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新たなる龍
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レイラもようやく重い腰を上げ、話に積極的に参加するようになった。
そのことで、リゼルも指揮側に戻ることができている。
「全員、確認できたな?」
「えぇ」
「おう」
遺跡や神殿。
それらは、古くから存在する建造物だ。
今では想像ができない、人間と龍が生活を共にしていた時代から、ずっと形を変えずに残っている神聖な場所。
人と龍との接点が―ドラゴン・ソウルーのみとなり、国としても、この場所を汚したくないのはある。
だが、町と近い距離にある遺跡・神殿もあることから、内部への侵入を禁止できていないのが実情だ。
遺跡内に用はなくとも、マリナは頻繫に遺跡の敷地へと入っていた。
調べてみて分かったことだが、あえて公開することで、出入りする人の管理をしやすくしている場所もあった。
団長の許可証があれば話は別だが、悠長にそれを待っている時間はない。
各々が持つ、団員証で調査がしやすくなればいいのだが。
「俺たちは遺跡だな」
「あぁ」
「わたしも、遺跡ね」
「私たちは、神殿のようですね」
「うん」
レイズたちの龍とゆかりの地は、ほとんどが遺跡だ。
氷龍と光龍のみ、神殿だった。
各々が地図を広げ、龍のゆかりの地を調べていた。
リゼルはどうあっても暗雲界と縁を切るのは難しいらしい。
「……リゼルはまた暗雲界だな」
「あぁ。だが、町には近づかない」
『禁忌』の一件がなかったとしても、闇龍遺跡は暗雲界の中。
彼にとっては忌々しい場所だが、避けて通ることはできないらしい。
その横で、バージルは頭を抱えている。
「俺は渓谷か……田舎ってレベルじゃねぇぞ」
山深い渓谷の風龍遺跡。
当然だが、人の手が入っているような場所ではない。
グリージの自然など、可愛いレベルだろう。
「光龍神殿は……霊峰アルカリオン?」
レイラの龍のゆかりの地は、王都とは距離的に近いが、別大陸の霊峰アルカリオンがある地だ。
山を登る必要はない様子だが、人間の居住地とはなっていない様子。バージルと同じように、入念な準備が必要である。
「あたしはペルソスまで戻らないと……それで、もっと北にあるみたい」
氷の神殿は、案の定ペルソスと同じ大陸にある。
「太陽龍の遺跡は……」
レイズは、地図上を走らせていた指を止める。
(え?……グリージの近く……?)
そこは、大樹ユグドラシルがあるところの近くだ。
長く住んでいるが、そこに遺跡のような建造物はなかったように思う。
「…………」
ソルが何か知っているかと思ったが、反応はない。
「俺も帰ることになりそうだ。村には……迷うな」
「……言うんですか?」
「何を?」
「その……レイのこと……ご家族に」
「いや、言わない。何かしらの決着がついたら、言うよ」
『何かしら』と言葉を挟んだが、それはアレインの死か。
それとも、真相が分かった段階か。
どちらにしても、残された自分たちは絶望的に重い足枷を付けられることになる。
父親が国を裏切り、この事態を引き起こしたのだから。
「ダルト遺跡……奥に行くのは初めてね……」
マリナは確認するまでもない。幼少期から出入りしているため、場所や道自体は慣れている。
遺跡の敷地内は頻繁に出入りするが、中に入って探索するのは初めてだ。
いい思い出はないが、ここはソルの伝言を信じるしかない。
「意外と皆さん故郷に近いんですね……バージルも?」
「ぇ……?」
ふいに自分のことを聞かれ、バージルは目を泳がせる。
「あ~~……まぁな」
「……?」
そう言えば、バージルの故郷のことなど、レイズは聞いていない。
『グランズの崩壊』で親を失ったとしか、彼の昔話を共有されていない。
こちらも深くは聞かなかったし、気になったとしても、パーソナルな部分でもある。
それに、話したくないから、話さなかったのだろうし。
「……父の安否は一旦忘れます。結局は『彼』と決着をつけないと、国は前に進めませんから」
「あぁ」
リゼルも頷く。
グランズの安否は気がかりだが、ここは立ち止まって、龍の伝言を信じてみることにする。
「では、皆さん。成果を持ち帰りましょう」
そのことで、リゼルも指揮側に戻ることができている。
「全員、確認できたな?」
「えぇ」
「おう」
遺跡や神殿。
それらは、古くから存在する建造物だ。
今では想像ができない、人間と龍が生活を共にしていた時代から、ずっと形を変えずに残っている神聖な場所。
人と龍との接点が―ドラゴン・ソウルーのみとなり、国としても、この場所を汚したくないのはある。
だが、町と近い距離にある遺跡・神殿もあることから、内部への侵入を禁止できていないのが実情だ。
遺跡内に用はなくとも、マリナは頻繫に遺跡の敷地へと入っていた。
調べてみて分かったことだが、あえて公開することで、出入りする人の管理をしやすくしている場所もあった。
団長の許可証があれば話は別だが、悠長にそれを待っている時間はない。
各々が持つ、団員証で調査がしやすくなればいいのだが。
「俺たちは遺跡だな」
「あぁ」
「わたしも、遺跡ね」
「私たちは、神殿のようですね」
「うん」
レイズたちの龍とゆかりの地は、ほとんどが遺跡だ。
氷龍と光龍のみ、神殿だった。
各々が地図を広げ、龍のゆかりの地を調べていた。
リゼルはどうあっても暗雲界と縁を切るのは難しいらしい。
「……リゼルはまた暗雲界だな」
「あぁ。だが、町には近づかない」
『禁忌』の一件がなかったとしても、闇龍遺跡は暗雲界の中。
彼にとっては忌々しい場所だが、避けて通ることはできないらしい。
その横で、バージルは頭を抱えている。
「俺は渓谷か……田舎ってレベルじゃねぇぞ」
山深い渓谷の風龍遺跡。
当然だが、人の手が入っているような場所ではない。
グリージの自然など、可愛いレベルだろう。
「光龍神殿は……霊峰アルカリオン?」
レイラの龍のゆかりの地は、王都とは距離的に近いが、別大陸の霊峰アルカリオンがある地だ。
山を登る必要はない様子だが、人間の居住地とはなっていない様子。バージルと同じように、入念な準備が必要である。
「あたしはペルソスまで戻らないと……それで、もっと北にあるみたい」
氷の神殿は、案の定ペルソスと同じ大陸にある。
「太陽龍の遺跡は……」
レイズは、地図上を走らせていた指を止める。
(え?……グリージの近く……?)
そこは、大樹ユグドラシルがあるところの近くだ。
長く住んでいるが、そこに遺跡のような建造物はなかったように思う。
「…………」
ソルが何か知っているかと思ったが、反応はない。
「俺も帰ることになりそうだ。村には……迷うな」
「……言うんですか?」
「何を?」
「その……レイのこと……ご家族に」
「いや、言わない。何かしらの決着がついたら、言うよ」
『何かしら』と言葉を挟んだが、それはアレインの死か。
それとも、真相が分かった段階か。
どちらにしても、残された自分たちは絶望的に重い足枷を付けられることになる。
父親が国を裏切り、この事態を引き起こしたのだから。
「ダルト遺跡……奥に行くのは初めてね……」
マリナは確認するまでもない。幼少期から出入りしているため、場所や道自体は慣れている。
遺跡の敷地内は頻繁に出入りするが、中に入って探索するのは初めてだ。
いい思い出はないが、ここはソルの伝言を信じるしかない。
「意外と皆さん故郷に近いんですね……バージルも?」
「ぇ……?」
ふいに自分のことを聞かれ、バージルは目を泳がせる。
「あ~~……まぁな」
「……?」
そう言えば、バージルの故郷のことなど、レイズは聞いていない。
『グランズの崩壊』で親を失ったとしか、彼の昔話を共有されていない。
こちらも深くは聞かなかったし、気になったとしても、パーソナルな部分でもある。
それに、話したくないから、話さなかったのだろうし。
「……父の安否は一旦忘れます。結局は『彼』と決着をつけないと、国は前に進めませんから」
「あぁ」
リゼルも頷く。
グランズの安否は気がかりだが、ここは立ち止まって、龍の伝言を信じてみることにする。
「では、皆さん。成果を持ち帰りましょう」
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