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公園

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かなりの距離歩いたのかもしれない。でもその時間はとても短く感じた。
たわいもない話をしていた。彼のことを少しは、知ることができたのかもしれない。

僕と海原くんは小さな公園にたどり着いた。
その時にはもう薄暗くて公園には誰もいなかった。

俺と海原くんは中央にあった大きな木に、背中を預けて、息を整えた。すると突然。

「ねえ森川くん、俺らって友達だよな。下の名前で呼んでもいい?」

「別に構わないよ。」

「りん、俺のことも大河って呼んで。」

「分かった。たいが。、、あのさ、」

その時の僕は強引にここに連れてこられたことに動揺しきっていたと同時に少し怒っていた。まだ時間あったのに。

その時大河は、僕を後ろの木に押し付けるように押して、顔を近づけた。

「ねぇ、りん、お前、男とやったことある?」

「は、やるって、、」

「そのままの意味。俺さ、興味あるだよね。」

その声はとても色っぽく、俺は自分の鼓動が速くなるのに気づいた。

「無いに決まってるだろ。からかうんじゃ。」

最後まで言わせてもらえなかった。
俺は口を抑えられて手も上に拘束された。
運動部で自分より力の強い彼に俺は抵抗することができなかった。
今考えると、本気で抵抗すれば逃げられたのかもしれない。だけど無理だった。少なくともその時の俺には。

「やめて、」

「いいじゃん、その顔。」

彼の顔が、彼の吐息が、俺は咄嗟に目を瞑った。
その時。

ぽとっ、俺の額に何かが降ってきた。

「む、虫ー。」






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