龍魂

ぐらんじーた

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世界の変化

龍型

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人間界の端に現れた魔物。それだけでなく、居住区域に向かって進行中だとか。
進行スピードはムラがあるが、間違いなく、確実に寄ってきている様子。このままでは、多くの人が被害に遭う。
それを食い止めるため、レイズたちは飛んだ。

そして、現地を調査している彼ら。

激戦の爪痕を目の当たりにし、出現した魔物の脅威に腹をくくるレイズたち。
確かに、このクラスは四聖龍の出番だと思うし、中途半端な『フル・ドラゴン・ソウル』では返り討ちにあう。
龍との対話も最低ラインだろう。だから、自分たちも選ばれた。

「……どうする?(龍を)使うか?」

敵の力量が分かるようになってきたレイズたち。
しかし、素の状態で魔物の気配を感じ取るのは、まだ不可能。
だから、龍力による感覚強化に頼らなければ、具体的な位置までは分からない。
それ故の提案だが……

レイズの問いに、難色を示すミーネとバージル。

「え?でも……」
「あぁ。リスクはたけぇぞ」

王都を出る前に、レイラから「仮説として」聞かされたもの。
それが正しいなら、出現した魔物は、強力な龍力をもつ自分たちの往復により、世界を渡った。
つまり、敵は龍力を察知する能力に長けていることになる。
よって、ここで軽い気持ちで龍力を発動させてしまえば、自分たちの場所を知らせることになる。

良くも悪くもここまで龍力を使うことはなかった。それなのに、ここで不用意に使うのは、どうなのか、と頭を過る。
しかし、このまま時間だけが過ぎるのも、問題である。

「なら、このままアテもなく探すのか?それだけで(余計に)疲れちまう。日も暮れるぞ」
「ちぃ……」

一理ある。
魔物を倒しに来たのに、見つける前に疲労困憊では、話にならない。
当然、癒しの道具は用意してあるが、無尽蔵ではない。

それに、太陽だって、いつまでも頭上で輝いている訳ではない。
夜が来て、闇が空間を支配すれば、自分たちの光は、龍力による発光だけだ。

「……『いる』ことは分かるの。でも、位置が分からないわ」

魔物に触れる機会が多かったミーネ。
生活で育まれた感覚でも、『いる・いない』の二択が限度。

「……しゃあねぇな。やるか」
「あぁ。準備を」
「うん」

各々、体力・龍力回復し、武器を手に取る。
そして、お互いの背を向け合った。得物分の空間が開いており、ピッタリではない。が、これが限度。

「100死角なしにはならねぇが、こんなモンか」

バージルは仲間の位置を確認し、口を開いた。

「だな」
「ふ~~~……そうね。二人の方から現れるのを祈るわ」

待て。こういうの、聞いたことがある。
そう思い、レイズは口を開く。

「……そういうの、何て言うんだ?」
「フラグ、だな。行くぞ!!」

太陽・風・氷の龍力が解放された。
燃えるようなオーラ、舞うようなオーラ、凍てつかせるようなオーラが充満する。

「……おい!!」
「ッ!」
「あッ!」

同時に叫んだ三人。
魔物の強力な気配が肌を刺す。それとは、距離がそこまで離れていなかった。
察知したと同時に、その気配は猛スピードで移動し始める。

一瞬で大きく移動している気配だが、バージルたちは捉えたまま逃がさない。

「目標捕捉!!高速移動中!!方角……」
「マジかよ……」

二人は、氷の少女を見る。
その少女は、上がった口角をヒクつかせ、呆然としていた。

「「ミーネ!!」」
「ッ!!」

高速なフラグ回収。
龍力がやや小さかったか、上昇スピードに遅れがあったかで、穴だと思われたのだろう。

頭上に影。吠える魔物。

「「「!!」」」

その姿を見て、三人は戦慄した。

「ドラ、ゴン……!?」
「ッ!けど!」

龍界で見た、今を生きるドラゴンによく似ている。
しかし、胴体は短く、全体的な大きさも、ドラゴンにしては小さめだ。
それでも、飛行艇ぐらいの大きさはある。

ドラゴンが、人間界に!?
色々頭を巡るが、狙われているミーネにそんな余裕はない。
少年二人も、頭の整理が遅れ、フォローが間に合わない。

「……!!」

左腕の剛腕。そして、剣でも埋めてあるのかと思えるほど長い爪。
戦闘の爪痕は、文字通り「あれ」で付いたものか。

「氷壁ッ!!」

試練で偶発的に作り出した、氷の盾。
今度は意図的に、より強力な壁を生み出したミーネ。

ドラゴン「もどき」は躊躇いなく、剛腕を振り下ろした。

「!!」

隕石が落ちてきた。そんな衝撃が、彼女を襲う。
氷の盾にヒビが入り、欠片が風圧により散っていく。
ただ、盾自体が破壊されることはなく、ミーネは初撃を耐えきった。

「は~~~っ……は~~~~~っ……」
「ミーネ……」
「すげえな。お前……」

「受けた」という選択が正しいかは分からないが、彼女は攻撃を完璧に防いだ。
相当量のエネルギーを使っただろうが、彼女の作り出した強力な盾は、少年二人を感動させるのに充分である。

ドラゴン「もどき」は爪の一撃を防がれたことで、一旦距離を取った。
その頃には、少年二人の陣形も整い、マシになっている。

「平気か?ミーネ」
「えぇ。けど……流石、龍界ね」

血は垂れていなかったが、鼻を拭い、盾を解除するミーネ。
音を立て、氷の結晶が崩れながら、宙に飛ばされていく。

その様子を横目で見ていたバージルは、ポツリと呟いた。

「……だな」

先程のミーネの言葉は、間違いなく敵の強さを表したものだったが、バージルの同意は、別の場所にあった。

龍界へ行く前の彼女なら、あんな分厚い盾を一瞬で作ることは不可能。
見くびっている訳ではないが、共に戦ってきてからの印象だ。それだったのに、あの一瞬であれだけの厚さの盾を生み出すとは。
それだけでなく、下半身にも充分な龍力を充填させ、身体が壊されないようにした。

(お前も、だぜ)

死を間近に感じ、脳が超高速処理をしたからで、再現はできないのかもしれないが、この印象は大きい。

バージルの精神を安定させると同時に、一番龍魂と付き合いが長い自分は、どう変化したのか不安にもなっていた。

(集中しろ。バカが)

余計なことは考えるな。ミーネの進化だけに着目しろ。

「ドラゴン、じゃない……けど、似てるな……」

左の剛腕と、爪。それ以外は、本当にドラゴンとよく似ている。
ただ、羽は退化している。ドラゴンと区別して生きていくために、飛行能力を捨てた結果なのだろうか。

「龍型の魔物って感じか……」
「あぁ。その影響か知らねぇけど、好戦的。境界付近で力を付けたバーサーカーってとこか」
「……そいつらを、あたしたちが呼び寄せた……?」

責任を感じているミーネ。
完全に意図していないし、ソルもそれらしきことは言っていなかった。
ドラゴンであるソルがそこまで見通せていなかったとは考えにくい。分かっていて、黙っていたのか?

ただ、それとの確実な因果関係は証明されていないし、できないだろう。
バージルは短くフォローする。

「……ただの仮説だ」

もう一度、龍界に行けば分かるかもしれないが、もう行く理由がない。
それに、しょうもない検証のために往復するのも、お互いの距離感的にも不適切だ。

「……そうね。目の前の敵に集中ね」

そう言いながら、ミーネは両手を胸の前に出す。
そして、長く息を吐いた。

「何を……」
「ゴメン。ちょっと守って」
「任セロリ」

意図は分からないが、ひとまず了承するレイズ。
『フル・ドラゴン・ソウル』を発動させながら、走る。バージルも、ミーネと離れずぎない位置をキープしながらついてくる。

強力な龍力者が二人前に出たことで、龍型の魔物 ―ワーリザードと便宜上呼ぶが― は爪を構えた。

レイズ、バージルは『ルーティーン』を必要としない。
走りながら、龍を更に呼び起こす。
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