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第一章
第37話 隠れ家的お店
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昼を報せる鐘が鳴り、バートンさんが動きを止めて口を開いた。
「もう昼かぁ……。あっという間だったな」
残念そうに呟くバートンさんとは対照的に、私はようやく模擬戦から解放されると内心喜んだ。
「解体の奴らも昼飯にしてぇだろうからよ、俺達も先に飯を食おう」
……どうやらバートンさんからは、まだ解放してもらえなさそうだ。
返答に困っていると、バートンさんが近寄って来るなり耳元で囁いた。
「美味い店を知っててな、この街に不慣れなお前が絶対に見つけられねぇ場所にあるんだ。俺のお気に入りの店で酒も料理も最高なんだ」
それって隠れ家的なお店ってこと?
行きたい!
……行きたいけど、バートンさんも一緒ってことだよねぇ。
お腹はペコペコで食事を欲しているけれど、お昼までバートンさんと摂るのはちょっと……。
私が躊躇っていると、バートンさんの口から魅惑的な言葉が出た。
「俺の奢りだ」
「お供いたします」
食い気味に返事をすると、バートンさんはおかしそうにククッと笑いを漏らすと口を開いた。
「そんじゃあ、行くか」
バートンさんに声をかけられて、頷き返してメイスを呼ぼうとしたが、その前にメイスは肩に飛び乗って来た。
『美味い店とやらが楽しみだ』
肩に飛び乗ったメイスの声が弾んでいる。
あれだけ距離があったのに、バートンさんとの会話はメイスに筒抜けだったみたい。
ビリーさんの家で食べた魔獣の肉以来、メイスは食べ物、特に肉には目がないようで、ご機嫌な様子で尻尾をゆらりと揺らしている。
「ふふ」
思わず笑みを零した私は、先を歩くバートンさんを追って、鍛練場を後にした。
冒険者ギルドを出て大きな通りを横切り路地に入る。
迷路のように入り組んだ路地を歩くこと数分。
その一角にお目当ての店が建っていた。
バートンさんは店の前で足を止めると、こちらに振り返って言った。
「この店が俺のお気に入りの店だ。地元民でも通い慣れていねぇ奴はすぐに迷子になってたどり着けねぇ。だから、お前のようなよそ者には見つけ出せる訳がねぇんだ。ま、それもこの店の料理を味わうスパイスだと思えば、多少迷子になろうがどうでも良いってことだ」
悪戯っ子のように笑みを浮かべるバートンさんを見て、私もつられて笑みを浮かべた。
迷路のように入り組んだ路地の先にある店なんて、俄然興味が搔き立てられてしまう。
しかも、そのお店の料理が美味しいときたら、食べない訳にはいかない。
瞳を輝かせてバートンさんを見上げると、バートンさんが吹き出した。
「ははっ!早く食いてぇって面だな。そんじゃあ、入るぞ」
一見、ここいらに建ち並ぶ家と外観は変わらなかったのだが、一歩店内に足を踏み入れるとその様子はガラッと様変わりした。
店内には食欲をそそる匂いが漂い、どこから集まって来たのか分からないが、食事をする客で賑わいを見せていた。
テーブルの間を縫うように、数名の女性がトレーを片手に忙しなく歩き回っている。
そのうちの一人がバートンさんに気がついて声をかけてきた。
「いらっしゃい。いつもの席なら開けてあるわよ」
「ありがとう。今日はコイツも居るんだが、構わねぇか?」
バートンさんと会話を交わしていた女性が私に気がついて目を見開いた後、すぐにニッコリと微笑んで答えた。
「あら。今日は小さなお客様も一緒なのね。珍しいこともあるものねぇ。ちょっと待ってて」
女性はトレーを片手に器用にテーブルの間をすり抜けて行くと、すぐに戻って来るなり言った。
「お待たせ。席は二つで良かったかしら?従魔の猫ちゃんは床でも構わない?」
メイスに視線を向けると、脳内にメイスが返事をした。
『肉が食せるなら床でも構わん』
ちょっと不安だったけど、メイスに不満は無いようで安心した。
私は女性に大丈夫だと伝えると、女性は私達を席に案内してくれた。
バートンさんに注文を任せたのだが、その量が半端なかった。
到底、二人と一匹が食べきれる量ではない。
「……いくら美味しくてもこんなに食べきれないよ」
そう呟いた私に、バートンさんは怪訝そうに首を傾けた。
「そうか?このくらいの量なら余裕だろ」
バートンさんのガタイなら余裕だろうね。
でも、私の体には多過ぎるよ。
結局、料理の大半がバートンさんの胃袋に収まった。
もちろん、料理は美味しかったよ。
「もう昼かぁ……。あっという間だったな」
残念そうに呟くバートンさんとは対照的に、私はようやく模擬戦から解放されると内心喜んだ。
「解体の奴らも昼飯にしてぇだろうからよ、俺達も先に飯を食おう」
……どうやらバートンさんからは、まだ解放してもらえなさそうだ。
返答に困っていると、バートンさんが近寄って来るなり耳元で囁いた。
「美味い店を知っててな、この街に不慣れなお前が絶対に見つけられねぇ場所にあるんだ。俺のお気に入りの店で酒も料理も最高なんだ」
それって隠れ家的なお店ってこと?
行きたい!
……行きたいけど、バートンさんも一緒ってことだよねぇ。
お腹はペコペコで食事を欲しているけれど、お昼までバートンさんと摂るのはちょっと……。
私が躊躇っていると、バートンさんの口から魅惑的な言葉が出た。
「俺の奢りだ」
「お供いたします」
食い気味に返事をすると、バートンさんはおかしそうにククッと笑いを漏らすと口を開いた。
「そんじゃあ、行くか」
バートンさんに声をかけられて、頷き返してメイスを呼ぼうとしたが、その前にメイスは肩に飛び乗って来た。
『美味い店とやらが楽しみだ』
肩に飛び乗ったメイスの声が弾んでいる。
あれだけ距離があったのに、バートンさんとの会話はメイスに筒抜けだったみたい。
ビリーさんの家で食べた魔獣の肉以来、メイスは食べ物、特に肉には目がないようで、ご機嫌な様子で尻尾をゆらりと揺らしている。
「ふふ」
思わず笑みを零した私は、先を歩くバートンさんを追って、鍛練場を後にした。
冒険者ギルドを出て大きな通りを横切り路地に入る。
迷路のように入り組んだ路地を歩くこと数分。
その一角にお目当ての店が建っていた。
バートンさんは店の前で足を止めると、こちらに振り返って言った。
「この店が俺のお気に入りの店だ。地元民でも通い慣れていねぇ奴はすぐに迷子になってたどり着けねぇ。だから、お前のようなよそ者には見つけ出せる訳がねぇんだ。ま、それもこの店の料理を味わうスパイスだと思えば、多少迷子になろうがどうでも良いってことだ」
悪戯っ子のように笑みを浮かべるバートンさんを見て、私もつられて笑みを浮かべた。
迷路のように入り組んだ路地の先にある店なんて、俄然興味が搔き立てられてしまう。
しかも、そのお店の料理が美味しいときたら、食べない訳にはいかない。
瞳を輝かせてバートンさんを見上げると、バートンさんが吹き出した。
「ははっ!早く食いてぇって面だな。そんじゃあ、入るぞ」
一見、ここいらに建ち並ぶ家と外観は変わらなかったのだが、一歩店内に足を踏み入れるとその様子はガラッと様変わりした。
店内には食欲をそそる匂いが漂い、どこから集まって来たのか分からないが、食事をする客で賑わいを見せていた。
テーブルの間を縫うように、数名の女性がトレーを片手に忙しなく歩き回っている。
そのうちの一人がバートンさんに気がついて声をかけてきた。
「いらっしゃい。いつもの席なら開けてあるわよ」
「ありがとう。今日はコイツも居るんだが、構わねぇか?」
バートンさんと会話を交わしていた女性が私に気がついて目を見開いた後、すぐにニッコリと微笑んで答えた。
「あら。今日は小さなお客様も一緒なのね。珍しいこともあるものねぇ。ちょっと待ってて」
女性はトレーを片手に器用にテーブルの間をすり抜けて行くと、すぐに戻って来るなり言った。
「お待たせ。席は二つで良かったかしら?従魔の猫ちゃんは床でも構わない?」
メイスに視線を向けると、脳内にメイスが返事をした。
『肉が食せるなら床でも構わん』
ちょっと不安だったけど、メイスに不満は無いようで安心した。
私は女性に大丈夫だと伝えると、女性は私達を席に案内してくれた。
バートンさんに注文を任せたのだが、その量が半端なかった。
到底、二人と一匹が食べきれる量ではない。
「……いくら美味しくてもこんなに食べきれないよ」
そう呟いた私に、バートンさんは怪訝そうに首を傾けた。
「そうか?このくらいの量なら余裕だろ」
バートンさんのガタイなら余裕だろうね。
でも、私の体には多過ぎるよ。
結局、料理の大半がバートンさんの胃袋に収まった。
もちろん、料理は美味しかったよ。
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