悪魔な君に恋した

かれは

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8.屋上

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その日に限って屋上には俺たち以外誰もいなかった。

「ここ、じんの定位置?」

「そうだけど。いつもここで食ってるけど。」

「ぼっち?」

「それはお前のせいでな。」

記憶の上書き。なんとなくそんな気はしていたが厄介すぎる。午前中でクラスの奴らと接する中で分かった。あいつらとの今までの記憶はそのままで、だけど途中からルカが記憶の中に含まれてしまっている。
こいつ、自分でやっといて適当なこと言いやがる。

「気づいてると思うけど僕とじんが仲がいいっていう記憶を追加しただけだから。友達達とも仲良しでい続けられるよ。」

「仲良くの方向性間違ってないか?」

「間違ってないよ。」

「あっそう、まあ、別にいいんだけどね。」


昼食


「ルカ、お前なんで料理できるんだよ。」

「そりゃ勉強したからね。頑張って作ったんだけど、美味しいってことでいいかな?」

「うん。まぁ。」

「よかった。」

ルカはほっとしたように言った。

ルカは早起きして2人分の弁当を用意してくれた。こいつは意外といいやつなのかもしれない。

「あのさ。」

俺が感謝の言葉を伝えようとしたその時。

突然強い風が吹いた。

急に空が曇り何か不穏なものを感じた。


「なーんちゃって。」

どこからか声が聞こえた。

それは知っている声ではなく。

屋上の入り口の上に誰かがいるのが分かった。

「?」

「久しぶりだねー。ルカ。それが君の獲物かい?」

そう言いながら降りてきたのはこれまたこの学校の制服を着た青年。

背は高く、肌は白い金髪の青年。

美青年だった。

「へーっ」

俺の前に歩いてくると、顔を覗き込んでくる。

「なんでお前がいんだよ。」

ルカが不機嫌そうにいう。知り合いなのだろうか。

「いや、ルカがなんか楽しそうにしてるからさ。僕も混ぜてもらおうと思って。」

「あっ、そうそう、僕はレン。よろしく。じんくん。」

俺は訳もわからず頭を下げた。

「こいつに挨拶なんてする必要ないぞ、じん。こいつめっっちゃ嫌なやつだからな。」

相当嫌いらしい。表情が物語っている。

「この人も、悪魔なのか?」

「そう、こいつも悪魔。こいつちがうところに行くはずだったのになぜかここにいる。ぶっ飛ばす。」

ルカが壊れてきた。

俺はまあまあと、ルカを宥める。

とりあえず話を聞くとしよう。
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