クレイジーソルトキャンディ

瀬模 拓也

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窮地

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「ヤッケ?ラー子!?」



黒い霧に向かって僕は必死に叫んだ。他にお化けに捕まった人がいなければ間違い無くヤッケ達だ。



でも僕の声に腕が動く事は無い。



お化けに取り込まれたら時間の枠から外れる。ソルトはそう言っていた。



だったら、まだきっと生きてる。



「ソルト!ごめん!」



僕はそう言い残して駆けだした。



「何でいきなり謝んだよ」



僕の背中に帰って来た答えはそれだ。



ソルトを残して勝手に霧に向かった事に謝ったんだけど。



ソルトは細いグミを鞭の様にしならせると残りのお化けを引っ叩いていく。



そうだ。ソルトはこのお化け達とお化けのボスを倒しに来ている。



ソルトはソルトの理由でここに居るんだ。だったら僕もここに来た意味を果たさないと。



食品棚に足を掛けるけど棚の間隔が大き過ぎて上手く登る事が出来ない。

元々木登りとか鉄棒とか大の苦手だ。おまけに棚には商品が詰まっていて手を掛ける幅も狭い。



僕は自分の体も思うように持ち上げられずに宙吊りになる。



「ったく。見てらんねーな」

ソルトが舌打ちしながら僕の方にウエハースを投げる。



ウエハースが光の階段になって棚の上まで並ぶ。



「あ・・・りがとう」



ソルトの意外な行動に僕は戸惑ながらも階段に足を乗せた。その瞬間にウエハースの階段はパキリと音を立てて割れる。慌てて次のウエハースに足を運ぶけれどそれも直ぐに割れてしまう。



「脆いなら脆いって言ってよーー」



僕は悲鳴を上げながら階段を駆け上がる。



労無くして恩恵を受ける資格無し



何だか無言でソルトがそう言っている様だった。



「はぁっ・・・・・はぁっ・・」



息は切れたけどどうにか棚の上まで登る事が出来た。



「っく・・」



霧に向かって手を伸ばす。でも距離があるのでそれだけでは届かない。



足を片方棚から下ろして思い切り背伸びをすると何とか腕を掴む事が出来た。

でも僕は片方の手だけで落ちないように体を支えている。この状態だけでも大変だけど更に皆を引っ張り出さなければならない。



助けを求めた訳じゃないけど思わずソルトの方を見る。



他のお化けを倒したソルトは大きなお化けに向かって。マーブル色のチョコレートを投げる。

ばら撒かれたチョコレートはカラフルな煙を上げて爆発する。



「ポ?」



でも大きなお化けには全く効いていないみたいだ。



「チッ」



ソルトが今度はラムネ菓子を取り出してばら撒く。



ラムネがお化けに当たりシュワシュワと音を立ててお化けの体を溶かしていく。

それでも大きい所為か溶けた部分は直ぐに戻って行ってしまう。



ソルトが口に入れていた飴が噛み砕かれる音がした。



これってソルト的にピンチなんじゃ無いの?



「何をしても無駄っポー」



白衣のお化けが笑うのと同時に大きなお化けがパンチで反撃してくる。

手が短いので体当たりに近いけど威力は凄まじい。

ソルトが吹き飛ばされて食品棚に激突する。激しい音と一緒に棚の物が辺りに散乱する。



「ソルト!」



信じられ無かった。いつも偉そうでふてぶてしいソルトだったからお化け相手にピンチになるとかやられるとか想像も出来なかった。



でも現実にソルトは棚の前で倒れていてお化けが再びパンチを繰り出そうと手をゆっくりと上げている。



「ソルト!起きて!」



声が枯れそうになる位叫んだ。ふてぶてしくても変でも僕を殴っても死んじゃ駄目だ。

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