星屑のビキニアーマー

ぺんらば

文字の大きさ
50 / 64
第2章 星屑のビキニアーマー

調査依頼

しおりを挟む
「さて少年。鳥籠に囚われたキミは今、この私が怖いかね?」

 一人になったタケルに、ガーランドは不気味に微笑む。

「怖くないですよ。僕みたいな奴にまで保険をかけるような臆病者に、恐れる理由なんて無いですから」

 随分と刺々しい言い方だが、これがタケルの本心だ。この部屋で嘘をつけば命を失うことになる。ガーランドは自分がここまで臆病に見られていることに、思わず声に出して笑ってしまった。

「ふふふ。すまない。確かにその通りだな」

「笑えば良いですよ。あなたはそうやって僕を下に見て楽しいのでしょうけど、僕はあなたを上だなんて思っていません。それと、魔法をかけられている方が、むしろ都合が良いんです。話すこと全てを信じてもらえるんですから」

「うむ。すまなかった。では、さっそく話を聞かせてもらおう」

 タケルは自分が知り得る全ての情報をガーランドに話した。もちろん、クロナが死ぬことも全てだ。ガーランドはしばらく考え込んでいたが、深くため息をつき、そして杖を高く振りかざした。

「魔法解除!」

 部屋の中が真っ白に輝く。ガーランドはこの部屋にかけている全ての魔法を解いたのだ。張り詰めていた緊張の糸が緩むのをタケルは感じた。

「先にも伝えた通り、私の時空魔法はまだ完成していない。そして、未来の私がキミに放つ時空魔法も未完成なのだろう。故に、キミだけが今、この時代にきている」

 それはおかしいのではとタケルは思った。この世界に飛ばされてきたのはタケルだけではない。勇敢な柔道部の部長と、生徒会書記の少女も一緒に来ているはずなのだ。

「剛田くんたちは来ていないんですか?」

「キミが話しているその二人は時空の扉を使ったのだろう。ならば、降りる時代を間違えることはない」

 未完成な時空魔法と違い、賢者の腕輪から発生させられる扉の先は一本道だ。剛田たちは、崩壊したラグラークの時代に飛ばされたことになる。

「私が時空魔法を使えるようになるには最低でも二年はかかる。つまり、キミの友人たちをこの世界に連れてくるのは、それより先になるはずだ。二年の猶予があれば未来を変えることも不可能ではない。どうだね? 私に協力して、世界を救ってはくれないか?」

 タケルに断わる理由は無い。死ぬ運命にある友人を救えるのなら、どんな危険なことにでも挑戦し、やり遂げる覚悟だった。

「で、僕は何をすれば良いんです?」

「まずはレナスに向かい、地下階の調査をしてもらう」

「地下階の……調査ですか?」

 ラグラークの隣国、レナスには、他国の者には決して踏み入ることの許さない地下への階段がある。階段は各世帯ごとにあるのだが、ガーランドはその地下にあるの調査をタケルに依頼した。

「私はレナスで魔法を教えていたことがある。しかし、生まれは遥か北の地。つまり、レナスの民ではない。故に、地下にある像について詳細を知ることはできなかった。しかし、あの像には何かある。魔物の出現と、何か関係してるのではないかと私は思うのだ」

「だけど、レナスの人たちがすんなり地下に通してくれるとは思えませんが」

「許可などいらぬさ。街から少し離れた森に、クロナの家があるのは知っておろう。そこならば誰にも邪魔されず調査ができるはず」

 不法侵入をしろと、ガーランド言っている。

「そんな……。それってクロナさんを裏切る行為じゃないか」

 タケルはその指示に従う気など無かったが、今はただ頷くだけにした。クロナなら、話せば協力してくれるはず。それに、地下のことについても、知っていれば話してくれると思ったからだ。

「タケルよ。明日にでも出発してもらうことはできるか?」

「はい。でも、クロナさんはここに残るんですよね……。僕一人でレナスまで行ける自信は無いなぁ。同行者をつけてもらうことはできませんか?」

「もちろんそのつもりだ。護衛には、我が娘をつけよう。剣の腕ならばラグラークの騎士団長と互角かそれ以上。さらに、回復と補助魔法も使える……。命をかけてキミを守ってくれることだろう」

「……それは、心強いです」

 魔法の解かれた部屋の中では、二人の会話にどこまで真実があるのかを知る術は無い。

「長い旅になるだろう。旅中は素性を隠すため、旅商人を演じてもらう。鎧売りの商人だ。クロナに授けたビキニアーマーとやらを、レナスに到着するまでに二百用意してもらいたい」

「ビキニアーマーを、二百着もですか?」

「数日おきに我が兵を向かわせる。その者に完成させたビキニアーマーを渡すのだ。材料と報酬は出す。キミにとって悪い話ではないと思うが」

 ガーランドはタケルにビキニアーマーを発注した。が、それは女性用ではなく、男性用のものだった。ガーランドは王直下の騎士たちに、ビキニアーマーを着せると言っているのだ。

 部屋を出たタケルは、ガーランドの目が本気だったことを思い出し、僅かながら恐怖していた。この世界では、あの鎧に恥じらう気持ちなど、一切持ち合わせていないのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...