龍魂

ぐらんじーた

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四聖龍

全滅

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圧倒的龍力の光龍。その龍が削った大地の先に転がっている人物。
巻き上がる煙で姿はハッキリとは見えないが、確実に一人倒れている。

「……!!」

レイズたちは、全員が同じ人物を想像していた。
そして、同時に思う。
『外れてくれ。頼むから、違う人物であってくれ』と。
だが、こういう時の予想は外れないのが世の中である。

煙が納まり、視界が晴れていく。その人物の正体は、案の定シャレムであった。
二度目の敗北だ。

「シャレムさん!!」

レイラは真っ先に彼女に駆け寄る。

彼女は、激痛で顔を歪めたまま、動かない。
抱き上げようとしたが、何分ダメージが大きい。下手に触らない方が良い。
生きているようだが、先ほどよりも出血量が多い。
自分の治癒術の腕では、とてもじゃないが治しきれない。
だが、何もしないよりはマシだろう。応急的に治癒術を掛ける。

「お願い……!!」
「…………」

術を掛けても反応はない。気絶してしまったようだ。
ただ、苦痛に歪む顔が穏やかになった気がする。

彼女が落ち着いた段階で、レイズはふと口を開く。

「ここに来たってことは……」

仲間のほとんどが顔を上げ、光龍が来た方向を見る。
ただ一人、リゼルだけは本来の目的を見失っていなかった。

「よそ見するな!イングヴァーを殺す!もう時間がない!」
「!」

瓦礫の下にいる団長はもう見えている。彼はイングヴァーの上に覆いかぶさるように倒れていて、直には狙えない。
慌てて近付き、レイズは団長の腕を引っ張って彼を担ぐ。

「……これで良いんだろ!?」

団長の下で、イングヴァーは気絶していた。
これなら、抵抗されることもない。

「あぁ……僕が殺る!」

リゼルは剣を構える。
あと数秒で、イングヴァーは死ぬ。
意識がなくてラッキーだったな。死の恐怖を感じることもなく、逝ける。

彼が剣を振り下ろした、その時だ。

「ッ!」

一閃。
リゼルの剣が、光の槍で弾かれた。
彼の剣は宙を舞い、地面に転がる。

「くそ……!」

手を痛めたか、リゼルは手を押さえ、顔を歪める。
光の槍はが飛んできたのは、シャレムが飛んできた方向からだ。
そちらを見ると、先ほどの女がゆっくり歩いてくるところだった。

「……させない」
「ッ!!」

レイズたちは剣を構える。
龍力差は明白。戦うだけ無駄だと思っていながらも、身体がそう動いた。

「……そういうこと」

別の方向からも、声が聞こえてきた。

「!」

そこには、フリアとスゼイの二人が立っていた。
二人はそれぞれ、ウィーンとハーゼイを引きずるように持っている。

「フリア!!」
「スゼイ……!」
「あれ、お前ら……」

スゼイは驚いたように、視線を送る。

「騎士団員だったのかよ……」
「おい。お前……」

フリアに睨まれ、スゼイは目を反らす。
そして、手に持っていた『それ』を乱暴に投げた。

「……ほらよ。返すぜ」

フリアは彼に何か言いたげだったが、言及することなく、同じように『それ』を投げた。

『それ』らは、ズタボロのウィーンとハーゼイだ。
二人は鈍い音を立てた後、無抵抗に転がる。

二人とも、やられてしまったのか。
レイズ、バージル、マリナ、ミーネの新人組は思考が停止して、目の前のことを呆然と眺めている。

「ウィーンさん!ハーゼイさん!」

レイラが二人に近付き、状態を確認する。
ウィーンは辛うじて生きている。しかし、いつ命の灯が消えてもおかしくないレベルだ。
一刻も早く病院で治療を受けさせなければならない。
自分の治癒術で時間稼ぎはできても、治療はできない。
一方、ハーゼイは……

「ハーゼイさん……?」

全く反応がない。呼吸もない。脈もない。
これは、既に……

「つい、殺っちまった」
「ッ!」

リゼルは彼らを睨む。
騎士団の英雄、四聖龍。その一人を、『つい』殺してしまうとは。

「オレのクセを見抜いたようなことぬかしてやがったが、それでも『このザマ』だ」

顎でハーゼイの亡骸を示すスゼイ。
クセを見抜いていたハーゼイですら、勝てない。

続いて、フリアが口を開いた。

「こっちは、途中から良い戦いだったんだがな。ま、力の差がありすぎたな」

戦闘内容の評価でもしているのだろう。
が、耳には入ってきても、理解が追いつかない。
倒れている四聖龍と、その亡骸。頭にあるのは、これだけだ。

(もう、無理だ……)

絶望が、レイズたちを包んだ。
四聖龍でも勝てなかった相手。命を落とした相手。
団長は意識不明。イングヴァーも存命。

騎士団は、負けたのだ。
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