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牛鬼
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しおりを挟む母なる海に身を沈めましょう
貴方はそれが望みなのでしょう?
私はただ、貴方を愛しただけ
海に浸かると不思議と落ち着き
そして下半身に違和感。
お腹の中には何が居た?
私は貴方を愛したけれど
貴方は私を見てはくれなかった
お腹の中に何が居た?
それは大きな泣き声を上げ生まれ出た。
その産声は甲高く
まるで叫び声
私はその子を腕に抱き
貴方を想う
海は凪いで
水底は深く口を開けて私を誘う
私はただ、
貴方を愛しただけ
私は貴方を───……
………………………
*********
*ライside*
「おも……重い」
胸が苦しくて
身動き出来なくて
目覚める。
顎をくすぐる……髪の毛?
目をこすり、もう一度見るとオレンジの髪。
「元気!」
またこの目覚めか
ボクの身体にかぶさる様にして眠ってる元気。
「フ……」
頭上から優しい声色。
まほろば。
「寝てしまってから離れない」
「ずっと見てたの?」
「面白かったぞ」
片肘ついてこちらを見遣るまほろばが笑う。
「面白かった?」
「ライがうなされる程に元気が笑うんだ」
なんの笑いだよ。
「もう!」
言ってオレンジ頭を叩く。
「ん……」
眉根を寄せ、それでもボクを掴む手は緩まずに起きない。
そうは言っても起き抜けの生理的現象には勝てなくて、
「トイレ!」
勢い良く元気を押し退け小走りに目的地に向った。
背後からまほろばの笑い声が響いて来た。
*元気side*
眠ってるのは解る
心地好い枕がなくなったのが感じられた。
もう起きないと……
ざわざわと、音が、声が聞こえる?
深い深い眠りの中、
呼ばれる様に
そちらへ意識が飛ぶ。
………………………
***
「この子を少しの間抱いていて貰えませんか?」
そう言って濡れた女の子が言うんだって。
断れないじゃない?
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抱き取ると、その赤ちゃん、段々と重くなってさ、
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それを見ながら笑ってるんだって!
不気味ぃ
それだけじゃないんだよ。重くなった赤ちゃんで動けなくなった人をさ……食べるんだって!
いやー?!
ホラーだ。
怪談話じゃなくて
実話なんだよ!!
………………………
***
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「あの話しは実話だったね? 濡れた少女……水辺?」
海?
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