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高校生編
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しおりを挟む「お~、お子様な凜には見てわかんねえの?」
「………冗談でも殺すよ?」
凜くんはそう言うと、冷ややかな瞳がまるで刺すように玉井に向けられる。
凜くんは綺麗な顔をしているだけに、そんな背筋の凍りそうな、氷のような瞳をすると似合いすぎるというか…恐ろしいくらいにゾクッとする。
「お~、怖い怖い。最近の若者は血の気が多くてやんなっちゃうね~」
「早く帰ってください」
「俺はコイツに呼ばれたんだけど?」
オレに巻きつけた腕をキュッと締められ「うぇ」と、潰れたような声を出てしまった。
苦しい苦しい苦しい……ギブッ!!!
バシバシと太ももを叩くと、つかつかと凜くんが近づいてきて、ベリッと玉井とオレを引き離した。
「帰ってください」
低い声でさっきと同じ台詞を言うと、玉井はへらへらとしながら少し呆れたようなため息をついて「へいへい」と、立ち上がった。
「玉井…」
「またな」
おう、とオレが言うと玉井はニッと歯を見せて笑いながら手をひらひらと振って帰っていった。
確かに誘ったのはオレだったし…悪いことしたかな。いや、でも凜くんなんか怒ってるし、これ以上ここに居てもらったとしても、楽しい時間は過ごせそうにないだろう。まあ、明日にでももう一度ちゃんと謝ればいいか。
玄関の施錠をして、戻るためにくるりと体の向きを変えるとすぐ後ろに凜くんが立っていて、驚いてよろけると抱き寄せるようにして支えてくれた。
「あ、ごめん…っ、ありがと…」
「なんでそんな格好してるの」
「え」
いつもの甘い声ではなく、先程よりは幾分かはマシだけど冷めたような声で話かけられて一瞬何を言われたのかわからなかった。
「なんでそんな格好してるの」
凜くんはもう一度ゆっくりと言った。
格好?格好って………あ。
すっかり忘れていたけど、そういえばパンツ一丁だったことに気づき、そんな格好で凜くんにくっついているのだと思うと途端に恥ずかしくなってきた。
「お、お酒こぼしちゃって…あ、えっと…服、着る…」
顔が熱くなってきて、凜くんの顔がまともに見れない。恥ずかしくてたまらない。
そう思って、凜くんの腕から離れようとしたけどオレの意志とは逆に凜くんはさっきよりもギュッ抱き寄せた。
「り、凜くん?」
「玉井さんの前ではそんな格好するのに、僕の前じゃだめなの?」
「え」
確かに玉井の前では恥ずかしくも何ともないからこの格好でも問題なくて…と、いうかどうでもよくて、気にもしていなかった。
単に床掃除を優先した結果なだけだ。
「り、凜くんの前では…その、なんというか、恥ずかしい」
「何度も見てるのに?」
「…っ、だから、だよ!意識しちゃう、から…凜くんに見られると……」
パンツ一丁で赤い顔してもじもじしているおっさんなど、見るに耐えないだろうが、許してほしい。
ああ、これが可愛い女の子だったら喜んでもらえるサービスシーンなんだろうが、オレは三十を過ぎたおっさんだ。申し訳ない。
あまりに申し訳なくて、オレが脳内で謝罪会見を開いていると、凜くんは呆れたように大きくため息をついてからオレのおでこに凜のおでこがコツンと当たる。
長いまつげが当たってしまいそうな距離に思わずドキドキしてしまった。
「僕だけを意識してくれてる?」
「え?あ、うん…」
当たり前だ。
好きなのも、ドキドキするのも、えっちなことがしたいのも凜くんだけだ。
「凜くんにだけしかドキドキしない」
オレがそう言うと、ゆっくりと目を閉じてから開いて目尻を下げた。
いつもの優しい凜くんの笑顔になり、ホッとした。
「もう…妬いた。玉井さんとイチャイチャしないで」
「イチャ…!?いやいや、そんな気持ち悪いこと言わないで凜くん…ん?妬いた?」
オレが首を傾げると、凜くんは呆れたようにまたため息をついた。最近ため息ばかりつかれている気がする。たぶん気のせいじゃない。しょぼん。
「当たり前でしょ。妬かない方がおかしいよ。琥珀が何も感じてなくて迂闊なことやってるっていうのはわかってるけど、嫌なものは嫌」
凜くんは頬を少し膨らませてムッとした顔をする。その表情がいつもの大人っぽい凜くんじゃなくて、年相応で、可愛くて、思わずデレッとだらしない顔をしてしまう。
「…っ、そんな顔して…もう。反省してるの?」
「し、してるよ!ごめん!凜くん可愛いなって思っちゃって…わあぁ!?」
オレの言葉の途中でふわっと体が浮いた。
一瞬何が起こったのかわからなかったが、凜くんに抱き上げられていた。お姫さまだっこで。
「り、りりり凜くん!?」
めちゃくちゃたくましいな!?
とてつもなく恥ずかしい状況だが、凜くんのしなやかな筋肉のついた腕で抱っこされているのだと思うと思わずキュンっ、とした。
かっこいい。おっさんのお姫さまだっこなんて絵にもならないけど、軽々と持ち上げる凜くんはまるで物語の王子さまみたいだし、力強いし、かっこよすぎるぅ…
「琥珀、反省してないでしょ」
凜くんがジトっとした目でオレを見ながら、ずんずんと歩く。
ああー、その目もかっこいい…何してもかっこいい…オレの推し尊い…。
キュンキュンしながら目をハートにしていると、さらに不機嫌そうに眉をしかめる。かっこいい。
「……もう」
凜くんはため息まじりに小さく呟くと、オレをバスルームに降ろした。ん?バスルーム?
オレが疑問に思っていると、凜くんは脱衣所で次々と服を脱いだ。
サラッと脱いでいる姿、かっこいいなぁ。
脱いだときに顔を動かす時の首筋とか色っぽくてドキッとするし、引き締まった体には無駄な肉は無くて、でもムキムキってわけじゃなくて、それがすごくかっこいい。凜くんかっこいい。
ぼー、と見惚れていると凜くんもバスルームに入って、スッとオレのパンツをずらした。
「足上げて。濡れちゃうから脱ぐよ」
「え、うん」
オレは素直に従い、片足ずつ踏みかえるように浮かすと、凜くんがパンツを脱がしてくれて、ポイッと脱衣所に投げすてた。
素っ裸で向き合っているが、よく考えたらなんでバスルームに来てるんだ?ん???
「凜くん?」
頭のまわっていないオレが首を傾げると、凜くんは蛇口をひねってシャワーヘッドからお湯を出した。
「体洗うけど、いいよね?お酒臭くてなんだかムカつく」
「え!?ご、ごめん…」
「いいよ。洗ってあげるね」
さっき酒をかぶってしまったせいかな…。凜くんは未成年だからお酒は飲まないし、そうだよな。酒臭いとか嫌だったよな…
オレがそう心の中で反省していると、シャワーヘッドをオレに向けて、お湯をかけた。
「熱くない?」
「うん、ちょうどいい」
やっぱりちょっとベタついていたのか、あたたかなお湯が体を撫でると、汚れが落ちていくようで気持ちが良かった。
前からぐるっとお湯をかけると、凜くんはヘッドを元にあった場所に戻し、ボディソープを手につけた。
そのボディソープは凜くんが前に選んでくれたもので、お互いにお揃いで使っている。
花の香りがふわっとバスルームに広がり、いい香りだなと考えていると、背中を優しく撫でるように凜くんの手が触れた。
「え、あ…洗ってくれるの?オレ、自分で洗えるけど」
凜くんの目にはオレはただの酔っぱらいで、頼りないものに見えているかもしれないが、少しぼやっとしているくらいで、体を自分で洗えないくらい泥酔しているわけじゃない。
「わかってない。僕が洗いたいの。玉井さんに触られてたのもムカつくんだもん。だから、僕で上書きする」
「う、上書きって…」
大袈裟だなぁ、と思ったけど不機嫌そうに口を尖らせている凜くんがとても可愛くて「じゃあ、お願いしようかな」とついつい言ってしまった。
玉井とは何でもないけど、凜くんがオレを好きで妬いてくれてるんだと思うと、嬉しくて、愛しくてたまらない。
背中を洗い終えたのか、次は腕を洗ってくれる。後ろから背中にぴったりと凜くんがくっつくから肌が密着していると思うとソワソワしてなんだか妙な気分になってくる。
「り、凜くん近い…」
「近いって…僕とくっつくの嫌なの?」
「嫌とかそういうことじゃなくて…」
困る。意識しすぎてドキドキするし、裸でくっつくなんてえっちな気分になる。
あ~…頼むから反応しないでくれよ、オレのムスコよ!!
「じゃあ問題ないよね」
「んっ…」
指と指を絡め合うようにくちゅくちゅとボディソープがすべる。
妙な気分になってしまっているせいか、その音が卑猥に聞こえてしまい顔が熱くなる。
「どうしたの?琥珀」
「な、なんでもない」
「そう」
凜くんは手にボディソープを足すと、お腹に手を回してまるでマッサージのように手のひらで撫でた。
背中から凜くんの息がかかって、否が応でも意識してしまう。凜くんはただ洗ってくれているだけだというのに恥ずかしい。
おへそのまわりをくるくると少し押すように洗われると、なんだかムズムズ、ゾクゾクしてしまい、何故だか体が熱くなる。
凜くんの白くて綺麗な手がお腹から順に上に上がってくる。
スルスルと手が動くたびに何かに期待するように心臓がドキドキしてしまう。期待なんてちゃだめなのに。
「琥珀…」
凜くんの低くて色っぽい声が鼓膜を震わせると、腰骨にまるで振動がきたようにガクッとなって力が抜けそうになる。
艶かしく動いているようなそんな気分にさせる凜くんの指がぬるっと乳首を通り過ぎると「あっ」と、声を出してしまった。
普段、自分が触ってしまったとしても、そんな妙な声は出ない。
…まあ、人より少し大きい乳輪のせいか、たまに服がこすれるとソワソワしてしまうけど。
「どうかした?」
「…っ、ううん…なんでも」
そうだ。別にえっちなことしてるわけじゃなかったんだ。
そう思うと、そんな反応をしてしまった自分が恥ずかしい。凜くんはそんなつもりじゃないのに!うう…浅ましい煩悩め……。
オレは煩悩を消すように、頭の中で一の段から九九を数える。
いんいちがいち、いんにがに……
しかし、そんなことは所詮意味がないことで乳輪をなぞるように触れられるたびに、声が溢れそうになり、思わず手で口を塞いだ。
「んくっ…ふ」
おかしい。なんかおかしい。
ただ、体があわあわになっているだけのはずなのに凜くんに触れられていると興奮してしまうのか、気持ちよくなってしまっている自分がいる。
「もしかして、琥珀…気持ちいいの?」
「…っ、ふ」
言えない。恥ずかしい。
触れられただけで、気持ちよくてたまらないなんて。
凜くんと触れ合ってると勘違いして、ドキドキしてたまらないなんて。
「り、りんくん…やっぱり、じぶんで…っ、ひっ、ぁ…」
口から手を離して、凜くんにお願いしようとしたけど、凜くんの指が乳首を摘むようにくにくにと動き、自分の声とは思い難い声がバスルームに反響する。
こ、これはどう考えてもえっちなことをされてる!!洗ってるとは言えない!!
「り、凜くん…えっちなことはしない約束…っ、ん」
「してないよ。洗ってるだけ」
「うっ、うそだよ…!だって」
「だって?」
「…っ、なんでも、ない」
あまりにも平然としたいつも通りの声で言われると、自分がおかしいのかと思う。
普通は、乳首を触られたところでなんともないのかもしれない…男だし。それにオレ自身、いつもなら気持ちいいなんて思ったことないしな。
そう思うとそれ以上何も言えなくなった。
凜くんがフッと息を吐くように笑った気がしたけど、それどころじゃなかった。
口を手で押さえているから声はほとんど出さずに済んだけど、下半身丸出しのせいでむくむくと成長しつつあるものを隠すことができない。
恥ずかしい。体を洗われてるだけなのに、体がどんどんエロくなっていく。
「ふっ、ン」
もともと大きかった乳輪がさらに広がっている気がする。
その中心は芯を持ってきて、ぷっくりと育ってしまっていた。
指がそこに触れるたびに、ピリピリと腰にくる刺激がきて、下半身に熱がたまっていく。
恥ずかしい。でも、気持ちいい。
凜くんに触られているって意識するたびに体が悦びで震えそうになる。
ずっとずっと触られるのを待ち続けていたように、貪欲にその感触を味わってしまう。
「はっ、ふ…」
くねるように無意識に腰を揺らしてしまい、バランスを崩すようにふらりと壁に手をついた。しかし、手もボディソープがついてしまっているためにつるりとすべると、凜くんが腰に手を回してギュッと支えてくれた。
「あ、ありがと凜く…」
ん。んん???
最後の一文字を言葉にしようとした瞬間に、ゴリッとしたものがお尻に当たった。
もしかして、凜くん勃ってる???
「りん、く…」
「あー…だめ」
「え?」
「もう我慢できない」
「へ?」
「ごめん、琥珀。挿れないから、お願い。足貸して」
「え?あ、足???」
意味がわからず動揺していると、凜くんはオレの腰を掴んで、凜くんの腰をぴったりとくっつけた。
にゅるんとしたものが、太ももの間に侵入してきて「ひゃんっ」と、驚きのあまり妙な声をあげてしまった。
「足閉じて」
太ももに先程侵入してきたものを挟むように足を閉じる。え、もしかしなくてもこれってすまたってやつ?噂でしか聞いたことないけど、まさか実体験する日がくるとは……じゃなくて!これは絶対にアウト!えっちなやつじゃん!!
「り、凜くんだめ!!約束…っ」
「ごめん、琥珀…挿入しないから、お願い…っ、」
「ひゃんっ!?ぁ、や…っ、だめだって!凜くんやめ…っ」
閉じた足にある熱いモノが、ボディソープのおかげかぬるぬると滑って動く。
凜くんの骨ばった腰が尻に当たると、足の間にあった凜くんの立派な凜くんがオレのちんぽと擦れて刺激的な快感を与えてくる。
「はっ、ぁ…ん、あっ、や、だ…りんく、ん…っ、しちゃ、だめ…っ、」
気持ちよくて気持ちよくて、頭が馬鹿になりそうだったけど、なけなしの理性で凜くんに訴える。
だけど、タガが外れてしまっているのか「ごめん」「琥珀」と熱い呼吸と一緒に繰り返すだけでオレの言葉が届かない。
だめなのに、拒まないといけないのに。
でも、凜くんの熱が伝わるたびにそんなことはできなくなる。
体が気持ち良さを受け入れてしまっているのももちろんあるけど、凜くんが好きだから、凜くんがしたいことをさせてあげたいし、こんなに強く求められているのだと思うと、浮かれてしまいそうなくらい嬉しくて嬉しくてたまらない。
「ぁ、こすれて…っ、あ…っ、きもちい…っ、りんくん…っ、あっ、やっ、だめ…イっちゃ、う」
「はぁ…っ、ぁ…こはく…っ、こはくぅ」
「あっあっ、でちゃう!きもちいいっ、きもちいいっ、りんくんっ、でちゃ、でちゃう…イくイくイく…うっ、ぁ…っあ」
びゅっびゅーーーッ、と勢いよく壁にべったりと精液を飛ばして汚すと、凜くんは挟んでいたガチガチのモノを引き抜くと、尻にあたたくて液体がかかる。
…どうやら今回は尻にぶっかけられたらしい。ブレないな。
しかし、今はそんなことはどうでもよくて、力が抜けてしまい、体重を壁に預けながらズルズルと座り込むように膝をついた。
応援ありがとうございます!
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