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考えれば考えるほどわかんない。
私はまるで太陽のように明るくて前向きな真夏くんが大好きで。
そして私の隣に座っている鳴海くんは季節で例えるなら冬。
けれど…まるで冬の陽だまりのように暖かいイメージがするんだよね。
って、すごく鳴海くんに対して私って高評価じゃない?
どういう事なの?
大好きな真夏くんとは正反対のような鳴海くん。
でも、鳴海くんの事がなんだか気になって仕方がない。
(私、なんだかおかしい)
頬が妙に熱を持っている気がした。
(やっぱり風邪でも引いたのかな?今日は早く寝よう…)
そう思いながら先生の話に集中する事にした。
*
そういえば、鳴海くんって休憩時間はどこに行っているのだろうか?ふとそんな疑問が頭の中をよぎったのは鳴海くんが転校してきてから1日ほど経った頃だった。
最初はトイレかな?とか思っていたのだけれど、毎時間休憩時間になるといなくなってしまうのだ。従って先ほどまで転校生特有の質問攻めに遭っていたというのに、今、私の隣の席は無人だ。
(そろそろ休憩時間終わるけれどな……)
ぼーっとそんな事を考えて隣の席を凝視していると、頭の上から声が降ってきた。
「瀬野川さん。僕の席、そんなに見てどうしたの?用事でもあった?」
「え?」
頭を上げるとそこには鳴海くんの姿があった。考え事に集中していたとはいえ、こんな至近距離に本人が来るまで気が付かないというのもどうなんだ?と我ながら思う。
と、そんな気持ちを立て直しつつ咳払いをした。
「あ、そろそろ休憩が終わるのに、鳴海くんどこにいるのかな?って」
「ふーん。心配してくれたってわけ?」
「し、心配だよ!だって、転校生だからトイレとかに行って帰りに迷ってるのかな?とか……」
「……。ありがとう」
「ん、ど、どういたしまして」
「なんで辿々しい喋り方なの?」
「そんな事ないよ」
鳴海くんがわたしをじっと見つめて喋るからなんだか緊張してしまう。少しだけ表情が固くなっているであろう私を彼が見てふっと笑う。
そのときだ。ふっと記憶の扉が開いた気がした。
(この感覚、なんだか知ってる気がする……)
すごく懐かしい気がする。なぜか鳴海くんと同じようなやりとりを昔したことがある……そう思った。
(へ、変なの。私と鳴海くん、まだ出会って2日目だよ)
頭の中に浮かんだ疑問は次の瞬間にふっと消えてしまっていた。
*
次の休み時間も鳴海くんはふらりとどこかへと行ってしまった。
流石にトイレではなさそう。それなら保健室かな?なんて勝手に想像してみたり。けれどもさすがに毎時間休憩時間が始まったら教室を出て行き、帰ってくるというのが不思議に思った。
(どこに行っているのか気になる!)
そう思った私は、鳴海くんを尾行することにした。何で彼に対してこんなに積極的なんだろうと自分でも思う。しかも少しだけストーカー……。
けれどなんだろう。彼に対して凄く大切な事を忘れている気がするんだ。思い出さなければいけない。心の中がそんな声でいっぱいになる。
(あ、鳴海くんが教室を出ていった!今だ!)
私は彼の後を付いて行く事にした。
鳴海くんはまるでこの学校の事を全て知り尽くしているかのようにまっすぐと特別教室の棟へと歩いて行く。あっちの棟は教室が理科室とか家庭科室とか図書室とかが集まっているので、生徒があまりいなくてがらんとしているはず。
でも、鳴海くんは特別教室の方へと歩いて行き……。家庭科室の前で消えた。
(え?消えた。っていうか入ったの?教室に)
鍵が閉まっているのだけれど、とおもっていると、なぜか家庭科室の鍵は空いていた。
「あの、鳴海くん?」
小さな声でそう言いながら家庭科室の中へと入る。家庭科室はミシンの油の匂いがすこしだけする。
ぐるりと教室を見回すと、窓際のカーテンの下に彼が座り込んでいた。もしかして気分でも悪いのかな?なんておもって急いで近づくと、
「寝てる……」
そう、鳴海くんは寝ていたのだ。
すこしズレた眼鏡から長いまつげを持った目が見える。その瞳はいまはしまっていた。
「綺麗、やっぱり鳴海くん、綺麗な顔している」
そう考えて鳴海くんの横に座る。そして頬にそっと触れそうになる。窓の外から風が優しく拭いて、葉桜になった桜の葉っぱが教室内に入ってくる。そしてゆらめく白色のカーテン。
私の指が鳴海くんに触れそうになった時に、彼は眼鏡を外して私を見てわらった。
「寝込み、襲うつもり?」
「え?そ、そんな事!」
確かにそう思われてもおかしくなかったかもしれない。私は鳴海くんのまつげを触ろうとしていたのだから。
私はまるで太陽のように明るくて前向きな真夏くんが大好きで。
そして私の隣に座っている鳴海くんは季節で例えるなら冬。
けれど…まるで冬の陽だまりのように暖かいイメージがするんだよね。
って、すごく鳴海くんに対して私って高評価じゃない?
どういう事なの?
大好きな真夏くんとは正反対のような鳴海くん。
でも、鳴海くんの事がなんだか気になって仕方がない。
(私、なんだかおかしい)
頬が妙に熱を持っている気がした。
(やっぱり風邪でも引いたのかな?今日は早く寝よう…)
そう思いながら先生の話に集中する事にした。
*
そういえば、鳴海くんって休憩時間はどこに行っているのだろうか?ふとそんな疑問が頭の中をよぎったのは鳴海くんが転校してきてから1日ほど経った頃だった。
最初はトイレかな?とか思っていたのだけれど、毎時間休憩時間になるといなくなってしまうのだ。従って先ほどまで転校生特有の質問攻めに遭っていたというのに、今、私の隣の席は無人だ。
(そろそろ休憩時間終わるけれどな……)
ぼーっとそんな事を考えて隣の席を凝視していると、頭の上から声が降ってきた。
「瀬野川さん。僕の席、そんなに見てどうしたの?用事でもあった?」
「え?」
頭を上げるとそこには鳴海くんの姿があった。考え事に集中していたとはいえ、こんな至近距離に本人が来るまで気が付かないというのもどうなんだ?と我ながら思う。
と、そんな気持ちを立て直しつつ咳払いをした。
「あ、そろそろ休憩が終わるのに、鳴海くんどこにいるのかな?って」
「ふーん。心配してくれたってわけ?」
「し、心配だよ!だって、転校生だからトイレとかに行って帰りに迷ってるのかな?とか……」
「……。ありがとう」
「ん、ど、どういたしまして」
「なんで辿々しい喋り方なの?」
「そんな事ないよ」
鳴海くんがわたしをじっと見つめて喋るからなんだか緊張してしまう。少しだけ表情が固くなっているであろう私を彼が見てふっと笑う。
そのときだ。ふっと記憶の扉が開いた気がした。
(この感覚、なんだか知ってる気がする……)
すごく懐かしい気がする。なぜか鳴海くんと同じようなやりとりを昔したことがある……そう思った。
(へ、変なの。私と鳴海くん、まだ出会って2日目だよ)
頭の中に浮かんだ疑問は次の瞬間にふっと消えてしまっていた。
*
次の休み時間も鳴海くんはふらりとどこかへと行ってしまった。
流石にトイレではなさそう。それなら保健室かな?なんて勝手に想像してみたり。けれどもさすがに毎時間休憩時間が始まったら教室を出て行き、帰ってくるというのが不思議に思った。
(どこに行っているのか気になる!)
そう思った私は、鳴海くんを尾行することにした。何で彼に対してこんなに積極的なんだろうと自分でも思う。しかも少しだけストーカー……。
けれどなんだろう。彼に対して凄く大切な事を忘れている気がするんだ。思い出さなければいけない。心の中がそんな声でいっぱいになる。
(あ、鳴海くんが教室を出ていった!今だ!)
私は彼の後を付いて行く事にした。
鳴海くんはまるでこの学校の事を全て知り尽くしているかのようにまっすぐと特別教室の棟へと歩いて行く。あっちの棟は教室が理科室とか家庭科室とか図書室とかが集まっているので、生徒があまりいなくてがらんとしているはず。
でも、鳴海くんは特別教室の方へと歩いて行き……。家庭科室の前で消えた。
(え?消えた。っていうか入ったの?教室に)
鍵が閉まっているのだけれど、とおもっていると、なぜか家庭科室の鍵は空いていた。
「あの、鳴海くん?」
小さな声でそう言いながら家庭科室の中へと入る。家庭科室はミシンの油の匂いがすこしだけする。
ぐるりと教室を見回すと、窓際のカーテンの下に彼が座り込んでいた。もしかして気分でも悪いのかな?なんておもって急いで近づくと、
「寝てる……」
そう、鳴海くんは寝ていたのだ。
すこしズレた眼鏡から長いまつげを持った目が見える。その瞳はいまはしまっていた。
「綺麗、やっぱり鳴海くん、綺麗な顔している」
そう考えて鳴海くんの横に座る。そして頬にそっと触れそうになる。窓の外から風が優しく拭いて、葉桜になった桜の葉っぱが教室内に入ってくる。そしてゆらめく白色のカーテン。
私の指が鳴海くんに触れそうになった時に、彼は眼鏡を外して私を見てわらった。
「寝込み、襲うつもり?」
「え?そ、そんな事!」
確かにそう思われてもおかしくなかったかもしれない。私は鳴海くんのまつげを触ろうとしていたのだから。
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