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17.初めてのお外デート
しおりを挟む「……うわ、なにあれ、映画の撮影?」
「やば……黒髪も茶髪も顔面レベル高っ」
「二人並んでるだけで拝めるレベル」
すれ違うたび、通行人の視線が突き刺さる。
蓮はというと──
「悠真……視線がやばい、恥ずかしい……っ」
「見られて当然だろ、今日のお前、仕上がり完璧」
「仕上がりって何!服も髪も全部選んだの悠真だし……!」
「つまり俺のセンスが良すぎるってことだな」
悠真はニッと笑い、堂々と蓮の手を握る。
⸻
しばらく歩くと、昭和レトロな喫茶店を見つけた。
蓮「わ、なんかジブリ感……いい雰囲気」
悠真「だろ? 入ってみようぜ」
店内は静かで、木のテーブルに白いレースのテーブルクロス。
メニューには「昔ながらのナポリタン」「ホットケーキセット」なんて心くすぐる言葉が並ぶ。
蓮「ホットケーキ……美味しそう」
悠真「俺、ナポリタンにする。お前の一口もらお」
蓮「ずるっ」
注文を終えて、蓮はカトラリーを眺めながらつぶやいた。
「こういうの、なんか不思議。ちゃんと“食べる”って、いつぶりだろ……」
「俺と一緒に、いっぱい思い出作ろ」
運ばれてきたホットケーキは、厚みがあってバターがじゅわっと溶けている。
悠真「一口ちょうだい」
蓮「え、……あーん、する?」
「おう、ぜひ」
蓮は照れながらもフォークでひとくち分すくい、悠真の口に差し出す。
「……ん、うま。お前の顔もごちそうだけどな」
「は!? 何言ってんのこの人は!!」
「はいはい、うるさい、口にホイップついてる」
「んぐっ!? や、やめ、ぬぐなよ、そこ舐めんな!」
⸻
食後は、近くの神社へ。
蓮「空気が澄んでる……不思議と、落ち着くな」
悠真「霊感持ちあるある。こういうとこで本能的に浄化されんだよ」
「悠真ってマジでオカルト極めてるよね……」
手水を終えて、おみくじを引くと──
蓮「……中吉。恋愛運、“距離を縮めれば良縁となる”だって」
悠真「俺のは“大吉”。“望みは叶う”ってよ」
蓮「……じゃあ、俺と外を歩けるようになったの、まさにそれ?」
悠真「それだけじゃない。“蓮を絶対に幸せにする”って願いもな」
「……ばか、急に真面目なこと言わないで……」
夕暮れが差し込む境内で、
蓮は悠真の手をぎゅっと強く握った。
⸻
帰り道、ソフトクリームを分け合いながら歩くふたり。
途中、猫に絡まれてわたわたした蓮の姿も、
通りがかりの女子高生に「今の見た!? かわいすぎ!」と声が上がったのも、
今日という特別な“日常”の一部になった。
蓮「……俺、今日はちゃんと“生きてる”って感じがした」
悠真「だろ? それ、俺が見せたかったやつ」
蓮「次は……水族館行きたい」
悠真「了解。じゃあ次は俺がデートプラン考える番な」
「……手、離さないでね」
「……離すかよ、バカ」
「──ただいま」
家の玄関に足を踏み入れた瞬間、蓮がほっとしたように小さくつぶやいた。
「おかえり。……って言っても、ずっと一緒だったけどな」
「でも、やっぱり“家”って感じ、する。外は楽しかったけど、緊張してたんだと思う」
蓮はスニーカーを脱ぎながら、ソファに倒れ込むように座った。
「はあ……いろんな人に見られた気がする……」
「まぁ、超絶イケメンだし? 目立つのは宿命だよな」
「やめて……! 褒められるの慣れてないんだから……!」
「かわいいって言ってるんだろ? ちゃんと受け取れよ」
悠真は冷蔵庫から冷たいお茶を持ってきて、
蓮の隣に腰を下ろすと、自然に肩が触れた。
蓮はぴくりと反応しつつも、逃げずにそのままくっついてくる。
「……今日はありがとね」
「ん?」
「“俺にもこんな日があるんだ”って、思えた。……嬉しかった」
悠真は蓮の頭をぽん、と撫でた。
「じゃあ、もっと増やしてこう。あったかい日、幸せな時間、全部」
「……うん」
照れたように笑った蓮が、ぽつりと言う。
「……次のデート、なに着ていこうかな」
「お、もう次のこと考えてる。気が早いな?」
「だって……また、“おでかけ”したいって思っちゃったから」
「──じゃあ、そのためにも明日も一緒に頑張ろうぜ、相棒」
「……うん、相棒」
ふたりはそのまま並んで、ゆっくりと時間を過ごす。
外の喧騒も、日常の不安も、
この時間だけは全部忘れて、あたたかいぬくもりだけが残っていた。
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