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第二章
第85話 リマールさんとの別れ
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商人の男性と会話をしながら国境までの旅はあっという間だった。
やはり徒歩と馬車では、進む距離も速度も全く違う。
快適とまではいかないまでも、午前中にサーレーンを出発して夕方に国境に着くのは気持ちに余裕が出てありがたい。
国境に到着して乗り合い馬車を先に降りた商人の男性が笑顔で振り返った。
「ここでお別れですね。ユーリ殿との楽しい会話が出来なくなるのは残念です。また、お会いする日を楽しみにしています」
商人の男性の後に続いて降りた私は、彼の顔を見上げて笑顔で答えた。
「こちらこそ楽しい時間でした。バイスアーデン国に行った際は是非寄らせていただきます。お元気でリマールさん」
商人の男性の名前はリマールさん。
私の後に続いて乗り合い馬車から降りてきたヒデさんが頭を下げる。
「リマールさん。ショコラーダ美味しかったです。それと、色々と為になる話しを聞かせてくれてありがとうございました」
「いえいえ、ヒデ殿の柔軟な考え方はとても参考になりました。まだまだ私も精進せねばなりませんな。では皆様方、私はこれで失礼します。どうかお達者で」
リマールさんは柔らかな微笑みを浮かべてそう告げると、バイスアーデン国行きの乗り合い馬車がある方向へ去って行った。
リマールさんの背中を見送っていたヒデさんがポツリと呟いた。
「僕、メイスさんもブロンも可愛い動物としか思っていなかったから、この世界の人達の反応を見てショックを受けたよ」
ヒデさんの言葉に、私も最初の頃メイスを従魔と言われて驚いたのを思い出した。
動物と魔物の違いがいまいち分からないが、確かにメイスのように人間の言葉を理解して魔法に長けた動物など、現実的に考えても普通の動物だとは思わないだろう。
前世の記憶があるせいで、私にはメイスもブロンも意思疎通が出来るただの可愛い動物にしか見えないのだが。
きっと人間と同じように、魔物にも良い魔物と悪い魔物が居るのだろう。
「でも、リマールさんはメイスにもブロンにも普通に接してくれたね。どうなることかと思ったけど、国境に着くまでブロンが大人しくしてくれて良かった。あと、ショコラーダ美味しかったね」
すると、ショコラーダという言葉に反応したブロンが、尻尾をパタパタと振って会話に加わってきた。
『ショコラーダあまかった~。また食べたい』
そう、私達四人の中でショコラーダに夢中になったのはブロンだ。
甘味というものを初めて口にしたであろうブロンは、あっという間にショコラーダの虜となってしまった。
それからはもう本当に大変だった。
いくら宥めすかしてもショコラーダを食べたいと駄々をこね捲り、しまいにはリマールさんに纏わりついて離れなくなってしまった。
結局、ショコラーダを買うことでブロンを大人しくさせることに成功したのだが、あの時のことは今思い出しても恥ずかしいし、飼い主としてもきちんと躾られなかったことは情けないと反省している。
尻尾を振って私を見上げるブロンを抱き上げて、私はもう一度念を押した。
「ブロン、偶々リマールさんが優しい人だったから大事にはならなかったけど、本来なら大問題になっていてもおかしくはなかったんだからね。それと、ブロンが周りに迷惑をかけちゃうと、私だけでなくここに居る皆にも迷惑をかけるってこと忘れないで。もし、またこのようなことを起こしたら、ショコラーダはしばらくお預けだからね。わかった?」
途端にしゅんと耳と尻尾を垂れて反省の言葉を口にするブロン。
『……わかった。ぼく、いい子にする』
うぅ、可愛い。
可愛いが、ここで甘い顔を見せたら元の木阿弥だ。
私は心を鬼にしてブロンを地面に降ろすと、ヒデさんとメイスに視線を向けた。
「さて、もう日も暮れたし今夜はここで野営しようと思うんだけど、どうかな?」
国境は国と国の堺にあるためか、民家は疎か宿すら無い。
そのため、国境を越える人達は門を閉じられるとここで野宿するしかないのだ。
『すでに門は閉じられたのだから仕方あるまい。今夜はここで野営にしよう』
そう口火を切ったのはメイス。
私達は、メイスの一言ですぐに野営の準備に取り掛かった。
やはり徒歩と馬車では、進む距離も速度も全く違う。
快適とまではいかないまでも、午前中にサーレーンを出発して夕方に国境に着くのは気持ちに余裕が出てありがたい。
国境に到着して乗り合い馬車を先に降りた商人の男性が笑顔で振り返った。
「ここでお別れですね。ユーリ殿との楽しい会話が出来なくなるのは残念です。また、お会いする日を楽しみにしています」
商人の男性の後に続いて降りた私は、彼の顔を見上げて笑顔で答えた。
「こちらこそ楽しい時間でした。バイスアーデン国に行った際は是非寄らせていただきます。お元気でリマールさん」
商人の男性の名前はリマールさん。
私の後に続いて乗り合い馬車から降りてきたヒデさんが頭を下げる。
「リマールさん。ショコラーダ美味しかったです。それと、色々と為になる話しを聞かせてくれてありがとうございました」
「いえいえ、ヒデ殿の柔軟な考え方はとても参考になりました。まだまだ私も精進せねばなりませんな。では皆様方、私はこれで失礼します。どうかお達者で」
リマールさんは柔らかな微笑みを浮かべてそう告げると、バイスアーデン国行きの乗り合い馬車がある方向へ去って行った。
リマールさんの背中を見送っていたヒデさんがポツリと呟いた。
「僕、メイスさんもブロンも可愛い動物としか思っていなかったから、この世界の人達の反応を見てショックを受けたよ」
ヒデさんの言葉に、私も最初の頃メイスを従魔と言われて驚いたのを思い出した。
動物と魔物の違いがいまいち分からないが、確かにメイスのように人間の言葉を理解して魔法に長けた動物など、現実的に考えても普通の動物だとは思わないだろう。
前世の記憶があるせいで、私にはメイスもブロンも意思疎通が出来るただの可愛い動物にしか見えないのだが。
きっと人間と同じように、魔物にも良い魔物と悪い魔物が居るのだろう。
「でも、リマールさんはメイスにもブロンにも普通に接してくれたね。どうなることかと思ったけど、国境に着くまでブロンが大人しくしてくれて良かった。あと、ショコラーダ美味しかったね」
すると、ショコラーダという言葉に反応したブロンが、尻尾をパタパタと振って会話に加わってきた。
『ショコラーダあまかった~。また食べたい』
そう、私達四人の中でショコラーダに夢中になったのはブロンだ。
甘味というものを初めて口にしたであろうブロンは、あっという間にショコラーダの虜となってしまった。
それからはもう本当に大変だった。
いくら宥めすかしてもショコラーダを食べたいと駄々をこね捲り、しまいにはリマールさんに纏わりついて離れなくなってしまった。
結局、ショコラーダを買うことでブロンを大人しくさせることに成功したのだが、あの時のことは今思い出しても恥ずかしいし、飼い主としてもきちんと躾られなかったことは情けないと反省している。
尻尾を振って私を見上げるブロンを抱き上げて、私はもう一度念を押した。
「ブロン、偶々リマールさんが優しい人だったから大事にはならなかったけど、本来なら大問題になっていてもおかしくはなかったんだからね。それと、ブロンが周りに迷惑をかけちゃうと、私だけでなくここに居る皆にも迷惑をかけるってこと忘れないで。もし、またこのようなことを起こしたら、ショコラーダはしばらくお預けだからね。わかった?」
途端にしゅんと耳と尻尾を垂れて反省の言葉を口にするブロン。
『……わかった。ぼく、いい子にする』
うぅ、可愛い。
可愛いが、ここで甘い顔を見せたら元の木阿弥だ。
私は心を鬼にしてブロンを地面に降ろすと、ヒデさんとメイスに視線を向けた。
「さて、もう日も暮れたし今夜はここで野営しようと思うんだけど、どうかな?」
国境は国と国の堺にあるためか、民家は疎か宿すら無い。
そのため、国境を越える人達は門を閉じられるとここで野宿するしかないのだ。
『すでに門は閉じられたのだから仕方あるまい。今夜はここで野営にしよう』
そう口火を切ったのはメイス。
私達は、メイスの一言ですぐに野営の準備に取り掛かった。
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