさんの方を向き…
「どうした日陽!ドラゴンさんは…~~~~~~~~!!!!!!!!」
霊時君は言葉にならない声を上げながら笑い崩れてしまった。
「二人とも!一体ドラゴンさんがどうしたっていうんだ?!ドラゴンさんは……………
ヅラだったのおおおおおおぉぉぉぉぉおおぉおぉぉぉぉぉぉ~~~~」
予☆感☆的☆中
「そうなんだ。俺の悩みはなぜかバットを振ると、ものすごい風が起きてせっかくかぶっている某炎柱風侍カツラVer.1.0が吹っ飛んで行ってしまうんだ…」
なんだそれ。
「じゃあ、適当にマロンアルファ塗っときな」
僕はもうやけくそだった。霊時君に言って冷風財閥特性マロンアルファをドラゴンさんに渡してもらった。
「ハイッ!これで解決」
「ずいぶんテキトウだね?!君達!」
お前の悩みが生もなさすぎるんだよ。という怒りは胸の奥にそっとしまった。
「ではこれでさようなら」
さすが霊時君。別れ際もスピーディーだ。
これが小学生か。
Fin
なぜか部屋の中から野球ドームのような音が聞こえてくる…。
「おっ、バスケがあって次は野球か…」
朝輝はなんてなしに言っているが、僕は驚きすぎて一瞬言葉に詰まった。
「…っおっかしいだろ。アパートが野球のドームにつながってるなんて」
だが、僕以外は違うようだ。二人は今更かと僕に言う。
「いーんだよ。ここのアパート自体おかしいんだから」
「だよな」
…ふえぇ。
僕が思わずぶりっ子している間に、霊時君は部屋のチャイムを押していた。
ピーンポーン
ガチャ
「おっ、だれかと思ったら君達か。ほら、中に入れ」
「あ、はい」
この人の名はドラゴン本野介丸さん。名の通りドラゴンのような猛々しい長髪を侍のように結っている。
こんな髪型で野球ができるのかと思ったが、ユニフォームを着ているのを見てなぜかこいつはできると思ってしまった。
「…で、ドラゴンさん。悩み事は何ですか?」
変な確信を持ちつつ、僕はドラゴンさんに聞いた。
だがなぜかドラゴンさんは非常に申し訳なさそうにしている。これはまた変なお悩みが来るのか…。でも僕はもう動じない。何があっても。これまでさんざん変な悩みを解決してきたんだ。僕だってさすがに慣れる。まあ?もしも?驚くようなことがあるとすれば?ドラゴンさんのあの猛々しい某炎柱のような髪がカツラだったー…とかかな。ないだろうけどね。
ドラゴンさんは改まって言った。
「…俺の野球…見れば分かります」
野球を見ると分かる?プレーがへたくそとかが悩みなのか?
「そうですか。では、僕達はいないと思っていつも通りプレーしてください」
さすが霊時君。スピーディーに悩みを解決するために的確な指示を出す。
これが小学生かよ…。
所変わりドーム内。
ここには五人の男がいた。
「えー、何故か珍さんが戻ってきたので僕と霊時君はアナウンス役やるね」
そう。なぜか珍さんが戻ってきたのである。だが僕ら三人の中で、絶賛傷心中の珍さんを慰めようとするやつは誰もいない。これが僕たちなのである。
もちろん珍さん自身も慰めてくれとは言わない。言ったところで逆に罵倒されるのが分かっているからだ。えらい。
「じゃあ俺はキャッチャーな。珍さんはピッチャーやってくれ」
「おう!任せとけ。俺のボールに、常識は通用しねぇ!」
常識が通用しねぇのはてめえの頭だ。黙っとけこの変態。
ウゥゥゥゥウウウウゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ………
プレイボールのサイレンが鳴る。この球場に集まった男たちの熱い戦いの幕が上がった。
実況マイクを握る僕の手にも力がこもる。
これは…世紀の大決戦になる予感がする。
「選手紹介です。幽アパ軍団6番ピッチャー、珍雄太郎君」
「久しぶりにフルネームで呼ばれたぜ…」
「続きまして、ファイヤードラゴンズ8番バッタードラゴン本野介丸君」
「相手が素人だろうが容赦はしない…」
お互い静かににらみ合っている。これは思った以上に熾烈な戦いになるかも…。
「プレイボーッ!!!!」
「ヨッシャ!イクぜ、イクぜぇぇぇー!!未現物質ボールゥゥ!」
「そんな球遅い!!うおおおお!」
カッキーーーーーーン
素人の僕でも分かる、くそへぼいボールを見事場外ホームランされてしまった珍さんは膝から崩れ落ち一言
「な、なんだと貴様っ俺のボールが打てるのか…」
珍さんはショックで倒れた。
「またかよっ」
ああそういえばドラゴンさんは?今のプレイに変なところなんて、ひとっつもなかったけれども…。朝輝も僕と同じように思ったらしくドラゴンさんの方へ向き…
「そういえばドラゴンさ……ブフッ」
朝輝が倒れた。嫌な予感がする。そして急に噴き出した朝輝を不審に思った霊時君もドラゴンさんの方を向き…
「どうした日陽!ドラゴンさんは…~~~~~~~~!!!!!!!!」
霊時君は言葉にならない声を上げながら笑い崩れてしまった。
「二人とも!一体ドラゴンさんがどうしたっていうんだ?!ドラゴンさんは……………
ヅラだったのおおおおおおぉぉぉぉぉおおぉおぉぉぉぉぉぉ~~~~」
予☆感☆的☆中
「そうなんだ。俺の悩みはなぜかバットを振ると、ものすごい風が起きてせっかくかぶっている某炎柱風侍カツラVer.1.0が吹っ飛んで行ってしまうんだ…」
なんだそれ。
「じゃあ、適当にマロンアルファ塗っときな」
僕はもうやけくそだった。霊時君に言って冷風財閥特性マロンアルファをドラゴンさんに渡してもらった。
「ハイッ!これで解決」
「ずいぶんテキトウだね?!君達!」
お前の悩みが生もなさすぎるんだよ。という怒りは胸の奥にそっとしまった。
「ではこれでさようなら」
さすが霊時君。別れ際もスピーディーだ。
これが小学生か。
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寺本さんこんばんは!更新ありがとうございます!!最近大変な世の中になっておりますがお元気でしょうか?一読者としては更新とても嬉しいですが寺本さんのお体を第一に頑張ってください!
最新話拝見しました。小林さんというキャラにどこか親近感を感じてしまいました笑まさかの珍さんとの友情物語でとても面白かったです!また大山さんのお話の続きがとても気になります!これからも頑張ってください!感想失礼しました。
ご感想ありがとうございます!
むーなんさんも気をつけてくださいね。
幽霊アパートの中で数少ないホッコリとした話だったのでどのような反応が来るのか楽しみでした。応援ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
寺本さんこんにちは!今回も更新ありがとうごさいます!前の感想への返信ありがとうございました。一読者の身で作者様の私生活への質問は行き過ぎた心配かな、、、と思いましたがお気になさってないようなので安心しました。ですが、あまりご無理なさることのないようご自愛ください!長くなってしまいましたが今回のお話もとても面白く、新キャラの珍雄太郎(笑)さんの登場にはまさに抱腹絶倒の勢いでした!!
今後もゆっくりでいいので更新お願い致します!!!
お読み頂きありがとうございます。そして、毎回のご感想ありがとうございます。一声一声が作品を作る上での励みになっております。これからもこの幽アパをよろしくお願いします!!
前回のお話に引き続き、期待を裏切ることの無い面白さでした、、、!!とくに、この作品のムードメーカーとも言える日陽君へのお友達2人の当たりの強さには声を出して笑ってしまいました!突然ですがプロフィール欄に投稿は不定期とありますが、お仕事かなにかお忙しいのでしょうか??そうだとすればそんな中更新して下さるのは、この素晴らしい作品の一読者としてとても嬉しく思います!次のお話を首を長くしてまっています!!
感想ありがとうございます!!
私自身、日陽くんへの2人の当たりの強さは大好きなんですよ笑 これからも沢山書きますね!
そうですね、毎日の中で取れる時間は限られていて、定期的に更新はできないです。本当に申し訳ないです。ですが、むーなん様のような読者さまの期待に答えることができるよう努めますので、これからもよろしくお願いします!