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第一章 隠遁生活
第三十四話 改装からの暴走天使
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試飲会は無事に終了させた。俺が造ったお酒と神器で軽く傷がついた鍋ということで、《ストアハウス》という金庫にしまうことができた。
当然ブーイングが起こったが、オール無視で聞き流していたらブーイングも収まり諦めたようだ。
「じゃあ午後の予定の拠点リフォームをしようかな」
「洞窟に何かするのー?」
「お風呂やキッチンとかを造ろうかなって」
まだよく分かっていないラビくんたちは、コップに残されたドロン酒をちびちびと飲みながら、作業の様子を観察することにしたみたいだ。
まずはラビくんの様子が気になりすぎて忘れていた柵への出入り口をつけることから始める。
洞窟の入口前の直線を除き、グルッと洞窟を囲んでいる柵だが、洞窟入口の左右にそれぞれ出入り口をつければ、基本的に堀から上がってきたものしか柵内には入れない。
そして柵内に入れば簡易的な檻にもなる。仕留めるまでの一時的な足止めとしては十分だろう。
次に洞窟内を《掘削》で削っていき、居住空間を確保しつつ作業場や倉庫を完備していく。何よりも欲しいのは解体作業場と倉庫だ。何でも《ストアハウス》に入れておくと何が入っているか分からないし、生産スキルを向上させるために作ったものを販売もしたい。
問題は、販売後に得た資金で購入した調味料や食品は《ストアハウス》には入らないということだ。それらを入れる場所は後々絶対に必要になるわけだから、あらかじめ準備をしておくことにする。
洞窟は『P』に見えるのだが、天辺の部分が東向きで洞窟の入口がある。入口から真っ直ぐ奥に向かって幅二メートルくらいの廊下を作っていく。
人間のお客さんは来ることはないから、仕切りの壁がある以外はほとんど開放的な空間になっている。扉も出入り口と風呂トイレに倉庫くらいである。
解体作業場をどこに設置するかで悩んでいると、タマさんが近づいてきた。
「魔水晶のことを覚えていますか?」
「はい。何か手に入れる手立てがあるとか」
「洞窟の奥に行き、ドロンの干し果実で魔力を回復してから、地面に手をついて全力の魔力放出をしなさい。そのとき術名を唱えず、『地よ』と地属性の喚起だけを行って魔力を放出するのです」
「……今ですか?」
「今です」
かなりの圧力を感じる。
すでに師匠としての仕事をしているのだろうか? それならば従うのが弟子の仕事。師匠の言葉は絶対なのだ。……お酒以外は。
「……まさか……」
「ん? ラビくんは何か知ってるの?」
「……え……。知らない……よ?」
チラッとタマさんを見た後に返事しても意味ないと思うけど、可愛いラビくんをいじめることは避けたい。
結局、言うとおりにするほかない。
「地よ。……んっ? 何だコレ!」
「手を離さない!」
魔力を放出した直後、手のひらを何かに舐められたようなゾワリとした気持ち悪さが襲い、思わず手を離しそうになるが許さない鬼畜天使が邪魔をする。
「うん、うん! いい感じです!」
「……やっぱり……! 怒られるよ!?」
「バレなければいいんです! どうせドロン酒を飲んでグータラしてますよ」
「……ぼく、知らないからね……」
「魔水晶グラスでドロン酒を飲んでみたくないんですか!?」
「そ、それは……! ズルいよ……」
二人の会話から何か怒られそうなことをやらされていることだけは分かった。しかもアルテア様に怒られるかもしれないとか……。
うーん……想像できない。
あの優しい女神の中の女神であるアルテア様の怒ったところか……。霊王様の話を聞いたときとはまた違った感じなのだろうか。
「あ……あのー、何か……目の前に扉が……」
「……遅かったかー……」
「完成したようですね! 迷宮の完成です!」
「……め、迷宮って……あの……?」
「そうですよ。すでに出来上がりつつあったので、あなたの化け物級魔力でブーストさせたんです。地属性の魔力を放出したので、鉱石や金属系の素材が豊富に採れる迷宮になりました。
さらに洞窟型だから広さもあるから修業場所としては最適ですね。出現する魔物も防御力は高いが速度はそこまでではない魔物が多く、丁寧な基本を身につけられるでしょう。しかも涼しい。言うことなしです! 怒られる要素もなしです!」
めちゃくちゃ力説しているけど……本当にいいのか? 俺が迷宮主になっていましたとかは嫌だよ?
「迷宮主ではありませんから大丈夫です。迷宮主がリソース不足で迷宮を開かなかったから、リソースを供給してあげたのです。喜ばれること間違いなしです!」
「でも……リソースの補充って中に入った者が死んだ場合でしょ? またすぐに閉鎖されて閉じ込められるのは嫌だよ?」
実際に迷宮封印に巻き込まれた事故はいくつも発生していると本に書いてあった。ほとんどは自業自得だ。欲を出して封印の兆候を無視した結果、閉じ込められて戻れなくなるというものだった。
「そこは大丈夫です。あなたが攻略する。外に出る。魔力を放出してリソースを供給する。ほら、永久機関の出来上がりです!」
ほら、じゃないし。
「それに気絶訓練を続けたいなら迷宮があるこの状況は最高ですよ。迷宮で上がり続けたレベルのせいで、消費できなくなった魔力を迷宮に還元してあげるのです。その結果、良質で希少な素材を得られるし、強敵が出現してレベルも上がる。素晴らしいサイクルの出来上がりです! どうです!? 師匠らしい仕事をしているでしょ? お礼をしたくなってもいいんですよ?」
確かに話を聞くだけならいいのだが、一応ここは家の中なんだよな。道場を持ったと思えばいいのか?
「……どうぞ。ドロン酒です」
「うむ。いただこう!」
共犯にするつもりなのか、タマさんはモフモフ二人にも分けていた。
「でも素材とは別に涼しいところができたのは助かります」
「何故です?」
「ドロン酒を涼しいところに置いて貯蔵しないと果肉が溶けないので」
「……それなら風属性の迷宮にすればよかった……。迷宮の入口付近は魔物が出ませんが、時間が経過すると迷宮に吸収されてしまうのです。時間停止せず冷蔵できる冷暗所が欲しかったのですよね? この洞窟内に氷を置くだけで十分だというのに……あなたは氷属性を持っていない。そういうことですよね?」
そうだけど、俺は風属性は使えないよ? だから板の光が消えるほど落胆しなくても……。素材が採れる洞窟型迷宮に満足しているし、感謝していると伝えたい。
「あ、あの……」
「あなたは自分の種族を馬鹿にしているんですか? 通常ありえないアルテア様の加護もついているんですよ? 使えない属性があると思ってるんですか?」
「アルテア様の加護の効果って何ですか?」
「いろいろです。全知全能の唯一神に不可能はないのです。今回は加護のリソースの多くを万能職業に使いましたが、不貞の子のおかげで神族になれました。鬼族は戦士や生産向きでしたが、今の子孫を見れば分かるように精霊との親和性が高い種族です」
俺は魔力お化けなんだけど、これから戦士や生産に力を注いだ方がいいのか?
「化け物級魔力は予想外の出来事なのであまり気にしなくてもいいです。ただ精霊に限らず、契約を行う上で魔力量はとても重要です。魔力量の数値と契約上限数は比例します。さらに契約対象の格によっては容量を取られることもあるのです」
チラリとラビくんたちを見る。ラビくんは話せる希少獣っぽいし、リムくんは神器生まれのフェンリルだ。俺のモフモフは二体だけとか言わないよね……?
「これからも魔力を増やし続けます!」
「……古代竜みたいになりそうですね……」
ラビくんたちも口を開けて俺の宣誓に驚いているようだった。
「それでは本題です。才能さえあれな属性は増やせます。あなたは才能については文句なしです。神族ですからね。一般的な方法は二つ。一つ目は精霊契約をして精霊の属性を共有すること。二つ目は迷宮にある【宝珠】と呼ばれるものを取り込むこと。この二つの方法のどちらかをすればいいのです」
じゃあ宝探しをすればいいのか。楽しそう。
「しかし、ここは地属性の迷宮です。地属性に関係ある属性の宝珠しか出ません。先に話を聞いていたら、魔水晶を後回しにしてのにーー!」
……素が出てるよ。何か残念天使の気配がハンパないな。
「そうだ! もう一つ作ればいいんだ! 龍脈の瘤を見つけてその上に作ってしまえば!」
「何を作るのかしら?」
「それは風属性の迷宮に決まってます!」
「でも彼はまだ風属性を使えないわよ?」
「……そうだった! 忘れてたわ! ありが――っ!」
「どういたしまして」
あれ? タマさんがいきなり黙ってしまった。そしてラビくんがリムくんを連れてテントに駆け込んで行ってしまった。
何があったんだ?
とりあえずリフォームの続きをして待っていようと思う。
残りの部分は解体作業場だけだったが、迷宮ができたから追加で改造していこう。迷宮と居住空間は分けたいし、間に緩衝空間を設置したい。
そこで『P』の上半分を居住区画と作業場にして、下半分の棒の部分を迷宮区画とする。
『P』の右側は南側に面しており、ゴミ処理施設や浄化槽がすぐ近くにある。だから解体作業場と水回りを右側に集めた。上からキッチンとキッチン奥にスライムポットントイレ、脱衣所と大浴場、素材倉庫と解体作業場という構成だ。
ちなみに、解体作業場は一度外に出てからでないと行けないようにしている。臭いや汚れを居住区画に入れないために。
ゆえに、トイレや洗い場も解体作業場内に設置している。
倉庫は解体作業場からのみ入れるようにしている。希少な素材を置くこともあるだろうし、場所的にそこしかなかったとも言える。居住区画直通の扉をつけたら臭いが気になりそうという不安もあったからだ。我が家は獣人の血を引く俺を含め、鼻がいい者たちばかりだから、臭いには特に気をつけておかなければならない。
洞窟北側は上からリビングダイニング、寝室、生産作業場、倉庫という構成である。寝室は木工スキルで二段ベットを作る予定だ。
キッチンや作業場に素材倉庫を除く各部屋は、小上がりのフローリングにする予定で、特にリビングダイニングは北側にもう一段高いスペースを作る。
そこに女神像や熊親分オークちゃんの木像を飾る予定だ。独り身時代から支えてきてくれた木像だからこそ、これからも大切にしていこうと思う。
家具はこれからちょくちょく作っていくとして、だいたいのリフォームは終了した。魔力も底をつき、若干眠くなっている。
しばらく待ったが誰も戻ってこず、テントに辿り着く前に気絶した。
当然ブーイングが起こったが、オール無視で聞き流していたらブーイングも収まり諦めたようだ。
「じゃあ午後の予定の拠点リフォームをしようかな」
「洞窟に何かするのー?」
「お風呂やキッチンとかを造ろうかなって」
まだよく分かっていないラビくんたちは、コップに残されたドロン酒をちびちびと飲みながら、作業の様子を観察することにしたみたいだ。
まずはラビくんの様子が気になりすぎて忘れていた柵への出入り口をつけることから始める。
洞窟の入口前の直線を除き、グルッと洞窟を囲んでいる柵だが、洞窟入口の左右にそれぞれ出入り口をつければ、基本的に堀から上がってきたものしか柵内には入れない。
そして柵内に入れば簡易的な檻にもなる。仕留めるまでの一時的な足止めとしては十分だろう。
次に洞窟内を《掘削》で削っていき、居住空間を確保しつつ作業場や倉庫を完備していく。何よりも欲しいのは解体作業場と倉庫だ。何でも《ストアハウス》に入れておくと何が入っているか分からないし、生産スキルを向上させるために作ったものを販売もしたい。
問題は、販売後に得た資金で購入した調味料や食品は《ストアハウス》には入らないということだ。それらを入れる場所は後々絶対に必要になるわけだから、あらかじめ準備をしておくことにする。
洞窟は『P』に見えるのだが、天辺の部分が東向きで洞窟の入口がある。入口から真っ直ぐ奥に向かって幅二メートルくらいの廊下を作っていく。
人間のお客さんは来ることはないから、仕切りの壁がある以外はほとんど開放的な空間になっている。扉も出入り口と風呂トイレに倉庫くらいである。
解体作業場をどこに設置するかで悩んでいると、タマさんが近づいてきた。
「魔水晶のことを覚えていますか?」
「はい。何か手に入れる手立てがあるとか」
「洞窟の奥に行き、ドロンの干し果実で魔力を回復してから、地面に手をついて全力の魔力放出をしなさい。そのとき術名を唱えず、『地よ』と地属性の喚起だけを行って魔力を放出するのです」
「……今ですか?」
「今です」
かなりの圧力を感じる。
すでに師匠としての仕事をしているのだろうか? それならば従うのが弟子の仕事。師匠の言葉は絶対なのだ。……お酒以外は。
「……まさか……」
「ん? ラビくんは何か知ってるの?」
「……え……。知らない……よ?」
チラッとタマさんを見た後に返事しても意味ないと思うけど、可愛いラビくんをいじめることは避けたい。
結局、言うとおりにするほかない。
「地よ。……んっ? 何だコレ!」
「手を離さない!」
魔力を放出した直後、手のひらを何かに舐められたようなゾワリとした気持ち悪さが襲い、思わず手を離しそうになるが許さない鬼畜天使が邪魔をする。
「うん、うん! いい感じです!」
「……やっぱり……! 怒られるよ!?」
「バレなければいいんです! どうせドロン酒を飲んでグータラしてますよ」
「……ぼく、知らないからね……」
「魔水晶グラスでドロン酒を飲んでみたくないんですか!?」
「そ、それは……! ズルいよ……」
二人の会話から何か怒られそうなことをやらされていることだけは分かった。しかもアルテア様に怒られるかもしれないとか……。
うーん……想像できない。
あの優しい女神の中の女神であるアルテア様の怒ったところか……。霊王様の話を聞いたときとはまた違った感じなのだろうか。
「あ……あのー、何か……目の前に扉が……」
「……遅かったかー……」
「完成したようですね! 迷宮の完成です!」
「……め、迷宮って……あの……?」
「そうですよ。すでに出来上がりつつあったので、あなたの化け物級魔力でブーストさせたんです。地属性の魔力を放出したので、鉱石や金属系の素材が豊富に採れる迷宮になりました。
さらに洞窟型だから広さもあるから修業場所としては最適ですね。出現する魔物も防御力は高いが速度はそこまでではない魔物が多く、丁寧な基本を身につけられるでしょう。しかも涼しい。言うことなしです! 怒られる要素もなしです!」
めちゃくちゃ力説しているけど……本当にいいのか? 俺が迷宮主になっていましたとかは嫌だよ?
「迷宮主ではありませんから大丈夫です。迷宮主がリソース不足で迷宮を開かなかったから、リソースを供給してあげたのです。喜ばれること間違いなしです!」
「でも……リソースの補充って中に入った者が死んだ場合でしょ? またすぐに閉鎖されて閉じ込められるのは嫌だよ?」
実際に迷宮封印に巻き込まれた事故はいくつも発生していると本に書いてあった。ほとんどは自業自得だ。欲を出して封印の兆候を無視した結果、閉じ込められて戻れなくなるというものだった。
「そこは大丈夫です。あなたが攻略する。外に出る。魔力を放出してリソースを供給する。ほら、永久機関の出来上がりです!」
ほら、じゃないし。
「それに気絶訓練を続けたいなら迷宮があるこの状況は最高ですよ。迷宮で上がり続けたレベルのせいで、消費できなくなった魔力を迷宮に還元してあげるのです。その結果、良質で希少な素材を得られるし、強敵が出現してレベルも上がる。素晴らしいサイクルの出来上がりです! どうです!? 師匠らしい仕事をしているでしょ? お礼をしたくなってもいいんですよ?」
確かに話を聞くだけならいいのだが、一応ここは家の中なんだよな。道場を持ったと思えばいいのか?
「……どうぞ。ドロン酒です」
「うむ。いただこう!」
共犯にするつもりなのか、タマさんはモフモフ二人にも分けていた。
「でも素材とは別に涼しいところができたのは助かります」
「何故です?」
「ドロン酒を涼しいところに置いて貯蔵しないと果肉が溶けないので」
「……それなら風属性の迷宮にすればよかった……。迷宮の入口付近は魔物が出ませんが、時間が経過すると迷宮に吸収されてしまうのです。時間停止せず冷蔵できる冷暗所が欲しかったのですよね? この洞窟内に氷を置くだけで十分だというのに……あなたは氷属性を持っていない。そういうことですよね?」
そうだけど、俺は風属性は使えないよ? だから板の光が消えるほど落胆しなくても……。素材が採れる洞窟型迷宮に満足しているし、感謝していると伝えたい。
「あ、あの……」
「あなたは自分の種族を馬鹿にしているんですか? 通常ありえないアルテア様の加護もついているんですよ? 使えない属性があると思ってるんですか?」
「アルテア様の加護の効果って何ですか?」
「いろいろです。全知全能の唯一神に不可能はないのです。今回は加護のリソースの多くを万能職業に使いましたが、不貞の子のおかげで神族になれました。鬼族は戦士や生産向きでしたが、今の子孫を見れば分かるように精霊との親和性が高い種族です」
俺は魔力お化けなんだけど、これから戦士や生産に力を注いだ方がいいのか?
「化け物級魔力は予想外の出来事なのであまり気にしなくてもいいです。ただ精霊に限らず、契約を行う上で魔力量はとても重要です。魔力量の数値と契約上限数は比例します。さらに契約対象の格によっては容量を取られることもあるのです」
チラリとラビくんたちを見る。ラビくんは話せる希少獣っぽいし、リムくんは神器生まれのフェンリルだ。俺のモフモフは二体だけとか言わないよね……?
「これからも魔力を増やし続けます!」
「……古代竜みたいになりそうですね……」
ラビくんたちも口を開けて俺の宣誓に驚いているようだった。
「それでは本題です。才能さえあれな属性は増やせます。あなたは才能については文句なしです。神族ですからね。一般的な方法は二つ。一つ目は精霊契約をして精霊の属性を共有すること。二つ目は迷宮にある【宝珠】と呼ばれるものを取り込むこと。この二つの方法のどちらかをすればいいのです」
じゃあ宝探しをすればいいのか。楽しそう。
「しかし、ここは地属性の迷宮です。地属性に関係ある属性の宝珠しか出ません。先に話を聞いていたら、魔水晶を後回しにしてのにーー!」
……素が出てるよ。何か残念天使の気配がハンパないな。
「そうだ! もう一つ作ればいいんだ! 龍脈の瘤を見つけてその上に作ってしまえば!」
「何を作るのかしら?」
「それは風属性の迷宮に決まってます!」
「でも彼はまだ風属性を使えないわよ?」
「……そうだった! 忘れてたわ! ありが――っ!」
「どういたしまして」
あれ? タマさんがいきなり黙ってしまった。そしてラビくんがリムくんを連れてテントに駆け込んで行ってしまった。
何があったんだ?
とりあえずリフォームの続きをして待っていようと思う。
残りの部分は解体作業場だけだったが、迷宮ができたから追加で改造していこう。迷宮と居住空間は分けたいし、間に緩衝空間を設置したい。
そこで『P』の上半分を居住区画と作業場にして、下半分の棒の部分を迷宮区画とする。
『P』の右側は南側に面しており、ゴミ処理施設や浄化槽がすぐ近くにある。だから解体作業場と水回りを右側に集めた。上からキッチンとキッチン奥にスライムポットントイレ、脱衣所と大浴場、素材倉庫と解体作業場という構成だ。
ちなみに、解体作業場は一度外に出てからでないと行けないようにしている。臭いや汚れを居住区画に入れないために。
ゆえに、トイレや洗い場も解体作業場内に設置している。
倉庫は解体作業場からのみ入れるようにしている。希少な素材を置くこともあるだろうし、場所的にそこしかなかったとも言える。居住区画直通の扉をつけたら臭いが気になりそうという不安もあったからだ。我が家は獣人の血を引く俺を含め、鼻がいい者たちばかりだから、臭いには特に気をつけておかなければならない。
洞窟北側は上からリビングダイニング、寝室、生産作業場、倉庫という構成である。寝室は木工スキルで二段ベットを作る予定だ。
キッチンや作業場に素材倉庫を除く各部屋は、小上がりのフローリングにする予定で、特にリビングダイニングは北側にもう一段高いスペースを作る。
そこに女神像や熊親分オークちゃんの木像を飾る予定だ。独り身時代から支えてきてくれた木像だからこそ、これからも大切にしていこうと思う。
家具はこれからちょくちょく作っていくとして、だいたいのリフォームは終了した。魔力も底をつき、若干眠くなっている。
しばらく待ったが誰も戻ってこず、テントに辿り着く前に気絶した。
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