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出会い
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森川 りん(もりかわ りん)
高校2年のある雨の日僕は慌てて電車に駆け込んだ。
突然の雨だった。
「今日雨の予報だったー?」
周りの学生たちも予想外の雨に驚いているようだ。
確かに今日は晴れだったはずだ、とか思いながらも自分自身は天気予報を見たわけではない。全て親情報。
傘を持たずに家を出た。幸い電車の席はまだ空いていた。僕は端の方の席を確保してイヤホンをつけた。学校の最寄り駅までは20分ほどで着く。電車が動き出す。この心地よい揺れが僕は好きだった。けど同時に1日が始まるのが憂鬱でもあった。友達に会える嬉しさと勉強をしなければいけない憂鬱が自分の中で戦っている。
そんな時僕の隣の席に誰かが座った。いつもなら特に気にせず携帯を見ているのだが、今日はなんとなくその人の方向を見た。どこかで見たことがある顔だった。その整った顔立ちにすらっとした背の高い青年。学校中の女子に人気の海原大河(うなばら たいが)だった。
近くで見たのは初めてだった。当然話したこともない。全校集会で見たことがある程度。それでも噂に聞く学校の有名人だった。何度もスカウトされていると聞いたことがある。
「どうかした?」
しまった。あまりにジロジロ見過ぎて声をかけられた。
「いや、同じ高校だよね」
彼は驚いた顔をして、
「そうだね、話すのは初めてだけど噂には聞いてるよ」
「噂、とは?」
彼は僕のことをじーっと見てから言った。
「まぁ、いいや、俺はうなばらたいが。よろしく。」
「よろしく」
名乗られなくてももちろん名前は知っているけど、名前どころかバスケ部で勉強もできて、イケメンでなんでもできる完璧な人間であることも知っているけど。
そうこうしているうちに学校の近くの駅に着いた。
降りようか。なんとなく途中まで彼と電車から降りたが、すぐに後ろから彼の友達が声をかけてきた。
「おはよう、たいが、昨日の宿題終わってるー?」
「お前、またやってないのかよ。」
「いやいや、やろうとは思ったんだけどさ、わっかんなくて。」
はぁー、と大河くんはやれやれといった顔をしていた。
僕はその様子を見ながら少しづつ距離をとってその場から離れた。
「おはよう」
クラスには既に3分の2以上の生徒が登校していた。
「おはよう、りん」
僕の斜め前の席に座っている葉山鷹広(はやまたかひろ)、高校になって初めてできた友達で運良くまた同じクラスになった。
「おはようたかひー」
「りんさー、宿題、やってきた?」
彼はとても賢そうには見えないが、数学だけはできる。なぜだろうか。とても明るい性格で誰とでも仲良くなれる。
「一応ね。」
「見せてくんね。」
「たまには自分でやれよ、笑」
僕はノートを差し出した。
俺は勉強はできるとも言えないし全くできないわけでもないという中途半端な感じだった。
「あざーす」
「おはよう、りん、たかひー。」
ツカツカと歩いてきたのは僕の幼馴染の花宮蘭(はなみやらん)、バスケ部で運動勉強共に完璧にこなす。
密かにBLを愛している。
「今日もいつも通りだね。あんたら。」
そりゃそう。僕は平凡な毎日が一番好きだ。何も変わらないこと。
そんなこんなで1日が始まった。
これは、そんないかにもな高校生達の日常の話。
たぶん。
高校2年のある雨の日僕は慌てて電車に駆け込んだ。
突然の雨だった。
「今日雨の予報だったー?」
周りの学生たちも予想外の雨に驚いているようだ。
確かに今日は晴れだったはずだ、とか思いながらも自分自身は天気予報を見たわけではない。全て親情報。
傘を持たずに家を出た。幸い電車の席はまだ空いていた。僕は端の方の席を確保してイヤホンをつけた。学校の最寄り駅までは20分ほどで着く。電車が動き出す。この心地よい揺れが僕は好きだった。けど同時に1日が始まるのが憂鬱でもあった。友達に会える嬉しさと勉強をしなければいけない憂鬱が自分の中で戦っている。
そんな時僕の隣の席に誰かが座った。いつもなら特に気にせず携帯を見ているのだが、今日はなんとなくその人の方向を見た。どこかで見たことがある顔だった。その整った顔立ちにすらっとした背の高い青年。学校中の女子に人気の海原大河(うなばら たいが)だった。
近くで見たのは初めてだった。当然話したこともない。全校集会で見たことがある程度。それでも噂に聞く学校の有名人だった。何度もスカウトされていると聞いたことがある。
「どうかした?」
しまった。あまりにジロジロ見過ぎて声をかけられた。
「いや、同じ高校だよね」
彼は驚いた顔をして、
「そうだね、話すのは初めてだけど噂には聞いてるよ」
「噂、とは?」
彼は僕のことをじーっと見てから言った。
「まぁ、いいや、俺はうなばらたいが。よろしく。」
「よろしく」
名乗られなくてももちろん名前は知っているけど、名前どころかバスケ部で勉強もできて、イケメンでなんでもできる完璧な人間であることも知っているけど。
そうこうしているうちに学校の近くの駅に着いた。
降りようか。なんとなく途中まで彼と電車から降りたが、すぐに後ろから彼の友達が声をかけてきた。
「おはよう、たいが、昨日の宿題終わってるー?」
「お前、またやってないのかよ。」
「いやいや、やろうとは思ったんだけどさ、わっかんなくて。」
はぁー、と大河くんはやれやれといった顔をしていた。
僕はその様子を見ながら少しづつ距離をとってその場から離れた。
「おはよう」
クラスには既に3分の2以上の生徒が登校していた。
「おはよう、りん」
僕の斜め前の席に座っている葉山鷹広(はやまたかひろ)、高校になって初めてできた友達で運良くまた同じクラスになった。
「おはようたかひー」
「りんさー、宿題、やってきた?」
彼はとても賢そうには見えないが、数学だけはできる。なぜだろうか。とても明るい性格で誰とでも仲良くなれる。
「一応ね。」
「見せてくんね。」
「たまには自分でやれよ、笑」
僕はノートを差し出した。
俺は勉強はできるとも言えないし全くできないわけでもないという中途半端な感じだった。
「あざーす」
「おはよう、りん、たかひー。」
ツカツカと歩いてきたのは僕の幼馴染の花宮蘭(はなみやらん)、バスケ部で運動勉強共に完璧にこなす。
密かにBLを愛している。
「今日もいつも通りだね。あんたら。」
そりゃそう。僕は平凡な毎日が一番好きだ。何も変わらないこと。
そんなこんなで1日が始まった。
これは、そんないかにもな高校生達の日常の話。
たぶん。
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