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第二章
第81話 爪は健康のバロメーター
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サーレーンを発つぎりぎりまでヒデさんの鍛錬は続いた。
その結果、短期間である程度魔物を倒せるようになったヒデさんは、自信がついたこともあって心なしか顔つきも男らしくなったように見える。
今朝はいつもより早く起きて身支度を整えると、真新しい武具と防具を身に着けたヒデさんが恥ずかしそうにして私の前に現れた。
新しく服を新調して武具と防具を買い揃えたヒデさんは、どこから見ても冒険者にしか見えなかった。
「うわぁ!ヒデさん、よく似合っているよ!」
武具と防具は、ヒデさんが魔物を討伐した報酬で買い揃えたものだ。
この世界のお金を持たないヒデさんのために買おうとしたのだけど、ヒデさんに固辞されたためだ。
彼曰く、自分より幼い子にお金を出してもらうのは抵抗があるそうで、武具と防具だけでも自分で稼いで買いたいとのことだった。
意外にも意志は固く真面目なヒデさんに、せめて服だけは買わせてほしいとお願いしたほどである。
私の褒め言葉に、ヒデさんは頭をくしゃくしゃと掻いてはにかんだ。
「へへ。そうかな。毎日外で訓練していたから日に焼けちゃった」
初夏とはいえ、じりじりと照りつける陽射しはかなり強い。
そのせいで白かった肌は浅黒く焼け、ひょろっとした細い体は若干ではあるが、筋肉がついたように思う。
たった数日だというのに、ヒデさんの成長ぶりには目を瞠るものがある。
「ふふ。日に焼けて男らしくなったんじゃない?成長期だからまだまだ身長も伸びるし筋肉だってついてもっと強くなるね」
「ホント?僕、背が低いのがコンプレックスで毎日牛乳を飲んでいたんだ。でも、なかなか伸びなくて諦めたんだ」
どうやらヒデさんは背が低いのがコンプレックスらしい。
心底嬉しそうな表情をして私を見つめる瞳は、期待に満ちている。
そこで、私は前世で知り得た情報をヒデさんに話して聞かせた。
「牛乳も大事だけど、体をしっかりと動かすことも大事だよ。遺伝もあるだろうけど、しっかりと栄養を摂って運動をすること、これが大事なんだってあるテレビ番組で言っていたのを見たことがあるよ。それに、成人してからも身長が伸びた話しも聞いたし、諦めるのは早いよ」
成人してから身長が伸びた話しは、友人か同僚から聞いたと思うのだが、そこら辺の記憶は曖昧なままだ。
しかし、こういう時に欲しい情報がすんなりと出てくるところ実に都合が良すぎるなと思うものの、内心では感謝しまくりである。
私の話しを聞いていたヒデさんの目が大きく見開かれた。
「……成人してからも身長が伸びたってホント?だったら、もっと運動してもっと食べる!」
それほどまでに身長が低いことを気にしていたのか、両手の拳を握りしめて鼻息を荒げるヒデさん。
前世の記憶によると、ヒデさんの身長は平均的な日本人より若干低いくらいで、まだまだ伸び盛りの彼が気にするほどのことではないと思うのだが、確かに小さいと言われ続けた私にもその気持ちが痛いほど分かる。
私は自分に言い聞かせながら助言をした。
「うん、しっかりと運動して食べないとだよね。でも、ただ食べるだけじゃ駄目だよ。たんぱく質とカルシウムをバランスよく摂らないと」
「……たんぱく質とカルシウムをバランスよく?」
意味が分からないのか、首を傾けてジッと私を見つめている。
まあ、若いからそこまで健康管理に関心はないのだろう。
それに引き換え、前世の私は若くなかったみたいで、健康に関した知識はそこそこ持っているようだ。
「そう。カルシウムは説明しなくても分かると思うけど、骨を丈夫にする効果があるのは知っているよね?」
「うん」
私の問いかけに即答したヒデさんを見て、簡潔に言葉をかみ砕いて説明をした。
「で、たんぱく質は体に重要な栄養素の一つで、筋肉をつくるために欠かせないものなの。それが不足すると肌が荒れたり疲れやすくなっちゃうの。あっ、そうだ!爪を見たら自分の健康状態が分かるよ。ちょっと見せて」
「え?あ……」
いきなり手を掴まれて困惑した表情を浮かべるヒデさんに、私はお構いなくヒデさんの爪をまじまじと眺めた。
ヒデさんの爪の状態は、若いだけあって健康そのものだ。
私もメイスのおかげで、今では髪は艶々、爪はつるんとした表面をしており健康そのものである。
健康状態が悪くなかったことに安堵した私は、満面の笑みを浮かべてヒデさんに告げた。
「健康状態は良好だよ。たんぱく質が足りていないと髪がパサついたり爪が波打ってくるから、時々爪を見て健康状態を確認してね。爪は健康のバロメーターだって言うしね」
「……うん?」
理解が追いついていないヒデさんは首を捻りながらも返事をしたが、その様子から半分も意味を理解していないのは伝わってきた。
私は苦笑を浮かべながら、今後も時々彼の爪をチェックしようと決めた。
その結果、短期間である程度魔物を倒せるようになったヒデさんは、自信がついたこともあって心なしか顔つきも男らしくなったように見える。
今朝はいつもより早く起きて身支度を整えると、真新しい武具と防具を身に着けたヒデさんが恥ずかしそうにして私の前に現れた。
新しく服を新調して武具と防具を買い揃えたヒデさんは、どこから見ても冒険者にしか見えなかった。
「うわぁ!ヒデさん、よく似合っているよ!」
武具と防具は、ヒデさんが魔物を討伐した報酬で買い揃えたものだ。
この世界のお金を持たないヒデさんのために買おうとしたのだけど、ヒデさんに固辞されたためだ。
彼曰く、自分より幼い子にお金を出してもらうのは抵抗があるそうで、武具と防具だけでも自分で稼いで買いたいとのことだった。
意外にも意志は固く真面目なヒデさんに、せめて服だけは買わせてほしいとお願いしたほどである。
私の褒め言葉に、ヒデさんは頭をくしゃくしゃと掻いてはにかんだ。
「へへ。そうかな。毎日外で訓練していたから日に焼けちゃった」
初夏とはいえ、じりじりと照りつける陽射しはかなり強い。
そのせいで白かった肌は浅黒く焼け、ひょろっとした細い体は若干ではあるが、筋肉がついたように思う。
たった数日だというのに、ヒデさんの成長ぶりには目を瞠るものがある。
「ふふ。日に焼けて男らしくなったんじゃない?成長期だからまだまだ身長も伸びるし筋肉だってついてもっと強くなるね」
「ホント?僕、背が低いのがコンプレックスで毎日牛乳を飲んでいたんだ。でも、なかなか伸びなくて諦めたんだ」
どうやらヒデさんは背が低いのがコンプレックスらしい。
心底嬉しそうな表情をして私を見つめる瞳は、期待に満ちている。
そこで、私は前世で知り得た情報をヒデさんに話して聞かせた。
「牛乳も大事だけど、体をしっかりと動かすことも大事だよ。遺伝もあるだろうけど、しっかりと栄養を摂って運動をすること、これが大事なんだってあるテレビ番組で言っていたのを見たことがあるよ。それに、成人してからも身長が伸びた話しも聞いたし、諦めるのは早いよ」
成人してから身長が伸びた話しは、友人か同僚から聞いたと思うのだが、そこら辺の記憶は曖昧なままだ。
しかし、こういう時に欲しい情報がすんなりと出てくるところ実に都合が良すぎるなと思うものの、内心では感謝しまくりである。
私の話しを聞いていたヒデさんの目が大きく見開かれた。
「……成人してからも身長が伸びたってホント?だったら、もっと運動してもっと食べる!」
それほどまでに身長が低いことを気にしていたのか、両手の拳を握りしめて鼻息を荒げるヒデさん。
前世の記憶によると、ヒデさんの身長は平均的な日本人より若干低いくらいで、まだまだ伸び盛りの彼が気にするほどのことではないと思うのだが、確かに小さいと言われ続けた私にもその気持ちが痛いほど分かる。
私は自分に言い聞かせながら助言をした。
「うん、しっかりと運動して食べないとだよね。でも、ただ食べるだけじゃ駄目だよ。たんぱく質とカルシウムをバランスよく摂らないと」
「……たんぱく質とカルシウムをバランスよく?」
意味が分からないのか、首を傾けてジッと私を見つめている。
まあ、若いからそこまで健康管理に関心はないのだろう。
それに引き換え、前世の私は若くなかったみたいで、健康に関した知識はそこそこ持っているようだ。
「そう。カルシウムは説明しなくても分かると思うけど、骨を丈夫にする効果があるのは知っているよね?」
「うん」
私の問いかけに即答したヒデさんを見て、簡潔に言葉をかみ砕いて説明をした。
「で、たんぱく質は体に重要な栄養素の一つで、筋肉をつくるために欠かせないものなの。それが不足すると肌が荒れたり疲れやすくなっちゃうの。あっ、そうだ!爪を見たら自分の健康状態が分かるよ。ちょっと見せて」
「え?あ……」
いきなり手を掴まれて困惑した表情を浮かべるヒデさんに、私はお構いなくヒデさんの爪をまじまじと眺めた。
ヒデさんの爪の状態は、若いだけあって健康そのものだ。
私もメイスのおかげで、今では髪は艶々、爪はつるんとした表面をしており健康そのものである。
健康状態が悪くなかったことに安堵した私は、満面の笑みを浮かべてヒデさんに告げた。
「健康状態は良好だよ。たんぱく質が足りていないと髪がパサついたり爪が波打ってくるから、時々爪を見て健康状態を確認してね。爪は健康のバロメーターだって言うしね」
「……うん?」
理解が追いついていないヒデさんは首を捻りながらも返事をしたが、その様子から半分も意味を理解していないのは伝わってきた。
私は苦笑を浮かべながら、今後も時々彼の爪をチェックしようと決めた。
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