うさぎの楽器やさん

銀色月

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<やまねこのふえ>のお話

56 こころの中のうさぎ

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「きみは、ニノくんが好きなんだろ?」

うさぎの楽器やさんに聞かれて、ふえはイラっとしました。

 だから、なに?

 だから、ニノくんには、なれないって、言いたいの?
 それとも、好きなら、相手の気もちを考えろって?


ところが、うさぎの楽器やさんは、ふえの答えを待たずに軽く続けました。

「オレも、好きだ。
 いいよな。ニノくんの音。

 なんて言ったらいいのかな、
 言葉にできないんだよな。

 な、そうだよな。

 どうしようもなく、好きなんだ。
 だから、見ていたいし、
 応援してるんだ。

 きっと、きみもそうなんじゃないかと思って、さ!」


 なに、コレ?

 このうさぎ、オカシイんじゃないの?

ふえは、うさぎの楽器やさんなんかと一緒のレベルに思われるのが不愉快で、
話を切って去っていこうとしましたが、
次の言葉で、振り向きました。

「だからさ、この森にいなよ。

 ずっと、見ていたいんだ。
 きみとニノくんを、さ!」
 


 …ん?

ここにいて欲しいと言われたのは、初めてでした。

さっきの優しいベールも相まって、ふえの気もちは揺らぎました。

 でも、そんなの、うそだ。
 すぐに、気が変わるに決まってる。

 うまいこと言っておいて…、
 
 喜ばせておいて…。

 イツモ、ソウダッタ。


その時、うさぎではなく、ニノくんの声が聞こえたのです。


「ぼくは、きみの味方だ。

 きみが嫌なら、一緒に戦う。

 だって、きみがいないぼくは、
 ただのやまねこだ。

 つまらないよ。
 きみがいないこの後の世界なんて。」



 ニノくんが戦う?

 ぼくと一緒に?
 

ふえは、違和感に動揺して、あせりました。

今、気がついたのです。
どうしてニノくんになりたかったのか。


 ダメ。

 ダメだよ。

 ぼくは、ニノくんになって、
 アイサレタカッタ。
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