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12.告白
――え?
あまりの言葉に、俺の思考は一瞬で停止した。
身体の熱も、呼吸も、そのすべてが止まったかのように、俺はただ固まることしかできなかった。
驚く俺などお構いなしに、ロランは言葉を重ねた。
「やっと、婚約破棄を渋るクレマンスを説き伏せた。両親の許可も取りつけた。騎士団の周囲もすべて固めた。
上官からは、結婚の宴では――祝福の剣礼の儀を授けるとまで言われていた。それなのに……」
低く、押し殺した声が震える。
「エルヴェ、お前は長い間、私を利用しながら……ヴォードレールの番になる機会をうかがっていたのだな」
淡々と語られるその言葉とは裏腹に、ロランの動きは荒々しさを増していく。
まるで、怒りと絶望をぶつけるかのように――罰を与えるかのように。
俺は信じられない思いで、シーツを強く握りしめた。
クレマンスとの婚約破棄。
両親の許可。
――そして、結婚!?
あまりにも現実味のない言葉が、頭の中で反響する。
「ロ、ロラン……っ、ま、待っ……あ、ああっ……!」
話を、ちゃんと聞かなければ。
そう思うのに、ロランは容赦なく俺の腰を引き寄せ、そのままさらに深く体を繋げてくる。
「エルヴェ……私は、お前を絶対に許さない!」
「あ……っ、だめ……深い……っ、あ……ああ……っ」
「ずっと……お前と一緒になるために、私は動いてきた」
荒い呼吸の合間に、言葉が紡がれる。
「一目ぼれだった。あの日、お前がヒートになって、その場に私が居合わせたことは天の采配なのだと思った。
それなのに……っ」
「ああっ、ロランっ、駄目っ……」
「だが、この関係を周囲に知られれば、私たちはたちまち引き裂かれる。だから、耐えてきた。
偶然、騎士団で顔を合わせたとき、お前を引き寄せて抱きしめることを、どれだけ我慢してきたと思う」
その声に含まれた感情は、怒りだけではなかった。
「月に一度、お前に逢える日だけを支えにして……それだけを糧にして、生きてきた」
ロランの言葉に、胸の奥が、締めつけられる。
「――ただ、将来を誓い合うために。二人の未来のために」
「ああっ、うっ……、ロラ――」
「エルヴェ、お前も……私と同じ気持ちだと、ずっと信じていた」
かすかに掠れたその声に、胸が痛む。
「だが――すべては、無駄だった」
俺の背中に落ちるその言葉は、絶望そのものだった。
「ロラン……っ」
「だが、お前が他のアルファの番になるなど、絶対に許さない」
ロランには全く迷いがなかった。
「――だから、ここで、私はお前を番にする。そして孕ませて、私から生涯離れられなくする」
熱い息が、うなじに触れる。
鋭い犬歯が、肌に押し当てられる感触。
――このままでは、強制的に番にされてしまう。
――だから。
「ロラン、あなたを愛していますっ!」
気づけば、俺は声を張り上げていた。
あまりの言葉に、俺の思考は一瞬で停止した。
身体の熱も、呼吸も、そのすべてが止まったかのように、俺はただ固まることしかできなかった。
驚く俺などお構いなしに、ロランは言葉を重ねた。
「やっと、婚約破棄を渋るクレマンスを説き伏せた。両親の許可も取りつけた。騎士団の周囲もすべて固めた。
上官からは、結婚の宴では――祝福の剣礼の儀を授けるとまで言われていた。それなのに……」
低く、押し殺した声が震える。
「エルヴェ、お前は長い間、私を利用しながら……ヴォードレールの番になる機会をうかがっていたのだな」
淡々と語られるその言葉とは裏腹に、ロランの動きは荒々しさを増していく。
まるで、怒りと絶望をぶつけるかのように――罰を与えるかのように。
俺は信じられない思いで、シーツを強く握りしめた。
クレマンスとの婚約破棄。
両親の許可。
――そして、結婚!?
あまりにも現実味のない言葉が、頭の中で反響する。
「ロ、ロラン……っ、ま、待っ……あ、ああっ……!」
話を、ちゃんと聞かなければ。
そう思うのに、ロランは容赦なく俺の腰を引き寄せ、そのままさらに深く体を繋げてくる。
「エルヴェ……私は、お前を絶対に許さない!」
「あ……っ、だめ……深い……っ、あ……ああ……っ」
「ずっと……お前と一緒になるために、私は動いてきた」
荒い呼吸の合間に、言葉が紡がれる。
「一目ぼれだった。あの日、お前がヒートになって、その場に私が居合わせたことは天の采配なのだと思った。
それなのに……っ」
「ああっ、ロランっ、駄目っ……」
「だが、この関係を周囲に知られれば、私たちはたちまち引き裂かれる。だから、耐えてきた。
偶然、騎士団で顔を合わせたとき、お前を引き寄せて抱きしめることを、どれだけ我慢してきたと思う」
その声に含まれた感情は、怒りだけではなかった。
「月に一度、お前に逢える日だけを支えにして……それだけを糧にして、生きてきた」
ロランの言葉に、胸の奥が、締めつけられる。
「――ただ、将来を誓い合うために。二人の未来のために」
「ああっ、うっ……、ロラ――」
「エルヴェ、お前も……私と同じ気持ちだと、ずっと信じていた」
かすかに掠れたその声に、胸が痛む。
「だが――すべては、無駄だった」
俺の背中に落ちるその言葉は、絶望そのものだった。
「ロラン……っ」
「だが、お前が他のアルファの番になるなど、絶対に許さない」
ロランには全く迷いがなかった。
「――だから、ここで、私はお前を番にする。そして孕ませて、私から生涯離れられなくする」
熱い息が、うなじに触れる。
鋭い犬歯が、肌に押し当てられる感触。
――このままでは、強制的に番にされてしまう。
――だから。
「ロラン、あなたを愛していますっ!」
気づけば、俺は声を張り上げていた。
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