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「いいわけ」と出会いと素敵な日々
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休日の小旅行は無事に終わった。家に着き、スーパーで半額で買った豚丼弁当(北海道帯広名物、とシールが貼ってある)を食べながら、今日の旅を振り返る。
旅のきっかけは夢の中で出てきた本屋と、古本屋オープンのチラシ。その古本屋というかリサイクルショップでは昔持っていたのと同じ狐のぬいぐるみに出会った。タイヤのパンクといったアクシデントはあったが、久しぶりに入ったファミレスで食べたパスタはおいしかったし、森の中のお社で不思議な体験もしたし、最後はきれいな虹を見ることができた。タイヤの出費は痛かったが、おおむね満足な結果である。
そして何よりも次の目標ができた。今年こそは北海道旅行に行こう。いつもは忙しさや疲れを言い訳にして、せっかくの休暇を家で過ごすことが多かったが、今年は違う。今日の旅で出会った様々なものが、北への思いを駆り立てさせてくれた。かの地には、きっと何かが僕を待っているはずだ。
(第一部・了)
***
「ねえ、ママはいつ出てくるの?」
ここまでの物語を聞かせた娘が尋ねてくる。「パパとママの出会った時の話を教えて」と言われたので、そのまま事実だけを伝えても面白くないと思い、虚実入り交じる物語形式にしてみたのである。
「ほら、最初の夢の中に出てきた女の子がいただろう。あれがママだよ」
この年の北海道旅行で、僕は今の妻と出会った。当時大学4年生で、年齢は僕の3つ下。夢の中での僕が高校生だとしたら、当時の彼女は中学生ということになる。
「えー、本当に夢に出てきたのー?」
実際は、夢に出てきたのは顔も覚えていない幻のような存在だった。しかし、妻と出会ったときは運命的なものを感じたのだ。
「ほんとだって、きっと。さて、そろそろご飯の時間だぞ」
今日の夕食は妻が作ってくれたコーンクリームソースのパスタだ。一緒に住み始めたころから試行錯誤を重ねたレシピで、今では家族みんなの大好物となっている。なお、ファミリーレストランの北海道フェアで食べたという物語は後付のフィクションである。
「わぁい!たくさんよそってね!」
「はいはい。たくさんあるから、慌てちゃ駄目よ」
家族で食卓を囲む、幸せな時間。娘の遊び仲間としてすっかりくたびれてしまった狐のぬいぐるみが、この光景を優しく見守っていた。
旅のきっかけは夢の中で出てきた本屋と、古本屋オープンのチラシ。その古本屋というかリサイクルショップでは昔持っていたのと同じ狐のぬいぐるみに出会った。タイヤのパンクといったアクシデントはあったが、久しぶりに入ったファミレスで食べたパスタはおいしかったし、森の中のお社で不思議な体験もしたし、最後はきれいな虹を見ることができた。タイヤの出費は痛かったが、おおむね満足な結果である。
そして何よりも次の目標ができた。今年こそは北海道旅行に行こう。いつもは忙しさや疲れを言い訳にして、せっかくの休暇を家で過ごすことが多かったが、今年は違う。今日の旅で出会った様々なものが、北への思いを駆り立てさせてくれた。かの地には、きっと何かが僕を待っているはずだ。
(第一部・了)
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「ねえ、ママはいつ出てくるの?」
ここまでの物語を聞かせた娘が尋ねてくる。「パパとママの出会った時の話を教えて」と言われたので、そのまま事実だけを伝えても面白くないと思い、虚実入り交じる物語形式にしてみたのである。
「ほら、最初の夢の中に出てきた女の子がいただろう。あれがママだよ」
この年の北海道旅行で、僕は今の妻と出会った。当時大学4年生で、年齢は僕の3つ下。夢の中での僕が高校生だとしたら、当時の彼女は中学生ということになる。
「えー、本当に夢に出てきたのー?」
実際は、夢に出てきたのは顔も覚えていない幻のような存在だった。しかし、妻と出会ったときは運命的なものを感じたのだ。
「ほんとだって、きっと。さて、そろそろご飯の時間だぞ」
今日の夕食は妻が作ってくれたコーンクリームソースのパスタだ。一緒に住み始めたころから試行錯誤を重ねたレシピで、今では家族みんなの大好物となっている。なお、ファミリーレストランの北海道フェアで食べたという物語は後付のフィクションである。
「わぁい!たくさんよそってね!」
「はいはい。たくさんあるから、慌てちゃ駄目よ」
家族で食卓を囲む、幸せな時間。娘の遊び仲間としてすっかりくたびれてしまった狐のぬいぐるみが、この光景を優しく見守っていた。
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