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隠れ鬼
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しおりを挟む何であんな会話になったんだか。
彼を欲する気持ちが暴走したみたいだ。
青い髪の男は、ライ。
寄り添う赤い髪の男。まほろば。
まほろば。彼に触れた瞬間、力強い鼓動と、意思とが俺に流れ込んで来た。
俺は力が強い方じゃない。なのに、割れた机。まほろばと俺の力が引き起こした破壊。
それは理解出来た。
もっと二人と話したい。
店は出たが、
この気持ちに押され、二人を待った。
何故か、俺の恐怖を解ってくれそうな気がして。
*********
*ライside*
「よ!」
店を出た途端に話しかけられ振り向くとオレンジの髪。
「元気!」
「お? 嬉しいねぇ。名前覚えてくれたんだ♪」
その笑顔は何故か憎めなくて。
「何か用か?」
さりげなく間に入ったまほろばが静かに訊く。
「ん───何だ。話したくてさお前達と」
「ボク達と?」
「そう。セットで」
“鬼”で在る元気。
「力が強いね」探るつもりで訊く。
「いや。自分でも驚いたあんな事になるなんて」と、頭を掻き、
「俺は背丈があるだけの一般的な力無い“男”だ。ちなみに“ゲイ”でもない」
にへらと笑いながら、
「あんな場所だから口説かなきゃ失礼かと思ってさ。まぁ、彼氏持ちだったみたいだし。忘れてくれ」
これには苦笑いするしかなく。
「彼氏かぁ」つぶやいてまほろばを見ると、ただほほ笑んでいた。
「お前には“能力”がある」
いきなりのまほろばの問い掛けに、元気はきょとんとした。
「───何?」
訊き返す。
“鬼”じゃ分からないから。
「“超能力”がある?」
「あの……モノを動かしたり瞬間移動みたいな? んなのねぇべ」
元気は思いっきり呆れた顔をして両手の平を左右に開き肩をすくめる。
「映画じゃあるまいし」
「そうでもないよ?」
彼の顔を覗き首をかしげる。
続くまほろばが確信を付く。
「お前が話したいのはそう言う事だろう?」
元気は神妙な顔つきになり、ココロを開く。
“暗闇”への“恐怖”
「ボク達に話してみたら? “闇”について」
一瞬驚いた顔になり、
「───テレパシー? か?」
その言葉に頷くと、小さく溜め息を吐いた元気が、
「じゃあさ。腹へってない? おごるから相談にのってよ」
初めて本心からの寂しげな笑みを寄越した。
目の前に並べられたセットの山に元気は明らかに驚いてぽかんと口を開けている。
「細っこい体のどこにそんなに入るんだよ」
「美味しい♪」
ボクの好きなマックに来ていた。ハンバーガー3セット。そこまで多くはないと思うのだけどさ。
「まほろばは本当に何も食べないのか?」
まほろばは頷いて、特別に出してもらった水(0円)を少しずつ飲んでた。
「それで?」
うながす様にまほろばが訊く。
「“闇”が異様に怖いって事? 何ならココロを読めばいい」
「口に出す事も大事」
ボクが言うと、苦笑いしながら、
「実はあんまり覚えてないんだ」
と、話し始めた。
「俺は両親と姉の四人家族だった。
平均的な家庭だったよ」
彼の言葉と並行してココロの情景を視る。
「12年前になる……」
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