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しおりを挟む「ありがとうは?」
ルカがいう。
「は?」
「ご飯、作ったんだけど?」
「あ、ありがとう。」
なんだか釈然としない。こいつを泊めてやってるのは俺だけど、こいつは俺のために朝食を作ってくれていた。それは当たり前ではないのかもしれない。俺が起きる前に起きて起きた時にちょうどできるように計算していた。おれは感謝すべきなのだろうか。そしてこいつは一体何者なのだろうか。
「学校行ってくるから家にいるならおとなしくしてろよ。」
俺は玄関で靴を履きながらルカに声をかける。
「えっ?僕も行くけど?」
「いや、学校だって言ってんでしょうが。」
「うん。学校に、行くの。」
「はっ?お前、学生だったの?」
「学生、じゃないよ。だけどさー、お前を一人にしとくわけにはいかないんだよね。」
「どういうことだよ。」
「僕と関わっちゃった時点でちょっーっと危ない目に合っちゃうかもしれないからさ。俺が護ってやるのさ。大丈夫。学校の奴らからすれば俺はもともと学校にいたことになってるからさ。お前はいつもどおりの学校生活を送ってくれればいいわけよ。」
ということで一緒に学校に行くことになった。
学校へは電車で20分ほどかかる。
駅まではいつも自転車で行くがルカがいるので歩き。
大した距離じゃないから問題ない。
「ほー。ほー。」
辺りを見渡しながらまるで初めて見る景色のように反応しているルカ。
「お前さ、今までどこにいたんだ?」
「ねぇ、そのお前ってやつやめよ。ルカって呼んでよ。」
「あー、はい。るか。」
ルカはうんうんと頷く。そして下を指差した。
?
「地下?」
「そう。ずっと下からきたわけよ。」
「いや、そんなん信じられるか。」
「信じられないか。まぁ、君まだ僕が悪魔だってこと疑っているみたいだし、仕方ないよねー。いずれ分かるからいいんだけど。」
「えっ、ごめん最後の方聞こえんかったんだが。」
「いや、気にしなくていいよ。そんなことより、時間は大丈夫なのかな。」
時計を見る。
「ヤッベ、遅れる。急ぐぞ。」
走った。
間に合った。
「はぁ、はぁ。」
「これぐらいで疲れてんのか、じん。そんなんじゃいけないな。ちゃんと運動しないと。」
「言われなくてもわかってる。」
電車内はとても混んでいて、ルカと隣に立った。
その狭い空間でルカと向かい合って、ジーッと見る。
「なんだよ。」
ルカが、睨みつける。
「いや、なんでも。」
「ルカ、お前、以外と制服似合うな。」
「なっ、僕をおっさん扱いしてるってことか?」
「いや、そういうわけじゃ。」
「覚えとけよ。」
ぷいっ、とあっちを向いてしまった。
そのまま何事も無く目的地に着けばよかったのだが。
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