破壊少女

かれは

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そこはバーのような場所だった。

そこには一人の女性がいた。

30代くらいだと思われる。

髪は長く、黒いジャケットを羽織っている。

その女性は少女に手を振った。

「おかえり。」

少女に近付き、頭を撫でた。

少女はされるがままだった。

「私はここの管理人さんだ。そして今日からここが君の家だ。もう食べるものの心配はしなくていい。寝る場所にも。」

女性はカウンター席の椅子を引いた。

「ここにお座り。腹が減っているだろう。なんでもある。食べたいものはあるかい。」

少女は首を傾げた。

「ふふっ、可愛いやつだ。」

そう言うと女性はカウンターの奥のキッチンに入っていった。

「どうだ?いいおねえさんだろぅ。」

後ろから青年が来て、少女に話しかける。

「うん。」

少女は頷いた。

「そうだ、自己紹介してなかったな。俺はエイリ。エイって呼んでくれればいい。お兄ちゃんでもいいぞ。」

少女は頷いた。

「私は、」

少女のその声はとてもか細く今にも消えてしまいそうな声で、先程までとは別人のようだった。

「私は、名前が無いの。」

「そうか、なら、いい名前を考えよう。」

「私はね、猫がいい。」



「猫が好きなのか?」

「少女は頷いた。」

「人は嫌い。だから猫の名前がいい。」

「猫の名前ねー。」

「じゃあ、お前はミケだ。」

キッチンの奥からそう言いながら管理人さんがでてきた。

「管理人さんの名前は?」

ミケは聞いた。

「私の名前は管理人だよ。」

「かんりにん?じゃなくて名前。あなたも名前がないの?」

「いや、ある。かんりにん、それが名前さ。」

ミケは首を傾げた。

「ミケ、まあいいじゃないか。管理人さんと呼んであげればいい。」

エイリが言うとミケは少し不満そうに頷いた。

「さあ、まずは腹ごしらえして今日はゆっくり休むといい。明日からは忙しいぞ。」

3人は食事をして、シャワーを浴びて就寝した。
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