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潜入
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「問題はどうやって入るか、だよな」
僕は大きな建物をぐるりと見回す。
通気口でもあれば何とか潜り込めるかもしれないと思ったけどそう都合良くある筈も無く僕等は初っ端から問題に打ち当ってしまう。
「んなモン壊せばいいだけだろ」
途方に暮れる僕を放って置いてソルトは正面の大きなガラス戸に歩いて行く。
「だっダメだよ!!」
僕は慌てて縋るようにソルトの腕にしがみ付いた。
「なんでだよ」
うざったそうに僕を振り払う。
考えてみればソルトに常識が通用する訳が無かった。
「明日開店するんだよ!壊しちゃっやら大変だろ!!」
一応シャッターは閉まっているけどそれはガラス戸の向こう側で外側は大きな一枚ガラスが直に張られている。
ソルトの事だから泥棒みたいに人が通れる位の丸い穴を開けるなんて細かい事が出来る訳無い。
全部割ったらごめんなさい所じゃすまない。
「細かいヤツ」
「全っ然細かくない!」
ヤッケ達が危険に晒されているのにそんな心配をする僕も呑気な気もするけどやっぱり駄目だ。
「ガラスの割れる音で誰か来ちゃうかもしれないし!?」
警察とか野次馬とか大勢来てお化けに逃げられたら元も子もない。
「チッ。しゃーねーなー」
頭を掻きながら渋々ソルトは諦めてくれた。
「・・・・」
ゴリゴリとソルトが口の飴を噛む音が響く。
一応ソルトなりに考えているらしい。
とは言え僕にも良い考えがある訳でも無い。
最悪ソルトの言う通り正面の入口を壊して入るしか無いのかな。
「・・・・・・あれなら良いだろ」
ソルトが指差した暗闇の先に小さなドアがあった。
壁に入り込む用にしてあったから暗いと良く見えない。
素っ気ない鉄のドアはたぶん従業員用の出入り口なのだろう。
ロック式の鍵みたいだから割と簡単に壊せるかもしれない。
ソルトは僕の返事を聞かずにドアの方へ歩いて行ってしまう。
申し訳無いと思いながらも僕は覚悟を決める。
ポケットに手を入れるとソルトがいつも食べている棒付きの丸い飴を三本取り出した。
既に食べているのにまだ食べるのかな、と僕が思った瞬間に手に持っている飴が光る。
暗闇にソルトのニヤリとした顔が浮かび上がった。
「・・・・・」
あっと言う間の出来事だった。
轟音と共に鉄のドアは吹っ飛んで行った。
吃驚し過ぎて声も出ない。
ソルトの飴って爆弾だったの?
いや、それよりも
「鍵壊すだけじゃなかったの?」
どうにかそう言ったけど声は既に泣きそうだ。
煙の中鉄のドアは折れ曲がって無残に入口に転がっている。
「別に入れりゃ良いだろ」
僕の訴えなんか全然気にする風でも無くソルトはポケットに手を突っ込んだ。
やっぱりソルトに常識は、それどころか普通の考えも通用しなかった。
「・・・・・・」
恐る恐る中を覗き込む。
所々電灯が付いていて暗いけれども何も見えないって訳じゃ無い。
明日の開店に備えて誰か残業で仕事をしているのかも知れない。
だとしたらさっきの爆音に気付かれたかも。
「・・・大丈夫・・・かな?」
不安でいっぱいの僕は口に出さずにはいられない。
「平気だろ。アイツら気配には敏感だが音には疎いからな」
へぇ、と納得しかけて僕は慌てて否定した。
「そうじゃ無くて店員さんとかお客さんとか!?」
「客いねーじゃん」
逆にツッコまれて僕は凹んでしまう。
まさかソルトに常識を言われてしまうとは。
「わりと美味いな」
「・・・って何食べてるのーー!!」
気が付くとソルトは勝手に売り物のアップルパイを食べている。
「それは売り物なの!家と違うんだからお金払わなきゃ食べちゃだめなヤツ!!」
まったく。ソルトと居ると僕は落ち着く事も凹む暇も無い。
「いーだろ。アイツら追い払うんだから。マエバライホーシューってヤツ」
確かにあの黒い影を追い払う事が出来るならアップルパイ50個位あっても良いような。
「・・・・って・・・あれ?」
そもそも朝になれば黒い影は勝手に逃げて行くんだから追い払う事自体に意味は無いと言うか。
納得が行かずにグルグルと考えながら歩いていると僕はソルトにぶつかってしまう。
「・・・・・何?」
急に立ち止った事にちょっと苛立った僕にソルトは「止まれ」と「しゃべるな」と言う意味を込めて手で制した。
「アイツらだ」
僕に動くなと命令した割にソルトは緊張していない感じでアップルパイを口に運んだ。
僕は大きな建物をぐるりと見回す。
通気口でもあれば何とか潜り込めるかもしれないと思ったけどそう都合良くある筈も無く僕等は初っ端から問題に打ち当ってしまう。
「んなモン壊せばいいだけだろ」
途方に暮れる僕を放って置いてソルトは正面の大きなガラス戸に歩いて行く。
「だっダメだよ!!」
僕は慌てて縋るようにソルトの腕にしがみ付いた。
「なんでだよ」
うざったそうに僕を振り払う。
考えてみればソルトに常識が通用する訳が無かった。
「明日開店するんだよ!壊しちゃっやら大変だろ!!」
一応シャッターは閉まっているけどそれはガラス戸の向こう側で外側は大きな一枚ガラスが直に張られている。
ソルトの事だから泥棒みたいに人が通れる位の丸い穴を開けるなんて細かい事が出来る訳無い。
全部割ったらごめんなさい所じゃすまない。
「細かいヤツ」
「全っ然細かくない!」
ヤッケ達が危険に晒されているのにそんな心配をする僕も呑気な気もするけどやっぱり駄目だ。
「ガラスの割れる音で誰か来ちゃうかもしれないし!?」
警察とか野次馬とか大勢来てお化けに逃げられたら元も子もない。
「チッ。しゃーねーなー」
頭を掻きながら渋々ソルトは諦めてくれた。
「・・・・」
ゴリゴリとソルトが口の飴を噛む音が響く。
一応ソルトなりに考えているらしい。
とは言え僕にも良い考えがある訳でも無い。
最悪ソルトの言う通り正面の入口を壊して入るしか無いのかな。
「・・・・・・あれなら良いだろ」
ソルトが指差した暗闇の先に小さなドアがあった。
壁に入り込む用にしてあったから暗いと良く見えない。
素っ気ない鉄のドアはたぶん従業員用の出入り口なのだろう。
ロック式の鍵みたいだから割と簡単に壊せるかもしれない。
ソルトは僕の返事を聞かずにドアの方へ歩いて行ってしまう。
申し訳無いと思いながらも僕は覚悟を決める。
ポケットに手を入れるとソルトがいつも食べている棒付きの丸い飴を三本取り出した。
既に食べているのにまだ食べるのかな、と僕が思った瞬間に手に持っている飴が光る。
暗闇にソルトのニヤリとした顔が浮かび上がった。
「・・・・・」
あっと言う間の出来事だった。
轟音と共に鉄のドアは吹っ飛んで行った。
吃驚し過ぎて声も出ない。
ソルトの飴って爆弾だったの?
いや、それよりも
「鍵壊すだけじゃなかったの?」
どうにかそう言ったけど声は既に泣きそうだ。
煙の中鉄のドアは折れ曲がって無残に入口に転がっている。
「別に入れりゃ良いだろ」
僕の訴えなんか全然気にする風でも無くソルトはポケットに手を突っ込んだ。
やっぱりソルトに常識は、それどころか普通の考えも通用しなかった。
「・・・・・・」
恐る恐る中を覗き込む。
所々電灯が付いていて暗いけれども何も見えないって訳じゃ無い。
明日の開店に備えて誰か残業で仕事をしているのかも知れない。
だとしたらさっきの爆音に気付かれたかも。
「・・・大丈夫・・・かな?」
不安でいっぱいの僕は口に出さずにはいられない。
「平気だろ。アイツら気配には敏感だが音には疎いからな」
へぇ、と納得しかけて僕は慌てて否定した。
「そうじゃ無くて店員さんとかお客さんとか!?」
「客いねーじゃん」
逆にツッコまれて僕は凹んでしまう。
まさかソルトに常識を言われてしまうとは。
「わりと美味いな」
「・・・って何食べてるのーー!!」
気が付くとソルトは勝手に売り物のアップルパイを食べている。
「それは売り物なの!家と違うんだからお金払わなきゃ食べちゃだめなヤツ!!」
まったく。ソルトと居ると僕は落ち着く事も凹む暇も無い。
「いーだろ。アイツら追い払うんだから。マエバライホーシューってヤツ」
確かにあの黒い影を追い払う事が出来るならアップルパイ50個位あっても良いような。
「・・・・って・・・あれ?」
そもそも朝になれば黒い影は勝手に逃げて行くんだから追い払う事自体に意味は無いと言うか。
納得が行かずにグルグルと考えながら歩いていると僕はソルトにぶつかってしまう。
「・・・・・何?」
急に立ち止った事にちょっと苛立った僕にソルトは「止まれ」と「しゃべるな」と言う意味を込めて手で制した。
「アイツらだ」
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